不倫と愛
直接的で、冷めたエロティック「今日は日曜日。雨だったせいもあり、わたしは日がな一日、部屋に引きこもったままビデオを観ていた。」この、誰もが想像できるような情景から、物語は始まる。日曜日の雨は、なんとなくどんよりした気分で、動き出すのが億劫。つい、部屋にこもってだらけてしまう女性。主人公清水マヤは、小さな映画会社の仕事で、パンフレット制作を担当する。そのための作品鑑賞の中で、出演女優について考察する場面。その女優を表すための言葉選びが秀逸だった。色気があるだの、男にモテるだの、愛人的だの、結局どこか主観的な印象では語らない。「服を着た、歩く女性器そのもの」「男を勃起させる女優」これほど強烈かつ印象的で、これほど客観的な女性の形容を、私は知らない。最初から10ページほどが、この調子である。いわゆるエロティックな表現(しかもかなり直接的)にはなるのだろうが、アダルト雑誌や動画などの作られた情愛...この感想を読む
3.93.9
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