女の子限定？ - 絶対可憐チルドレンの感想

皆、同じ声

そう感じるのって私だけでしょうか？髪型や表情が違うだけで声はほとんど同じ気がするのです。たまに画面から目を離していると、誰が喋っているのかさえ分かりません。唯一、野上葵だけは関西弁だからわかりやすいのですが、後の薫と紫穂はセリフのイントネーションが違うだけで、声質はかなり似ていると思います。これは、『絶対可憐チルドレン』だけではなく、女の子キャラがたくさん出る作品では良く見られる光景です。皆さん、透き通った美しい声をしているのに、ただそれだけで個性は感じられないのです。同じような作品でも、『美少女戦士セーラームーン』は違いました。主役のセーラームーンはもちろんですが、たくさん出てくるセーラー戦士達は全員個性的で、画面を見なくてもどのキャラクターが喋っているかが分かります。アイドル声優というジャンルが出来てかなり経ちました。今では、普通の音楽番組でも声優さんが歌を唄う時代です。今までは陰のような存在だった彼らが脚光を浴びるのだから、それはそれで良いのですが、本当にそれで良いんでしょうか？本当にそのキャラクターの為に選ばれたのでしょうか？三人の中でもリーダー格である薫の声は、もう少し少年っぽい声があっていたと思うし、関西弁で眼鏡をかけた葵や一番大人な感じがする紫穂の声にはもう少し落ち着いた声が似合っていたと思います。三人が同時に喋ると、ただうるさいだけの印象しかありません。何だか人気のあるアイドル声優を優先的に採用したような気がして、あまり良い気分ではありませんでした。三人の保護者的な存在だった皆本の声も、正直あっていたとは思えません。唯一、イメージ通りだったのは兵部京介役の遊佐浩二さんぐらいかな？ニコニコしている裏で何を考えているのかサッパリ分からない兵部の声に、遊佐さんはピッタリでした。

他に居ないの？

21世紀。世界中にエスパーと呼ばれる超能力者達が増え続ける中、日本にはトップクラスのエスパーが三人いた。この設定はとても面白いと感じます。ですが、そもそもなぜ三人だけなんでしょう？それも全員10歳の女の子だなんて、無理あり過ぎます。それに、エスパーなのに自分達のチーム名をわざわざ名乗ったり、爆煙が上がったりとかなり特撮ヒーローものを意識した作りになっています。エスパーってもっと誰にも正体を知られずに暮らす物ですよ。それに、彼女達のエスパーとしての能力もそんなに凄いとは思えません。念力やテレポーテーションなんて超能力ものなら当たり前な能力です。もっと彼女達にしか出来ない能力とかなかったのでしょうか？それに、皆本の存在もどうかと思います。だって、10歳の女の子と言えば、ちょうど大人に対する興味が芽生える年頃です。それなのに二十歳そこそこの、それなりにイケメンな男の人と暮らさせるなんて、バベルという組織は一体何を考えているんでしょう？こんな事がもし現実の世界であったなら、皆本は明らかに逮捕されているはずです。それに彼の天才ぶりはいつ発揮されていたのでしょう？見ている限り、驚く程の天才ではなかったし、保護者という立場からしても、どっちかというと薫達に助けられる事が多かったですよね。彼でなきゃいけない必要性はあまり感じませんでした。どうしても保護者という立場が必要だったら、女性の監視官を一緒に住まわせるか、それとも三人だけで暮らした方がかなり良かったと思います。教育上、この設定はあり得ませんっ。そう言うと夢のない発言のように感じるかもしれませんが、私はそう思います。そして、もっと気になるのはあの中途半端な続編を匂わせる予告的映像です。皆本を困惑させた未来のヴィジョンは一体、何だったのでしょう？美しく成長した薫達と対峙する皆本と、そんな彼を冷めた眼差しで見つめる薫達。これからを予感させるあのヴィジョンの続きを待ち望んでいたのですが、結局ハッキリしないまま終わってしまいました。続編を作る気がないなら、こんな意味深なシーンは入れて欲しくなかったし、作る気があるならあるでちゃんと作って欲しいです。

王子様？

この作品で一番と言って良い程魅力的なのはやっぱり兵部京介の存在ではないでしょうか？彼の考えは確かに危険です。危険なんですが、薫達にとって本当に危険なものなのでしょうか？彼はただ純粋に超能力者達を守りたいというだけではないでしょうか？超能力を持っているというだけで普通の人々からは阻害され、困った時にだけ利用される。そんなの悲し過ぎるじゃありませんか。そう思うと、兵部が薫に声を掛けたのも頷けます。彼は気が付いていたのです。彼女の孤独や哀しみに。気が付いていたからこそ、彼女を仲間にしようとしたのではないでしょうか？別に強いエスパーが必要だったら彼女じゃなくても良いんです。きっと、兵部もまたその能力のせいで孤独だったのでしょう。だから、薫にとって彼は王子様なのかもしれません。