評価されるべき物語 - Fate/Zeroの感想

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Fate/Zero

4.754.75
画力
4.75
ストーリー
5.00
キャラクター
5.00
設定
4.50
演出
4.50
感想数
2
読んだ人
4

評価されるべき物語

4.54.5
画力
4.5
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
設定
4.0
演出
4.0

目次

議論が分かれる

聖杯をマスターと歴史上に出てきた人物がサーヴァントとして召喚された状態で争う物語です。アーサー王といえば男のイメージだが女性であり、男に勝る活躍を見せてくれる。理想主義者であり、騎士道精神を持って行動する姿に憧れを持つ。一方で主人公キリツグは現実主義者で、アーサーとは全く考え方、性格が合わない。そんな険悪な状態の中でもアイリスフィールがいることで場が和み、ストーリーに感動を持たせてくれている。彼女がキレイにやられるシーンでは、セイバーに早くかけつけてほしいと思った人も多いだろう。一見役に立たなそうな彼女だが、魔力については、魔道師なので持っている。キリツグの戦力になっていることはランサーとの戦いで明らかである。7人のマスター、サーヴァントともに一人ひとりの考え方が全く異なっていて、個性があっておもしろい。大方の予想どおり、真っ先にキャスターがやられるのだが、その戦いもすさまじくてあきない。その前に「聖杯の問答」があって王の器の大きさと考え方、価値観を比べている。「王とはどうあるべきなのか」、「王に必要な資質は何か」、「王が願うべきものは何か」、全てが問答でためされている。見ている側はこんな王につきたいと思う人もいるかもしれない。そんな思慮深く、頭脳と身体能力のレベルの高いもの同士が戦う物語なのだ。そんなすさまじい戦いの中でキリツグは自分の夢である「世界の救済」をかなえようとする。視聴者はどのようにこの問を解くのかを投げかけられているように感じた。世界を救うとは抽象的である願いなのは間違いない。世界には戦争だけではなく、平等、差別、宗教などの問題が山積みであり、一気に解決することは不可能なのだ。願いというのは聖杯が示したとおり、当然に自分の知っている方法でしか叶えられないのだから。この難しい難題を一見、「悪の敵を倒す伝説物語」というような内容で、子供が見ても楽しめそうに見える。しかしながら、かしこい大人が解決するのがが難しい理想主義と現実主義のぶつかり合いや世界の救済方法などの問を物語の中で出している。

誰を主人公にしたいか

この物語は誰に焦点を当てて、ストーリを作ってもおもしろいと思う。ランサーに当てても騎士道精神をつらぬいたかっこいいキャラクターで、なけるストーリが作れるだろう。愛した姫を救って一緒になろうとして死んだエピソードはあまりに泣ける。セイバーとの戦いもすばらしいもので、マスター同士の考え方があそこまでずれていなければ、騎士道らしい戦いができたことは間違いない。ただ勝負であるので卑怯もやり方も関係ないという人もいるので人の意見が分かれるところではある。

個人的にライダーにはもう少し敵をやっつけてほしかったというのはある。男としての器もアーチャーよりは大きいと思うし、「征服王」という言葉にあったキャラクターは他にはいないだろう。王とは何かという問の考えをセイバーにもっとぶつけてほしかったところだ。私はその議論のぶつかり合いとともに征服王とセイバーの戦いを見たかった。聖杯の問答でもアーチャーの考え方は論理的に通っているが、どうだろうか。

キャスターはただの殺人大好き者なので論外ではあるが、バーサーカーは判断が難しい。たしかに同情するところもある。マスターであるカリヤにも心を痛めた人もいるだろう。あまりにもこの物語は残酷に人が死んでいくので。

世界を救う

まさかマンガで考えるとは思わなかった問である。キリツグはいらない人間をとにかく排除してきた。いらない人間とは悪質な犯罪者などだ。それらは切り捨てればより多くの命が救われると考えたのだ。ただ、キリツグは他に救う方法があってほしいと願い続けいたのだ。この問題がかなり難しい問だ。たしかに犯罪者、テロリストが減れば救われる命が増えるのかもしれない。ただ彼らをつねに消していけば屍だけが残るだろう。いつしか、殺した人数が膨大になることは間違いない。そのことを深く問われている。それこそセイバーがいう「悪を憎んで悪をなすなら、また新たな憎しみを生む」という結果を招くだろう。

世界がなしてきたこと

キリツグがたしかに現実的なことをセイバーに述べいるシーンは好きな人も多いと思う。たしかに昔の王や指導者は戦争を美化しすぎていたとも考えられるのは事実だ。全員がそうでないかもしれないが、さも戦場に救いを求めていた指導者がいたことは事実だ。それは欲であったり、権利であったり、たくさんの血を私たち人類は流してきたのだ。その事実は忘れていはいけない。キリツグがいうとおり、戦場はまぎれもない地獄だろう。そこで買ったとしてもそれは勝利という名の罪科なのかもしれない。このシーンを見た人の中にはこの問にも頭を悩ませた人もいるだろう。キリツグの意見はたしかに論理が通っていて、セイバーの意見も分かる。どちらが正しいという結論を出すのは難しいと私は考えている。

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5.05.0
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