インセプションの感想一覧
映画「インセプション」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
モルという罪の意識
舞台は夢の中夢の中ではなんでもできる。ヒーローにもなれるし史上最悪の悪役にだってなれる。まさしく「夢のような」世界だ。そして夢の中では誰にだって会うことができる。最愛の人だったり、最高の友達だったり。もう2度と会えない人にだって会うことができる。潜在意識によって。コブの最愛の妻モルはインセプションが原因で自殺をしてしまう。帰る家も子供たちも失った彼は夢の中で再びモルに出会う。コブを悩ませ続ける夢の中のモルも彼女が愛しくてたまらなかった彼の潜在意識が作り出し、縛りつけられていたのかもしれない。夢の中のモルコブの行く先に現れては邪魔をしてくるモル。いつも夢の中に出てくるのはコブ自身が意識の中に彼女を縛りつけているからではないだろう。それは愛するモルを忘れられないのと罪悪感から。自分の実に単純なアイデアがモルを変えてしまい最悪な事態を招いてしまった。彼女への愛と自らを戒めのために罪の意識をモ...この感想を読む
一風変わった、現実味のあるファンタジースパイ映画
はじめてこれを観たときは、話の構造が難解で、正直よく理解できなかった。しかし、二度目に観たときは何をしようとしているのかよくわかり、楽しめた。むしろ難解だからこそ、どういうことか理解したくて楽しめる映画なのかもしれない。夢の中の夢の中の夢…などは一度や二度、あったらおもしろいなと考えたことがある。そんなたわいもない考えをを映画化して、エンターテイメントとして楽しめるようにするなんて、想像もできなかったし、すごいことだと思う。夢の中に潜ると時間が長くなる設定はおもしろかった。時間が絡む物語は観るほうも考えないといけないことが多く、映画に没頭してしまうから、私は好きだ。映像表現も最高だった。新鮮でクール。パリの街中の地面が逆転、雨の中で道路に突っ込んでくる列車、崩れるビル。夢という設定があるため、ひとつの映画でいろんな場所をみれるのもよかった。この映画での好きなシーンは、ジョセフ・ゴードン...この感想を読む
夢を侵略するアクション映画
いままでになかった夢を侵略するアクション映画。簡単に言うと日本の妖怪バクのような映画です。出演者にレオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョゼフ・ゴートン=レヴィットなど豪華出演人で期待大で見ました。まず、映像はとにかくすごいと思いました。また、地球自体が歪んでしまっているような地面からえぐるようなゆがみの仕方など、映像もさることながら発想がすごいと思いました。ビルがひっくり返ったり、夢の中の登場人物を自由に操作できるなど、うらやましいような能力だと思いながら見ていました。内容ですが、1度見ただけでは非常に難しく思い、終わり方もシコリが残る終わり方だったので、個人的に評価が下がりました。
夢のあやつることへの憧れと恐怖
この作品には、少し怖いけどあったら面白いなというアイデアが詰まっています。他人の夢の中に侵入してその人の考えを盗んだり、思考を誘導すること、またその人の夢の内容を自由に設計することができるなど。夢は階層構造をなしていて、より深い層になればなるほど時間の感覚がゆっくりになるという設定で、例えば現実世界で5分が、1層目の夢では1時間、2層目では12時間といった具合になっています。浦島太郎の逆で、何十年もの間夢の世界で過ごしたと思っていても、現実に戻ってみると一日かそこいらだったというかんじです。夢の世界では100%自分の好きなようにできるため、創造の父、いわば神様になったような感覚になることから、現実世界を捨てて一生夢の世界に生きていたいという欲求に駆られることのは容易に想像できます。そして現実世界に戻ってきたときの絶望感も。自分と妻の2人だけの理想の世界を作り上げたために妻を失うことにな...この感想を読む