血の飛び散る中で交錯するひとりの革命家とひとりの暗殺者のふれあいを、厳しくクールに描いた秀作 「暗殺者のメロディ」
同じ暴力のあらわれには違いないとしても、「革命」と「暗殺」では、志の次元が開きすぎている。いや、向かおうとするベクトルが逆すぎる。革命は、発展への飛翔。そして、暗殺は、飛翔への拒絶だ。革命は、大きく前へ開いた民衆の燃焼であり、暗殺は、誰を倒すにしても、小さく後ろを振り向いた個人の暴発にすぎない。しかし、それだけ違う革命家と暗殺者の、その人生には一つだけ共通点がある。血塗られたその一生の、どこにも、彼には安穏はないという一点だ。緊張。彼の肉は、血のソースの中で堅く凝固している。このジョセフ・ロージー監督、リチャード・バートン、アラン・ドロン主演の「暗殺者のメロディ」は、クールで戦慄を覚える秀作だ。ここには、ひとりの革命家と、ひとりの暗殺者の人生とが、ピッケルの尖った切っ先きで触れ合う、死の出会いが厳しく見つめられている。飛翔を夢見る革命家の頭脳と、飛翔を拒む暗殺者の腕が、血の飛び散りの中...この感想を読む
4.54.5
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