一体どこまでアドリブ?
そんなアホなっ!
と、思わず画面に向かってツッコミをいれてしまうドラマでした。ドラマというよりはまるでコント番組みたいで、毎週毎週大笑いでした。かなりアドリブがあったのではないかと思います。私立十二社学園で、2年D組を担当している風間大輔はいわゆるマニュアル通りのサラリーマン教師で、生徒達にも情熱を傾けられないダメダメ教師でした。その為、2年D組は崩壊寸前。それで理事長が下した決断はあらゆる学校の立て直しに成功してきたという「伝説の教師」を呼ぶ事でした。そして呼ばれた「伝説の教師」こそ南波次郎という教師でした。が、伝説どころか南波の行動はかなり無茶苦茶で、とてもではないが立て直しが出来るとは思いませんでした。国語担当なのに一度も授業はしないし、借金取りに追われているしで、そんな南波に風間は振り回されます。しかし、そんな南波のセリフは時々私の心に響きました。例えば、「中途半端な正義こそが一番の悪」というセリフは思い当たる気がします。良かれと思ってした事が相手にとっては迷惑だった事があったのです。それから、「イジメはなくならないとちゃうんかな」というセリフには思わずもっともだと頷いてしまいました。こんなふうに南波の言葉は的確なツボをついているんです。真っ向から正義を語られるよりずっと重い気がします。しかし、しかしですっ。第10話で南波が実は教員免許がない事がバレてしまいます。更にはずっと南波を取り立てていた浅井こそが本物の南波だったのです。まさに「なんじゃそりゃあーっ」の世界ですよ。本物の南波が語るには、かつていじめられっ子を強くしたが為にその子がイジメっ子グループのリーダーを襲うという事件を起こしてしまったそうです。その責任から南波は教壇を去ったそうです。ずっとゲラゲラ笑って見ていただけにこの話しはショックでした。でも、私はこの偽物の南波の方が「伝説の教師」だと思います。常識にとらわれる事を嫌い、それなのにもしかしたら誰よりも常識的な南波が私は大好きです。
豪華すぎる最終回
さて、もともとこのドラマの出演者は最初から豪華でした。偽物の南波次郎役の松本人志さんはそれまで「ドラマには(友情出演以外)出ない」との事でしたが、ドラマが始まるとこれほどまでに演技が上手な方とは思いませんでした。いい加減でどこか憎めない南波にピッタリです。そして、風間大輔役の中居正広さんはもちろん誰もが知るスーパーアイドルで、松本さんとのまるで掛け合い漫才のようなやり取りは見ていて本当に楽しかったです。更には理事長役に夏木マリさん。スクールカウンセラーの絹香役には永作博美さんというかなりな豪華さ。しかし、しかしですっ。最終回ではかなり驚きました。何と、松本人志さんの相方である浜田雅功さんと、中居正広さんとは同じSMAPで活躍していた木村拓哉さんがゲスト出演されました。あまりの突然の登場に、思わず「えーっ」と家族中で叫んでしまいました。最後の最後での登場だったので驚いている間にドラマは終わってしまいました。あまりの驚きに、「ドラマが終わって淋しい」なんていう感情は吹き飛んでしまいました。出来ればもう少し早いシーンに出て欲しかったなと思いました。
スタッフが伝えたかった事
一体、スタッフの方は何を思ってこのドラマを作ったのでしょう?往年の学園ドラマである『3年B組金八先生』や『熱中時代』のようなドラマが作りたかったのでしょうか?それともドラマとバラエティが一体化したようなドラマが作りたかったのでしょうか?私は、スタッフの方が作りたかったのは実は「人間ドラマ」だったのではないでしょうか?ハッキリ言ってしまうと、無理して学園ドラマでなくても良かったのではないでしょうか?ようは偽物の「南波次郎」という男を通して、生きる為には何が必要なのかを伝えたかったのではないでしょうか?生きると言う事は、時には嘘をついたり、誰かを騙したりしなくてはいけません。ですが、それは決してマイナス面だけではないのです。生きると言う事は多少ズルい事もしなきゃいけないのだと子供達に教えたかったのではないかと思うんです。真っ正面から正義を教える事はとても簡単ですが、それだと上辺だけな気もするんです。世の中と言うのは綺麗事だけでは生きていけないと、南波次郎という男にその事を体現させたのではないでしょうか?こうやって人は強く生きて行くんだっ。みたいな力を私は感じました。これは私の勝手な解釈なのですが、タイトルにある『伝説の教師』という所は、本当は『伝説の男』としても良かった気がします。一人のチャランポランな男が気が付いたらいろいろな人に影響を与え、彼と出会った人はそのおかげで人生を変える事が出来た。そして、気が付いたら彼は『伝説の男』になっていたみたいな。そんなストーリーでも良かったんじゃないのかな。
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