他の物語にはない高度なバトル物語 - 将国のアルタイルの感想

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将国のアルタイル

4.004.00
画力
4.50
ストーリー
4.50
キャラクター
4.00
設定
4.00
演出
4.00
感想数
1
読んだ人
1

他の物語にはない高度なバトル物語

4.04.0
画力
4.5
ストーリー
4.5
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.0

目次

世界史に似せて作られている

おそらく、この物語はオスマン帝国ができた初期あたりを舞台にしたのではないかと思われる。パシャや将軍、ディクタトルというような用語は世界史で出てくる単語である。実際にバヤジットなどは世界史で登場しており、オスマン帝国のために戦った将軍として、世界史では描かれている。トルキエの将軍の長もスレイマン1世に似ている。それらのことを考えてもオスマン帝国に似て、物語が作られていることが分かる。服装もそっくりで、昔のトルコ人はこうだったのかと想像するのもおもしろい。ストーリーもオスマン帝国時代を舞台にしているわりには戦術、戦略ともに細かく、将軍一人一人の人物描写もしっかりとなされている。ただ、最初は一人のヒーロー物語として進んでいたのでそのままいくと思っていたが、途中から愉快な仲間たちが増えていた。戦いがおもに進んでいくにつれて、内容が細かくなっているので、それを通してマハムートの成長過程を見ることができる。戦いの中心が国と国のように見えるが、ベースとしてマハムートが中心に進んでいるので。最初のほうは大方、若くて経験がないパシャで、やめさせられてしまう。そこからのパシャになるまでに仲間と知識、信用を手に入れていく。彼だけではなく、周りのパシャとのやりとりの内容も細かい。カリルとザガノスとの競争、戦術はしっかりと聞いていないと理解できないほど。ザガノスとは味方であるが、細かくみると競いあっているようにしか思えない。だが、敵は同じ帝国なので手をとっているように見える。一番上の将軍とのやりとりも目が離せない、自分ならばパシャから外された時点で反抗してしまうものだが、マフムートはじっと我慢していて、そこが少年とは思えないほど大人なところだ。

キャラクターのスタイル

マハムートパシャはほんとうに正義感が強い。いかにもヒーローにあこがれた少年といった感じだ。とても優しく、ひと思いでビュジュアルも最強なマフムートにはファンも多いはずだ。イスカンダルという鷹もとても役にたっていて、強い。彼一人で相手の将をやっつけられるのではと思うほど、的確に相手を攻めている。戦術を考えるのもうまく、カリルの教え子として十分に期待に答えている。カリルパシャが途中で刺されて死んでしまうのは意外で、とても残念だが、そこでマフムートの戦術家としての才能が光る。カリルがマフムートに教えているシーンをもっと増やしてほしいところではある。あまりにもカリルの死が潔しすぎてびっくりだった。マフムートは戦略だけでなく、外交の能力もたけており、経済制裁のような感じで帝国を追い込んでいる。そこで貿易で味方になる国、敵になる国を見定めていて、設定がとても細かい。その帝国の貿易のダメージを負わせることで敵国の部隊を降伏させて味方にしたり、味方につけている。以前まで敵のような存在であった小国もどのようにしたら味方になるのか、その場合のメリット、デメリットを彼は分析しているので戦略家としてとても頭がいい。その国が味方になればそこと友好を結んでいる同盟国のことまで考えているのだから、少年とは思えない。将棋のように自分の国の手数、戦力を考えて、どの手をうったら、相手はどのように反応してくるかを考えている。そのやりとりも一つの国が、まるでゲームの盤上のようにあっというまに動いている。そこにはほんとうに目が離せない。アビリガとキュロスのコンビもとてもいい。アビリガの強さと頭のよさはマフムートが活躍するときは彼も同時に活躍するほどで、重要な仲間だ。キュロスは冷静で口はあらいがとてもいいやつでおもしろい。3人はとてもチームワークがよく、仲がいいので戦略を建てるときにとてもバランスがいい。敵のキャラもとても強く、戦術を考えるのもうまいのでマフムートたちは苦戦を強いられる。カリルを倒したピノとの戦いはこの物語の中では目玉と言っていいと思う。一つ一つのバトルーシーンにはさまざまな武器があって、部隊の陣形も細かい。とても繊細に迫力も一緒に入って描かれている。バトルシーンの迫力はほかの物語と比べてもレベルはものすごく高い。

この物語が人気な理由

この物語で出てくるキャラクターはどれもイケメンでかわいいキャラクターがたくさん出てくるのでみていて心地よい。まさかのマハムートの女装姿のレベルが高すぎてすごい。たしかに正義感が強い少年であるのだが、かわいいと思うところもたくさんあるところが好感を持てるところだ。彼とトルコのバックグランドが見事にマッチしていて、内容がすぐに頭に入ってくる。実際に世界史で聞いたことがあるようなキャラクターがたくさん出てくることで、彼らを調べてみたくなる。実際に調べると性格が似ているのではないかと思う人物もいて、想像を膨らませるのが楽しい。読むだけでなく、内容を推測しながら、イメージを膨らませることでこの物語はさらにおもしろく感じることができるだろう。

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