カッコーの巣の上での感想一覧
映画「カッコーの巣の上で」についての感想が5件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
ミロス・フォアマン監督の正気と狂気の混乱を描いた問題作「カッコーの巣の上で」
この映画「カッの巣の上で」の原作は、ケン・ケイジーのベストセラー小説で、アメリカの反体制的な若者達に圧倒的な人気があると言われている。 この映画の原題は、子守唄の「一羽は東に、一羽は西に、一羽はカッコーの巣の上を飛びました」というのからきているが、カッコーには"狂気"の意味があるのだ。 この「カッコーの巣」とは、精神病院ひいては、その象徴する非人間的、没精神的な現在の管理社会を意味しており、それに反抗して、自由な精神の翼でもって、独り飛ぼうとしたのが、ジャック・ニコルソンが熱演するマクマーフィであり、彼が落ちたその後を、その精神を受け継いで、代わって飛び立っていったのが、ウィル・サンプソン演じるインディアンのチーフであるというように、理解する事ができるだろう。尚、カッコーは、他の鳥の巣に卵を産むというから、「カッコーの巣」には、もっと深い意味が潜んでいるのかもしれない。 仮病を使って、刑務所...この感想を読む
精神病院での話
精神病院での映画はあまりない。この作品は大学の授業で見せられたりもする。知人が精神病院に入院して、再度、見た。どの時代においても、精神病院は、ろくでもない。この映画に限らず、ジャック・ニコルソンの演技はいつもすばらしい。でもこの映画はとても特別なものだ。刑務所からにげるために仮病を使って精神病院に入院したランドル。ランドルは患者を扇動する。そのカリスマ性はすごい。カッコーの巣は、精神病院を表している。ラストに驚いた。ハッピーなのか、そうでないのか、人によって変わるラストだ。ただ、良くも悪くも、心に残る作品であるのは間違いない。
精神病院で自由を叫ぶ
ケネディのお陰でアメリカの精神医療改革が進み、精神病院の劣悪な環境は改善されたと聞くが、作中の病棟の様子を見ると閉鎖的で索漠とした印象を受ける。主人公のマクマーフィーは茶目っ気たっぷりで野卑なやさぐれ者で、刑務所の労働を嫌い精神を病んだふりをして入院するのだが、規則と義務という尺度でしか人間を見ることが出来ないようなラチェット婦長と衝突を起こす。その結果は悲劇的なものだ。一見すると非人間的なまでに厳格な婦長のほうが悪役ということになろうが、婦長の治療上の判断はそこそこ的確であり、マクマーフィーは病気を装っているにしては行動が過剰すぎるところがある。善悪のレッテルがはれない巧妙なつくりになっているのだ。ただ婦長の患者の主体性と個人の意思を軽視する態度は明らかに問題があるが。それは旧来の精神医療の問題でもある。
若かりし日のジャック・ニコルソン
精神病院が舞台になったということで、「17歳のカルテ」と比較されることが多い、精神病院を扱った映画としてはかなり古い作品になります。若かりし頃のジャック・ニコルソンが、刑務所行きを逃れるために精神病を装って精神病院に入院したマクマーフィーという男を演じています。マクマーフィーが騒ぎを起こしたために強制的に施されたロボトミー手術はそれが要因の1つと成り実際に事件になったことがあります。精神が患った病気を癒すはずの病院で、人間性を奪われ、精神を破壊される、そんな当時の精神医療の問題や、人間の尊厳について鋭く描いた、歴史に残る名作であり、問題作(提起するという意味での)だと思います。
自業自得よりもバッドエンド
「カッコーの巣の上で」という映画のタイトルから、内容を想像できる人は少ないと思いますが、原題はCuckoo's Nest、精神病院の意味があるらしいです。タイトル通り、この話は精神病院が舞台になっています。そして、主役のジャックニコルソンは精神障害と偽って、刑務所から送致されてきたいわば悪人です。しかし、精神病院での閉鎖的で、管理主義な環境を変えようといろいろ試みていき、他の患者たちにも影響を与えていきます。しかし、ある事件を機に、彼は悲劇的なラストを迎えることになります。今までの彼の行いからしてみて、自業自得と見ることは可能ですが、後味の悪いバッドエンドに思えます。