急流すべりのようなドラマ。
次から次へと何かが起こる。
ジェットコースタードラマとはよく言ったもので、まさに次から次へと色んな事が起こる、騙し、騙されが最後の最後まで続く、個人的にはジェットコースターというより、急流すべりのような感じでした。バブルの時代の終わり頃の放映だったと思いますが、数年前に見返した時、出演者のファッションがあまりにもあの時代を反映していて、バブルを知ってる世代には懐かしく思わず笑ってしまいました。特に田中美奈子さんはバブル期の象徴みたいな方でしたしね。
ドラマの最初から凄く作りが上手くて、何が起こるんだろう?と毎回わくわくドキドキでした。疾走感だけじゃなく、昼ドラでもここまでドロドロしていないんじゃないかと言う位のドロドロさでしたし。
三人の主要キャストの三つ巴。
でも、このドラマで一番印象に残っているのは個人的には山口智子さんです。婚約者(薬丸裕英さん)と妹(観月ありささん)と旅行に行った際、別荘に入った強盗に婚約者と妹の目の前でレイプされ、婚約破棄。その傷を癒してくれた吉田栄作さんは銀行員だった彼女に横領させる為に近付き、その横領が原因で山口智子さんは逮捕され、嵌められて裏切られたのだと刑務所の中で知る。(ここに謎の中国人、伊武正人さんが絡みます。)その上、実は同僚の田中美奈子さんもグルで、吉田栄作さんと恋仲であるだけでなく、幸せな山口智子さんを妬んでレイプも仕組んでいた事が判明。
弟は受験に失敗し浪人中に姉の事件も重なり、ノイローゼになって実家に放火し、両親と共に焼死。妹は姉がレイプされるところを見た精神的ショックで記憶障害になり、犯罪者となった事で姉を恨み・・・という、彼女が話の中心だったといっても過言ではなかったと思います。とにかく彼女の身に一番色んな不幸事がひっきりなしに起こり、ドラマの中で彼女の変化していく姿が強烈に印象的でしたから。刑務所の中で裏切りを知り激変、特に出所後、髪をバッサリ切り、ゴッド姉ちゃんのようになった山口智子さんが復讐に燃えていくところは圧巻。復讐に燃え、車いす生活になった吉田栄作さんをいたぶりつつ、でも、同時に愛してるという心の葛藤を好演されてました。
最後には、「誰もいなくなった」というアガサクリスティーの小説みたいに、みんな見事に次々と死んでしまうのですが(これほど人が死んでしまうドラマというのはそうそうありません。汗。)、山口智子さんは最後まで生き残り、命がけで吉田栄作さんの子供を出産します。
田中美奈子さんの演じる役柄はかなりの極悪人なんですが、バックグラウンドは父を知らず、母親には捨てられた孤児という可哀想な設定。でもそれ故に・・・という部分を差し置いても、全く同情の余地無しな感じでした。汗。自分が不幸なら何をしてもいいのか?人を陥れてもいいのか?という。汗。子宮がんで死んでしまうのをさらに差し引いても・・・。汗。(最後は良い人キャラになるんですが、もうすでに時遅しみたいな・・・。汗。)
吉田栄作さんは、思い返すと主役だったんですよね。山口智子さんが強烈過ぎるのもありましたが、主役にしては影が薄かったかな・・・。キャラクターも騙しながらも悪い人ではない的な感じで、彼もやはり不幸な影を背負ってるんですが。ただ、カッコよさは最強でした。今も渋くてカッコいいですが、このドラマの時の吉田栄作さんはピークのルックスだったと思います。そりゃ、騙されるよね・・・おという位のハンサム度Max。出生は複雑ながらも、当時のモテる要素満載の三高を地でいくような感じでしたから。(何もかも今は死語ですが。汗。)
ドラマに欠かせない印象的なBGM。
どのドラマでもBGMというのは重要で、それぞれのシーンで流れているBGMが内容よりも先に音楽が頭に流れるという事が多々あり、それがないドラマはもう一つなんですが、このドラマでは悲しい場面になると必ずバックに流れるのがRandy Crawfordという歌手のAlmazという曲で、当時UKチャートの上位にランクインしてました。今、このドラマを思い出すと、必ずセットであの歌声が頭に浮かんできます。もの悲しい良い曲でした。主題歌とかは全く覚えてないのですが、ハッピーな内容のドラマではなかったので、ドラマ全編そこここでこの曲が流れていたので余計に覚えています。
最後に、このドラマは展開が早く、あまりにも色んな事が起こって、話が急展開に進むので、一回見逃したらアウト!だと言われていましたが、今の時代は一回見逃しても大丈夫なような一回一回話が終わるようなドラマの方が人気のようですね。どのみち連続録画していたら見逃しても大丈夫な訳ですが、昔はもっとTVが娯楽だったのだな・・・と思う瞬間です。あの当時も録画はありましたけれど。私はやはりこういう続きがどうなるか気になって仕方が無いというドラマが今も好きですね。
山口智子さんにはまた強烈な役を演じてもらいたいな・・・。
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