漫画という媒体を生かし切った最高のエンターテインメント - うる星やつらの感想

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うる星やつら

4.704.70
画力
4.50
ストーリー
4.50
キャラクター
5.00
設定
5.00
演出
4.50
感想数
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読んだ人
7

漫画という媒体を生かし切った最高のエンターテインメント

4.74.7
画力
4.5
ストーリー
4.5
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
4.5

目次

大人から子供まで楽しめる昭和の作品

この作品は1979年から少年サンデーに掲載されていた昭和のギャグマンガだが、50代の男性や団塊ジュニア世代には思い出の作品とも言えるだろう。

毎週水曜日に放映されていたアニメからファンになり、原作に触れた人も多いのではないだろうか。元々は、中高生男子がターゲットの作品だと思うが、小学生から大人まで誰でも楽しめる要素がある作品だ。鬼の様な容姿をした宇宙人の女の子に好かれて困るという高校生男子の設定から、一話完結方式でどんどんユニークなキャラクターが増え、作品の設定さえ把握してしまえばどこから読んでも楽しめるようになっている。

近年の作品は、登場人物に魅了されてもファン層が限られていたり、アニメの放映時間がとんでもない夜中だったりして、録画という方法があるにしてもなかなか万人受けする原作漫画というもの自体が少なくなってきている。しかし、このうる星やつらのとりわけ「ラムちゃん」は、実在のアイドルと同じくらい熱狂的なファンがいた。それだけ登場人物に、個性や重さが感じられた。

作風の明るさも、昭和の元気な時代の象徴という感じがする。おそらく、現代の若者が読んでも、学校などの様子が若干古臭いことを覗けば、十分受け入れられる作品だと思う。

去る者は追うし、来るものは拒む!?

主人公諸星あたるの女好きは有名であるが、彼は本来は来る者も去る者も女性なら追いかけるタイプである。しかし、ラムちゃんの束縛があまりに酷いせいなのか、言い寄ってくるラムちゃんは邪険にし、他の女性には殴られようが蹴られようが猛アタックしている。

やや運動神経は良さそうだが、勉強ができるわけでもなく、ライバル面堂などに比べると同じアホでも特段イケメンではないのに、あたるは憎めないばかりか共感が持てる。これは、大半の凡庸な男子学生の妄想が漫画媒体上で具現化されていたり、あたるが間抜けだからこそ女子にモテない男子にはうなづける心理が沢山あったからだと思う。

また、女性のファンとしても、なかなか好きな人が振り向いてくれない心理や、彼氏がどうしようもないなどの悩みを、女性キャラを通じで共感することができた。

恋愛面ではいざこざはあるものの、それがどろどろした修羅場ではなく、ラムちゃんの電撃だったり元々のあたるの彼女だったはずのしのぶの怪力によるお仕置きで、笑えるシーンになっているので子供でも楽しめてしまう。

一方で、いつもはしつこいラムが離れて行ってしまうようなことになると、シリアスにも泣いてしまうようなあたるの気持ちも、いつもいるはずの人を失って大事だという事に気づくという教訓めいたシーンもあり、最後にはギャグにつながっていくものの、味のある恋愛模様が織り込まれた作品である。

新しい存在、藤波竜之介

うる星やつらには沢山の美女が出てくるので、あたるもつい目移りしているようだが、中でも異質なのが「藤波竜之介」の存在である。一見かなり格闘慣れしたイケメン男子生徒のようであるが、実は父親に男として育てられた、常に女性の服装にあこがれを持っている女生徒なのだ。

ベルサイユのばらのオスカルのように、女性としての自覚があって男装や男性としての生き方を受け入れているタイプとも違うし、性同一性障害というわけではない。言葉遣いなど表面的なことだけが男性で、いやいや男子を親にやらされている女子という新しい設定だ。そうかと思うと、男言葉に慣れ親しんでしまっているのか、女言葉はおかまみたいで抵抗があると使えないらしい。

非常に複雑な女性像である。

しかし、この竜之介とその父の存在は、うる星やつらをかなり面白くしたと思う。著者の高橋留美子さんも気に入っているキャラクターのようだし、竜之介のような女の子は女子の目から見てもかっこよく憧れる。最近は、高校野球の応援団にも、団長が女子なんてことがざらにあるようだが、そういう報道を見るたびに、藤波竜之介のことを思い出す。非常に時代を先取りしたキャラクターだと言える。

それぞれの個性が忘れられない

奇妙なお坊さんの錯乱坊、その姪の巫女のサクラ、ラムの元婚約者のレイ、レイを追い回すラムの友達のラン、その他あたるの家族や級友など、あまりに個々の個性が強くて、いつまでも記憶に残る。

宇宙人や河童など、本来架空の物がどんどん出てくる世界観なので、何でもありでハチャメチャな事件が起こるのは、漫画媒体ならではだろう。漫画とは、本来こういう現実には起こりえないけど、起きたら笑ってしまうような内容の物がもっとあってもいいのではないだろうか。

現実に沿っているようで非現実的な作品で、思い切り声を出して笑えるものは、日常のくさくさした気持ちを吹き飛ばしてくれる。キャラクターの強烈さに、現実の人間関係すら馬鹿らしくなってくる、そんな気持ちに支えてくれる。日本の元気な時代に老若男女に元気を与え続けた漫画が、今も話題になるのは、現在本当に求められている作品が、うる星やつらのような、意味もなく読むだけで元気になって夢中になれる作品なのではないかと思う。

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