海の上のピアニストの感想一覧
映画「海の上のピアニスト」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
臆病な男の悲しい物語
主人公ナインティーン・ハンドレットは、客船内で生まれ捨てられた。その為、国籍も、生年月日も不明。法律上では、この世に存在しない。そんな彼は、船から一歩も出ずに育つ中、ピアノを弾く楽しみを見つける。その能力は、天才的で客船内のピアニストになる。航海を続ける中、ある少女と出会う。少女が目的地に到着した時、「訪ねて来て」と言われ、船を降りる決意をしたが、船外に出た事のない主人公は、結局船内に留まる。客船以外の場所で生きる方法が見つからなかったから。私は、この場面で号泣した。したくても出来ない苦しみが分かったから。悲しい感動作だ・・
ある人生の形
生まれてすぐに、大西洋を往復する客船に置き去りにされた一人の赤子。彼はその年にちなんで『1900』と名付けられ、船員たちの手で育てられたが、やがて類稀なるピアノの才能を発揮する。生まれてから一度も船から降りることなく船と共に一生を終えた天才ピアニストの人生は、まるで船そのものの一生のようで、船が擬人化したかのようにも思える。狭い世界の中で、彼は友情を知り、恋を知り、挫折と絶望を知った。限られた世界ではあるが、海の上を進むひとつの街でもある船という舞台だからこそ、表現できたのではないだろうか。生まれてから死ぬまでひとつの街で生活する、そんな人と、1900は少しも変わらないのだ。全編を通して流れるEnnio Morriconeの曲が、見事にマッチした素敵な作品だ。
ピアノ好きにはたまらない
海の上で生まれて、生涯を船で過ごした男の話がトランペット吹きだった同僚の思い出話を軸に描かれています。その中でも、嵐の中で船が揺れ、船酔いする同僚を、車輪止めを外したグランドピアノに座らせて、ピアノを弾きながら、ホールを右へ左へと揺れるシーンはものすごく夢があるなあと思います。それから、ピアノの早弾きで、熱くなったピアノ線で煙草の火をつけるシーンありえない!と思いつつ、胸がスカっとするいいシーンです全体的なストーリーやラストは、うーん?と思ってしまいますがそれを差し引いても断片的なシーンやピアノ演奏が素敵でピアノが好きな方にはぜひぜひ見てもらいたい映画です。
良質のエンターテイメント
豪華客船と人生を共にしたピアニストの物語です。このピアニスト「1900」を知る老人の回想という形で物語が進みます。ピアニスト1900の生涯をみて、最後まで見終わったとき、人生とは何だろうかと考えさせられるようなストーリーです。豪華客船というと一見華やかな世界のように思いますが、生涯陸に上がることなく、海の上以外の世界を知らないままというのは一体どんな感じなのか、どうしてなのか、私にはまったく想像がつきません。しかし、全編を通じて、ごく狭い世界しか知らない彼が充実した人生を送った様子が描かれ、人生には正解も間違いもないということがよく分かります。