嫌な女の評価
嫌な女についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が2件掲載中です。
各項目の評価分布
嫌な女の感想
見返りを求めた女と見返りを求めなかった女
対極にある二人を固くつなぐものこの物語の主人公の徹子と、裏主人公である夏子は対照的でありながら、おおきな、ある共通点がある。子供のころに、親に見捨てられた経験と、そのことで受けた傷を持っていることだ。徹子の場合は、子供のいない親戚の夫婦の、養子にされそうになって、未遂に終わったとはいえ、兄と姉と三人の子供のうち、自分が選ばれたことは、本人が自覚するより、かなりショックだったのではないかと思う。夏子も、父親が家をはなれたのは、一応出稼ぎにでたまま、もどらなかった、ということになっているものを、男をたぶらかすのを生き甲斐にしていたあたり、男を父親に見立てて復讐しているとも考えられるから、父親が他の女の人に走った可能性が高い。見返りを求めない寂しくも潔い人生親は子供を育てるのが当たり前のようで、そうではない。親にすれば、労力や時間をかけた分、報酬をもらえるわけでなく、むしろお金を負担してまで...この感想を読む