軽くコミカルながらも現実を描いた物語
他と比べて少し異色な短編集荻原浩の短編集は珍しくない。「さよなら、そしてこんにちは」や「ちょいな人々」などたくさんの短編集を出している。その中でもこの「冷蔵庫を抱きしめて」は少し異色に感じる全体的なカラーがある。今までの荻原浩の作品だと、どこかほんわかとしながらも切なく少し笑ってしまいながらちょっと涙腺がゆるんでしまいそうな、そういう穏やかな優しさといったものがいつもある。でもこの作品にはそれだけでなく、その上に少し現代的な問題というか、ありがちなんだけどちょっと笑って見逃せないような問題を交えている。この本には全部で8つの短編が収められているのだけど、その全てに(それも現代的といってもいいのか)テーマとして病気や悩みが描かれているのがその異色に感じるところなのかもしれない。例えば一番最初の物語「ヒット・アンド・アウェイ」はDV男と戦うシングルマザーを描いている。荻原浩の文章ではほんわ...この感想を読む
3.03.0
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