あまりにも切なすぎる物語 - 魔法騎士レイアースの感想

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魔法騎士レイアース

4.504.50
画力
5.00
ストーリー
4.00
キャラクター
3.00
設定
4.00
演出
4.00
感想数
1
読んだ人
1

あまりにも切なすぎる物語

4.54.5
画力
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
3.0
設定
4.0
演出
4.0

目次

納得出来ないラストシーン

社会見学で東京タワーを訪れていた獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風は謎の美少女の声と共に異世界であるセフィーロへと召喚された。あれよあれよという間に敵が現れて、魔法の力に目覚めた光が「炎の矢」で敵を倒す。というかなりスピーディな展開で幕を開けた「レイアース」は、かなりハマりました。異世界という単語もさる事ながら、「導師」や「創師」というファンタジーらしい設定が大好きでした。特に、光達が剣の材料を得る為に行う試練は過酷で、見ていて辛かったです。大好きな相手からの攻撃なんて悲しすぎます。しかし、数多くの試練を乗り越えて行く光達ですが、少し物足りないというのが、魔法のレパートリーの少なさです。「炎の矢」や「水の龍」、「癒しの風」といった簡単な言葉だけだし、いわゆる合体魔法的な物もあまり見られませんでした。それに、魔神である「レイアース」や「セレス」、「ウィンダム」の活躍もあまりにも少なすぎました。内容はとても満足はしているんですが、もう少しバトルシーンも見たかったし、アルシオーネやアスコットといった敵キャラの出番も増やして欲しかったな。それに、内容的にはとても良かったとは思ってはいるんですが、やっぱりエメロード姫の最期は納得出来ませんでした。光達は彼女が囚われているの思って、いろんな事を乗り越えて行ったんですよ?それが本当の目的は自分を殺してもらう為だなんて、そんなのあんまりじゃないですか。まだ中学2年生の女の子が背負うにはあまりにも重すぎます。確かに、エメロード姫も辛かったんだと思います。「柱」として世界の平和を願わなくてはならないのに、ザカートを愛してしまい、そんな自分を攻め続けた彼女と、そんなエメロード姫の気持ちを知りながらも、世界よりも彼女の幸せを選んだザカート。光達に倒され、エメロード姫は幸せそうでした。これでやっとザカートだけのものになれると。でも、光達の気持ちはどうなるんでしょう。再び東京タワーに戻ってきた光達が泣きながら互いを抱き締め、「こんなのってないよ」と絶叫するシーンは胸が締め付けられる想いでした。それはまさに読んでいる私も同じ気持ちだったからです。こんな切ないラスとを見る事になるなんて考えてもいませんでした。

道徳の授業で取り上げて欲しい

世の中は大きく分けて、「正義」と「悪」という定義があります。明確にこのラインがはっきりしている場合は良いのですが、明確なラインがない場合もあります。正義と思って行っていた事が実は悪だったり、他人から見て悪い事でも後から考えたらそれが正しかったりという事は誰もが経験した事だと思います。例えば、いじめられている子を助けようと先生に相談した時に、先生は良かれと思って周囲に確認を取ったり、相手の子に注意をしたりします。しかし、その結果。「先生に告げ口をした」と今度は助けようとした子がいじめられたりします。そうかと思えば、困っている人を助けようと規則違反をおかす人もいます。こんな風にどれが正しいかなんて分からないのです。そういう事を子供達に教える時にこの『レイアース』は教材としても優れた本ではないかと思います。大人が言葉で伝えようとしても、子供達には伝わらない事も多いし、そもそも大人の言葉を最初から聞かない子もいます。でも、コミックだったら楽しみながら学べるのではないでしょうか。自分が「正義」と思ってした行動は、相手に取っては時として「悪」かもしれない。といった事は哲学にも通じる気がするんです。単なる「娯楽」ではない形でコミックが注目されるようになったら嬉しいです。

少女マンガと思えない迫力

CLAMPさんが「なかよし」で新連載を始めると知った時にはかなり驚きました。偏見かもしれませんが、「なかよし」はどちらかというと大人が読む物であって、そこにCLAMPさんの作品が載るという事がいまいち想像出来なかったのです。そして、思った通りかなり違和感はありました。何となく少女マンガのタッチというのは線が細いですよね。髪の毛もフワフワだし、全体的に淡いイメージがあります。同じように女の子向けのアクションファンタジーというと、『美少女戦士セーラームーン』がありますが、やはり線は細く、バトルシーンもさほど迫力はありません。それがCLAMP作品になると、線は太いわ、バトルシーンの迫力はすごいし、スクリーントーンはバンバン使うし。と、少女マンガとは思えない事ばかりでした。しかし、たまにはこういう少女マンガも良いなと、思います。少年マンガのようにも見えるかもしれませんが、今や女の子が当たり前に少年マンガを読む時代です。特にバトルシーンがある作品はこれぐらいの迫力がないとつまりませんし、いつもいつも同じような話では読者は飽きます。これからも、こういった少女マンガらしくない少女マンガがたくさん載ると良いな。と、思います。

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