キャストは豪華なのに、こんなに地味な印象とは……
「指輪をはめたい」を視聴した感想です。
まず最初に申し上げたいのは、山田孝之さんが、久しぶりにイケメン役だったということです。
山田孝之さんといえば、「勇者ヨシヒコ」や「闇金ウシジマくん」などが代表作で、幅広い演技を見せてくれる個性派俳優さんです。
しかし、そういえば若い頃はイケメン役の多い、正統派のイケメン俳優さんでしたね。
近年忘れていましたね、そのことを。
この映画は、山田孝之さんがイケメン俳優だったということを、思い出させてくれました。
今回の輝彦役は、三人の女性にモテてしまう、正統派のモテる主人公でした。
山田さんが演じる役としては、あまりクセのない役柄で、むしろ「いいのか…?」と疑問に思うほどでした。
山田さんといえば、それほど個性派俳優のイメージが強いのです。
最後まで「何かあるんじゃないか、何かあるんじゃないか」と身構えていましたが、何もなかったですね。
ちょっと輝彦のキャラクターが薄すぎて、山田さんでは勿体ないかも?と思ってしまいました。
もっと難しい役でも平気でできる俳優さんなので、こういう誰でもできそうな役だと勿体ない感じがしますね。
勿体ないといえば、豪華な女優さん三人が勿体ない感じがしました。
小西真奈美さん、真木よう子さん、池脇千鶴さんの三人が、輝彦が三股をかけていた女性達として登場しますが、一人でも主役を張れる女優さんが三人も出ていながら、わりとみんな登場時間は少ないのが勿体ないと思いました。
全体を通して見ても、「あれ?これだけしか出ていないの?」と思ってしまいました。
もっと話にガッツリと絡んでくるのかと思いきや、そんなことはなかったですね…。
どの女優さんも好きなので、そこは残念でした。
また、こういったストーリー展開なので、当然浮気がバレた後の修羅場も期待してしまうのですが、そのシーンも短かかったな、と思います。
ストーリーの結末でも、結局三人はどうなるのか?が描かれておらず、消化不良な感じがしました。
「いや、輝彦は記憶が戻って良かったかもしれないけど…」というモヤモヤが拭えませんでした。
振ったのか振られたのか、関係はみんな決着をつけた方が、主人公に好感を持てたのではないか、と思いました。
作品全体の中で、印象に残ったシーンがない…
また、テーマは面白いのですが、作品を最後まで観た後で、「このシーンは良かったな」と思い出せる所がないのが残念でした。
記憶を失った輝彦は、カバンの中から結婚指輪を見つける。
そしてどうやら、輝彦には三人の彼女がいるようだ。
一体輝彦は、誰にプロポーズしようとしていたのか…?
という、テーマはすごく興味をそそられますし、面白いと思うんです。
しかし、結果として面白い映画だと思えなかった背景には、脚本が面白くなかったのかな、と思います。
一番まずかったのは、やっぱり「輝彦が三股をかけているスリル」が無かったところだと思います。
いつバレるのかヒヤヒヤする演出でもあれば、緊張感があったと思うのですが…。
映画のあらすじを聞くと、そうした演出はやっぱり期待すると思うので、肩透かしを食らった気持ちになりました。
また、二階堂ふみさん演じるエミと、取り巻きのスケート少女達の登場シーンが、長いなと思いました。
ストーリー中盤から、何となく「本命は実は三人の中にはいなくて、エミが本命なのではないか?」と勘ぐってはいましたが、基本的には三人の彼女達の三つ巴をもっと見たかったので、「エミの登場シーン、無駄に長くない?もっと三人を映してよ」とイライラしました。
また、このエミの演出が、記憶の中の彼女ということで、いやに少女っぽく、のったりのったり喋るんですよ。それが余計にイライラしました。
(ただ、現実のエミの地に足のついた演技とのギャップは、素晴らしいと思いました。
まさに記憶の中の彼女は美化されまくった存在で、現実のエミは普通の人なのだと、観客も輝彦も思い知る演技だと思いました。)
演出は全体的に少女趣味な印象。…山田孝之さんが主演で?
また、全体的に少女趣味な雰囲気が作品に漂っているのも、少し気になりました。
ロケ地のお城のオブジェのある公園だったり、昭和記念公園の丸っこい建物だったりのモチーフや、スケート少女達が輝彦を取り囲む演出。
三人の彼女の様子を写し出す、人形の家のようなかわいらしい小窓…。
そして女医を演じる水森亜土さん…。
全体的に、すごくかわいいんです。すごくかわいらしいんですよ。
それは悪いことではないんです。
しかし、男性が主人公の作品においては、あまりにもかわいすぎるのではないか?と思いました。
これが二階堂ふみさんが主人公だったらアリだったと思いますが、山田孝之さんが主人公ですからね。
正直、山田さんの雰囲気には、全く合っていなかったです。
山田さんが頑張って自然な男性を演じれば演じるほど、作品の世界観とは合わなくなってしまうように思いました。
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