人間に戻るためペンギン人生も面白おかしく生きる - タキシード銀の感想

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タキシード銀

5.005.00
画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
4.50
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人間に戻るためペンギン人生も面白おかしく生きる

5.05.0
画力
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.5
設定
5.0
演出
4.5

目次

ストレートな純愛が気持ち良い

人間からペンギンに転生し、そのペンギンの人生を全うすることで生き還ることができるという、面白い設定で始まったタキシード銀という作品。

せっかく人間以外の人間に転生できるのに選んだ動物がなぜかペンギン。例えば、羽根のある鳥ならば大空を飛びまわることができるので、日本全国どこにでも行けて「良いなぁ」と楽しめそうだと思うのですが、銀次が選んだのはペンギンでした。「何でペンギン?」という疑問も、愛する女性である美奈子が好きな動物ということで選んでいました。そんな銀次は、美奈子への想いがとても強いんだなと感じました。

そもそも、事故に遭って死ぬ前の銀次と美奈子は数回しか会ったことがないのに、お互いを生涯のパートナーであると確信して、お互い信じ続けていたのもすごい純愛だと感心しました。

姿を消した銀次を、毎週公園のベンチで待ち続ける美奈子、その美奈子の姿を見てペンギンになってまで生き還ろうとする銀次。ペンギンになってからは、美奈子に拾われたことで家に住まわせてもらい、傍にいてピンチの時には駆けつけ、自分が傷ついても美奈子を決して傷つけることなく必ず助けるというのは、好きな気持ちが表れていて気持ちが良かったです。

最後に黒崎の復讐に遭い、車に轢かれて死ぬ運命にあった美奈子を、銀次は自分の身を呈して救いました。この行動は本来は転生するための条件違反になるため、二度と人間には戻れない、美奈子に会うことはできないと分かった上での行動でした。

止まった時間の中で天使が問うた質問に銀次の答えは「愛する女を守り抜く」

銀次は二度と美奈子に会うことが出来ないとしても、愛する人が生きていてくれるだけで良いと取った行動でした。このラストシーンは何度見ても泣いてしまいます。

その後、天使の計らいで人間に戻れた銀次は美奈子の持つポケベルに「タダイマ」と。銀次が帰ってきたことだけが嬉しくて、それだけで幸せだという美奈子の最高の笑顔がラストに見れて気持ちの良い純愛ストーリーでした。

表情豊かなギン

そもそも、ペンギンが普通に商店街を歩いたり、服を着たり、お風呂に入って食卓で海老フライを食べる。そんなありえない風景を、さも日常に起きていることのように描いているので、それだけで面白い作品です。

さらに、ペンギンのギンはとても表情が豊かなので、人間の言葉は発していないのに見ているだけで喜怒哀楽が分かります。特に元ボクサーでチョイ悪だったので、怒りの表情はとてもリアルに描かれていました。

特に美奈子が不良に連れ去られたりしてピンチの時は、眉間にシワを寄せて、目つきの鋭さをアピールしてガンを飛ばしているシーンは、とても怒りの表情がリアルで「怒ってる」というのがありありと感じました。

逆に、喜びの表情も可愛いと思いました。美奈子が優しくしてくれたりバレンタインやクリスマスにプレゼントをくれたりした時には、嬉しさと感動でとても優しい顔をしていました。嬉しそうだというのが表情だけで伝わりました。

他にも、学園生活を楽しむ男子学生だけあって、スケベな表情もしていました。この時の表情は分かりやすく、目尻が下がって口元もゆるんで「ペンギンのスケベ顔はこんな感じなんだ」と可笑しかったです。

さまざまな展開のおもしろさ

ペンギンで町中の人気者になったギンには、たくさんの仲間が増えてきました。

たびたび登場する同じペンギンのマイクは、水族館のペンギンで頭が良かったのですが、間違った解釈をすることが度々あって、ギンにどつかれているのが、漫才のようで笑えました。

恍惚のディスプレイや抱卵など、ギンが本能的に行動している時、冷静にペンギンの生態について語るマイクにギンがツッコミを入れているシーンが面白くて好きです。本能なのでどうしようもないギンと調教されているので、本能を抑えている冷静なマイクとの掛け合いがなんとも言えず笑えました。

マイクが連れてくる仲間も面白い動物ばかりで、ありえない展開も膨らんでいき面白くなりました。

まず、セイウチのナナちゃんの登場でした。ナナちゃんは動物園の人気セイウチですが、とても強いギンに惚れました。そのためギンがピンチだと分かると悪者を強烈なパンチで張り倒すというシーンが何度もありました。セイウチが人間をパンチする、そして暴力をふるってしまった自分を恥じるセイウチという何とも言えない展開で笑えます。

マイクの養女であるダチョウのシルビアも可愛い仲間です。ある時、成長してしっかりとダチョウになったシルビアにマイクが乗り、手綱を付けてギンの所に来ます。ダチョウをまるで馬のように乗り回すギンとマイクは、商店街の人たちもびっくりする面白いシーンでした。

他にも、正月に飲酒してゴジラのように暴れまわる美奈子も、酒癖の悪さが厄介ですが可愛い一面が見れたり、思春期の男子がしそうな、女子高に忍び込むという話もありました。セキュリティのしっかりした現代では、忍び込めないですが、さすが昭和。変装したり忍者のように壁を伝うなどの手段を取っていました。「本当に学生かな?」と思えるような展開にツッコミをいれながら最後まで楽しめた作品でした。

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