悪意の手記の評価
悪意の手記についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
悪意の手記の感想
ひとつの答えがしっかり受け取れる作品
動機のない殺人はどのように起こるのかこの本を読み進めていくにつれて、夏目漱石著作の「こころ」を思い出していた。「こころ」に描かれていた親友もまた、Kというイニシャルのみでの表記で描かれており、主人公が独白するかたちで物語が進んでいる。だが、この本と決定的な違いは「こころ」のKは自殺したのであり、この本の主人公はKを殺しているという点である。主人公は15歳にしてTRPという80パーセントの確率で死んでしまう病気になり、ほとんど生きる望みのない闘病生活を送る。その生活のなかで死の恐怖から逃げるために、彼は独自の考え方で死ぬ覚悟をする。死ぬ覚悟ができた主人公は奇跡的に助かってしまったために、「生きる」ということに苦悩し自殺を図ろうと公園に行ったところ、親友のKに偶然会い衝動的に殺してしまう。ニュースで動機もなく殺してしまったというような事件を見るたびに、そのように人が殺せたりするものなのだろうかと信じら...この感想を読む