心の内側を描いた作品
クズの本懐は本来人の持つ醜い部分や感情が良く描かれています。
一見、青春物語のように見えますが全く違います。一人一人が其々の想いや悩みを持ち、其れが複雑に絡み合ってきます。
主人公である、安楽岡さんと、麦との関係は人なら一度は考えた事があるであろう付き合いが刹那にも美しく物語られていて、読んでいて胸を締め付けられるような感覚になりました。
大好きな兄の影を麦に重ね、麦も安楽岡さんに大好きな家庭教師のお姉さんを重ね、歪な愛がふとしたキッカケから、お互いになくてはならない存在になって行くのも良く考えられた作品だなと思いました。
クズの本懐に出てくる人は行動こそクズですが、本当はとても人間らしく、愛すべき人の醜さでもあります。
弱さ、強さ、儚さ、葛藤。
この作品からはその様な心に語りかけてくるメッセージがとても含まれています。
私達が生きることとは?
愛とは?好きとは?
クズの本懐は私達が大人につれ忘れて行く感情も思い出させてくれます。
若かりし頃の道徳観を無視する行動それでいて自己嫌悪しながらも、前を向き進んで行く少年少女、話題作でありながら問題作でもあるクズの本懐。
先が気になって仕方ありません。
折々がなす群青劇はどう上手くまとまるのか、期待しています。- あなたも感想を書いてみませんか?
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