ガタカの感想一覧
映画「ガタカ」についての感想が7件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
可能性を信じて生きることの大切さ
遺伝子操作によって生まれた優秀な「適正者」と、通常の妊娠で生まれた「不適正者」が存在する未来の話。遺伝子診断による将来の寿命と死因の特定は、現代科学の賜物であると同時に、限界を決めてしまうことでもあります。不適正者として自分の運命を知りながらも、あらゆる手を使って自分の夢を達成していく姿は大変面白く、また感動しました。科学は決して万能ではない。可能性を信じることの大切さを学びました。そのあらゆる手というのが、適正者でありながら障害をもったジェロームの身体をのっとるということ。不適正者のヴィンセントはジェロームの血液や尿等、様々なサンプルを用いて検査を通過し、夢に向かっていきます。ジェロームとヴィンセントは最初は契約者としての関係でしたが、途中からはもう適正者としてやっていけないジェロームにとって、ヴィンセントの夢が達成することが自分の夢となっていきます。最後は非常に悲しいのですが、ヴィ...この感想を読む
なにがなんでも夢を叶える
遺伝子操作で優秀な人間を選んで産むことができるようになった世界。主人公ヴィンセントの両親は、神様の授かりものとして、遺伝子操作なしでヴィンセントを産んだ。案の定、ヴィンセントの体は欠陥だらけ。弟は遺伝子操作で優秀な子を産むようにした。遺伝子操作されていない人間は、エリートにはなれない。ヴィンセントの夢は宇宙飛行士だが、遺伝子的になれないとわかっている。そこで、ヴィンセントは、自殺未遂で歩けなくなった、遺伝子操作された、元エリート水泳選手の手を借りて、彼になりかわり、宇宙飛行士になる。途中、ばれそうになったり、くじけそうになったりするが、ユージーンの励ましなどで乗り切る。ラストシーンがすばらしい。ヴィンセントが何人かの夢になり、みんなで叶える、というとすごく陳腐だけど、そんな感じ。
適格者も不適格者も
不適格者とされながらも、宇宙飛行士になる夢を諦めなかったヴィンセントと、適格者ながらも下半身不随となり、ヴィンセントに自分の遺伝子と夢を託したユージーン。どちらもそれぞれの葛藤や苦悩を抱えながら、遺伝子が全てを決めてしまう近未来の世界で生きていました。適格者だけが足を踏み入れられる場所で、不適格者の遺伝子を発見されないために、抜け毛や皮膚に至るまで焼却炉で処分、全く気が抜けない。それでも夢が諦められないヴィンセントに、自分の遺伝子のサンプルを大量に残し、焼却炉で死んでしまったユージーンの気持ちは本人にしか理解できないのでしょうね。ユージーン役のジュード・ロウが最後までカッコよかったです。
幸せとは何で決まるのか?
子どもは、遺伝子操作で欠点のない形で生まれることがほとんどとなった近未来で、通常の性交渉の末産まれた青年が、不屈の努力と執念で、もっとも完璧な遺伝子を持った者しかなれない宇宙飛行士になるという物語です。そのために、がむしゃらに体を鍛え、必死に学ぶと同時に、完璧な遺伝子を持っていたが不慮の事故で下半身不随になった青年とすり替わることまでするのです。その過程で直したのは、身長の違いだけ。顔形は少々違っても平気で、視力矯正はコンタクトレンズで十分……それは、入社試験は遺伝子検査で決まるからです。主人公は、他人になりすましたことがばれないよう、日々他人の血液や尿を巧みに隠し持つと同時に、自分の痕跡を残さないよう、徹底的に掃除をし、ごみはすべて集めて焼却処分します。一方、名前を貸した青年はひっそりと隠れ暮らし、毎日を無為に過ごします。結局、愛する人には自分の正体を明かした主人公、主人公が夢をかな...この感想を読む
神の子が不適格者になる世界
NASAが認める現実にありそうな映画にランクインしているこの作品。試験管ベビーが妊娠出産のスタンダードとなり、生まれる前に遺伝的劣性要素は排除する。この辺りはたしかに、技術的にはすでに実現可能な領域と言えるかもしれません。親が子供に健康に生まれてほしいと願うのは当たり前のことです。遺伝子診断の技術が向上して選別できる要素が増えれば増えるほど、できれば寿命が長くて、頭がよくて、外見も良くて、と欲が深くなっていくのは当然の流れです。しかし、人の能力や将来は遺伝子が100%決めているわけではない。環境や、その人の努力次第で未来を変えることができる。たとえ遺伝子的に恵まれていない、自然受精の子供でも。この作品は、科学を万能視する風潮や、利益のために倫理を軽視する社会のあり方に対する、痛烈な皮肉ととらえることができるのではないでしょうか。
不可能を可能にする人間の底力
遺伝子操作により、優秀なDNAを持つ人間は優遇され、自然に生まれた人間は、「神の子」と呼ばれつつも、不適正者として社会的差別を受けているという世界のお話です。自然出産で生まれた、主人公ヴィンセントが、不適正者ではなることの許されない、宇宙飛行士になるという、ただ一つの夢を叶える為に、様々な手段を使い、痛みに耐え、ひたすら努力する姿に心を打たれます。不適正者とバレないように、必死で体中をこすって、皮膚や老廃物を落としている場面は、本当に切なくなります。人間は努力すれば、不可能を可能にするのだという、夢のある映画だと思います。男性は、好きな人が多い映画ではないでしょうか?
遺伝子で全てが決まる近未来
生まれた瞬間に心臓病になる確率、欝になる確立、才能、死因、寿命などが遺伝子検査でわかってしまう近未来遺伝子操作で優秀な子孫を残すのが当たり前の時代に両親が勢いで作った劣等的な遺伝子をもつ主人公。その主人公がハンデを背負いつつも、夢の宇宙飛行士をめざすという話です。優秀な遺伝子を持つ者に、血液や尿などを提供してもらい、遺伝子を偽装して、生活するのですがばれるの?ばれないの?とドキドキしてしまいます。夢のために一生懸命で前向きな主人公!という感じではなくコンプレックスを持ちながらも悩みながら、がんばる主人公は思わず応援したくなります。