果てしなき渇きの評価
果てしなき渇きについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
果てしなき渇きの感想
狂うという事について、考えさせられる作品
加奈子という少女についてまるで、加奈子という一人の少女の足跡を追う、ロードムービーの様でした。彼女の足跡を父親藤島と、一緒に追う道のりで、彼女の新しい一面があらわになる度に、何故だか分からないが、空気が薄くなるようであり、意識が遠のいていく、恐怖を覚えました。これ以上読み進めるのが、恐ろしくなった時にはもう、振り向くと退路は絶たれていて、熱にうなされる様に、加奈子という少女から、目が離せなくなっていました。作者の狙いも、恐らくは、そこであったのでは無いでしょうか。友人達を麻薬漬けにした上で、次々と身体を売らせて行く、悪魔の様な事を、平然とやってのける少女なのに、何故だか痛々しく美しく思えます。そして、行方不明の娘、加奈子を死に物狂いで探す父親が、恐ろしく、醜く、憎しみさえ感じさせる様になります。自分の中での悪の基準がぐらりと揺らぎ、読み進めるうちに、善と悪の境目が曖昧になっていきます。...この感想を読む