蟲師の感想一覧
漫画「蟲師」についての感想が4件掲載中です。実際に漫画を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
正しい妖怪とモテ中年で綴る、新昔話。
これぞ妖怪の正しい姿。妖怪、と言えば日本人である我々はすぐに鬼太郎の世界観をイメージするはずだ。しかし、アニメ鬼太郎は実はすでに妖怪ではない。アニメだったとしてもノイタミナ枠でやった「墓場鬼太郎」の方だ。妖怪には目的はない。妖怪に意思はない。実に大自然に近い、事象と命の境目があやふなやもの、それが妖怪。蟲師では「蟲」という存在がそれであるが、その手加減の無い目的のなさや理不尽さにしびれる。妖怪ってこうでなくっちゃ!また、古代日本(古事記の時代)では、命の誕生を「蒸す」と表現していたという説がある。湿度のある場所に現れ出る・・・というイメージなのか。ページ中に漂う霧の湿り気と「むし」という響きは、部屋のすみっこでなにか不思議なものが産まれて蠢いているような印象を与える。時代設定のあいまいさもまた大変よろしい。江戸から明治までの謎の時代、といった設定らしいけれど、こちらとしてもバキッと「〇...この感想を読む
これはホラーになるのか
ホラー分類であることに少し笑ってしまった。でもそう考えるとそうなんだろうか。人に見えないモノが見えているとか。でも、神秘性があって、謎めいているところがとても面白いし、そんなにグロイものもない、すごく大人しく静かなテンポなのだから、ホラーではなく、どちらかといえばファンタジーなのではないかなと思う。この作品、最初は映画化され始めたときにテレビで流れていたCMを見たときはただの面白おかしくグロくしている話なのかなと思って全然興味を示さなかった。アニメや漫画のホラーは、面白いというのより必要以上に血をだしたりグロくしている部分がある気がして、あまり好きではなかった。それよりは、話の内容が面白い、趣深い、よかったとじんわり思える方がすきである。今ではホラーな作品も、刺激を求めてみることがでてきたが、蟲師はその分類ではない。蟲師は、生物が好きな人にはとてもお勧めである。細胞の話とか、中学や高校...この感想を読む
はまる!めっちゃはまる!
面白くてたまらない。アニメからはいったけど、アニメも漫画の世界観を壊さずやってるんだなあと思った。目の中に蟲がいて、光を見られなくなった女の子に自分の義眼をあげたり、沼と一緒に死のうとした、元人柱の女の子を助け、女の子が生きる意味をみつけようとしたり、とにかく切なかったり、興味深かったりする話が多い。蟲というのは妖怪でもなくおばけでもない感じらしい。そういわれるとちょっと入り込みにくい設定なんだけどなぜかすっとはいりこめる。ギンコの目についてはまだ触れられてない。なんで片目がないのか、蟲師になったのかなど、気になることがいっぱいあるので続きがたのしみ!
生命の原生体とヒトを結ぶ蟲師の話
生物ではない、もっと下等で命の本質に近い蟲を捕えたり、退治したり、研究したりする蟲師の話。話の内容はとても独特です。絵柄も素朴さが溢れていて、昔の日本のような時代背景や話の内容に合っています。主人公のギンコの「何があっても自分を見失わない冷静さ」が大事ですら抑えていて、割と淡々として進みます。しかし、決して面白みのない単調さになるのではなく、テンポよく読めます。それが丁度よく読みやすいです。1話完結形式で繋がっているので、どこから読み始めても面白く読めます。蟲に悩まされる人々を助け、その報酬をもらって旅を続けるギンコがカッコイイです。漫画原作でアニメ化されたものにがっかりすることも多い私ですが、この作品は漫画の1話ずつが短いこと、また、綺麗にまとまっているためか、原作のイメージを壊さずにそのままアニメになっていて放映を見ながら興奮したのを覚えています。なので、原作ファンの方も声に違和感が...この感想を読む