SFの中にあるユートピアの姿 - アイランドの感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

SFの中にあるユートピアの姿

4.54.5
映像
5.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.5

この作品の舞台設定は2019年だが、予想以上にすぐそこの未来であることに驚く。 作品の中の衣服や小道具や乗り物は、思ったほど未来というわけでもなく、我々が今生きているこの現在から地続きな未来というものは、こうなんじゃないかと思わせてくれる。 それもそのはず、主人公は『世界は大気汚染で人々がまともに住めなくなった』と理解させられていたが、本当はその隔離された施設の外側に、ちゃんと人々のクラス世界が存在していたのだ。 主人公が何故この施設で暮らしているかは、ストーリーを追ううちに明らかになる。主人公たちは安全だが退屈な毎日を送り、そして地上最高の楽園『アイランド』へ行く抽選に当選することだけが楽しみだ。 この地上最高の楽園、という表現はつまりユートピアの具現化だと思われるが、ユートピアを語る上で必ず対になるのはディストピアの存在である。退屈だが安全な施設の暮らしこそがディストピアなのか、それとも他に対象となる世界があるのか。その構造論を考えながら見ても面白い作品だ。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

アイランドが好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ