映画の強みである映像だけが持つ、実感の具体性で捉えたジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件「ダラスの熱い日」
映画「ダラスの日」は、生まれるべくして生まれた作品だと言えると思う。ジョン・F・ケネディ大統領が、1963年11月22日の午後に、テキサス州のダラスで、三発の銃弾を受けて死亡したその年の暮れ、新大統領ジョンソンは、最高裁長官ウォーレンに委員会を発足させ、事件の公式解明に当たらせたのだった。翌1974年9月、この委員会は報告書を提出したが、それによると、ケネディを殺したのもオズワルド一人、オズワルドを殺したのもルビー一人、そこには何らの背後関係、陰謀もないということだった。この報告書は、結論の明快さの中で、数多くの謎を謎のまま押し切ってしまったものだった。例えば、三発の銃弾にまつわる謎などである。幾人かの人々が、疑惑から独自の発言に立ち上がり、あるいは、かねての探査結果を、世界につきつけた。「ダラスの熱い日」の原作を書いたマーク・レーンは、そのような調査者の一人なのだ。共著のドナルド・フリードは、常...この感想を読む
3.53.5
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