1984年の評価
1984年についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
1984年の感想
強き政体にも永遠なし
将来の社会予測本著の世界は第二次世界大戦前後の政府や社会をモデルにしているという見方もあれば、未来の政府・社会の姿を描いているという見方もできる。そこで、本著を「未来予測書」と捉えた場合いくつかの論点がどう整理できるかを見ていく。国家権力強大化か弱体化か国家権力が強まるか弱まるかという観点では、本著は紛れも無く強まるという描写をしている。国権強化は、現代においてはそうマイナーな考えでもない。むしろ国権弱体化を予測するほうが珍しい。利他的な理念を有した非営利の第三勢力が台頭しない限り、国家が弱体することは考えにくいということだろうか。本著で描かれる世界において第三勢力が台頭することは不可能に近い。思想/精神面における統制・従属が徹底的に試みられる世界では、<ビック・ブラザー>とは異なる理念・価値観をもつ人が登場することすら困難だと思われるからだ。また、同様の統制により利他的な人間に育たぬ...この感想を読む