半島を出よの評価
半島を出よについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
半島を出よの感想
どう生きるかという課題をつきつける長編小説
反社会的少年たちの過去物語の舞台はこの本の著者である村上龍の生まれ故郷の福岡で、最初は川崎市のホームレスが集まる公園から始まる。物語の中の日本は2011年で、過去最悪の経済悪化である舞台背景から描かれている。経済悪化の内容の中で国が銀行口座を凍結したという表現でいかに日本経済が破たんしてしまったのかを容易に想像できた。本の中で登場する人数は私が今まで読んだどの本より多かった。主人公が誰かかというのがはっきりとわかる内容ではなかったが、最後まで読んだ後はこの本で最初に出てくる反社会的な少年たちだろうと思う。川崎市で殺傷能力のあるブーメランを操る少年がある福岡のグループに参加するところから物語が加速していくが、個人的に最後のほうまで読むのにひっかかりがあったのが、彼らが過去に起こした事件の内容だった。犠牲者のほとんどは無差別に殺害されていた。イシハラグループと呼ばれるそのグループは福岡のもと倉...この感想を読む