とにかく熱い青春を感じろ
青春真っ盛りの女子高生
この作品は吹奏楽をこれから始める人にとっては身近に感じられるだろう。吹奏楽に興味を持ちたいならば、バイブルといっていいぐらいすばらしい。テレビでも紹介されるぐらい吹奏楽に注目をあびることが多くなったと感じている。文章を通じてテレビに負けないぐらい女子高生の必死な姿に自分もこんな高校生のようにがんばりたいと思うことは間違いない。自分の高校生の時代と照らし合わせてみるのもおもしろいだろう。まっすぐにがんばる高校生たちを見て、実際に音楽を聴いていることを想像しながら感慨にふけるのもいいだろう。yutubeなどで聴いてみてもおもしろいかもしれない。音楽を文章で見て、想像して、考えて、思いを膨らませることができる作品である。さらにキャラクターの心理描写がすごく細かい。分析がしっかりされていて、吹奏楽の楽器の解説もある。これほどこまかいところまで突き詰める小説もめずらしいと私は考える。
ただ、部の中心が女子高生なので、女性にはよく分かると思うが、話がまとまらないことがしばしば。そして、愚痴の表現が多い。最初のほうは先生に対する、いわゆる「反抗期状態」状態で、こんなので全国をめざせるのか不思議に思うだろう。実際に全国をめざしている学生なら、「なめすぎ」とさえ思うだろう。
率直過ぎる高校生キャラクターたち
まず、クミコについてはどこにでもいる女子高生といった感じだ。「ユーファニアムぽい顔」って言われているような表現がたくさんで。てくるが、実際どんな感じなのか、笑わずにはいられない。想像するのがとても楽しくなる。しかし、ながらユーファニアムには真っ直ぐな気持ちを持っている。プロ意識といった感じだ。必ず練習するし、真剣そのものだ。そのわりには最初はトロンボーンなどのほかの楽器に移ろうとしていたみたいだが。アニメを見ればクミコの人物像を理解しやすくなるだろう。アニメを見るとほんとうに「ユーファニアム顔」というのは納得できる。ハズキに関してはまさかの逆である。小説ではいかにもチューバをおもいっきり吹く、パワフルな女の子を想像していた。男勝りで、強気で、思っていることを口にすぐ出すタイプだ。しかしながら、アニメではいかにもかわいい女の子といった感じで文章からでは伝わらないものがある。顔が実際に真っ赤になったところはとても印象的だ。レイナにかんしては「とにかく強い女性」といった感じだ。性格も最初はとくに攻撃的で、とげをもっている。ただ小説の文章からは容姿を想像すると、きれいでトランペットに対して真っ直ぐな女の子にはあこがれを持つ。アニメでも実際そのとおりで、とにかくトランペットにはプロのように自分の世界に入って自分の音楽を表現している。ただ、恋愛に関しては文章を見ても、アニメを見てもかわいい女子高生の像が浮かぶ。マドンナといっていいほどの女性であることは間違いない。ミドリおじょうについては、とにかく少しずれている女性である。感性が人と違うため、人間関係に関してもいきなり答えを出したりするなど、びっくりするような行動にでる。ただ、ガチャポンをまわす彼女には、想像するとどことなく天然で好まれる女性であろう。
アニメと比べて音楽を知る
文章をみて想像するのもいいが、実際に音楽を聴いていみるとより吹奏楽について分かることがある。吹奏楽の構成や実際の楽器のかたちと迫力。まじかで「新世界より」を聴いてみると壮大で、より物語を現実的に感じられる。最初はゆっくりと入り、徐々に音が大きくなっていく。そしてアニメでやったポジションに来ると、聴いているだけで風景を思い浮かべるのがもおもしろい。「海兵隊」も実際に聴いてみると、もう吹奏楽にはまることは間違いない。最初から一定のリズムで、壮大で、独特な音楽である。吹奏楽だからできるような曲といっていいほど、活気があって盛り上がる。
私は吹奏楽についてだが、この小説とアニメを見るだけで理解が深まった。特にマーチングのよさに感激した。高校生が歩きながら楽器をもって演奏して、踊りながら自分たちの高校の方法で音楽を表現する。そこには各高校の独特な踊りと演奏方法があり、見るだけで気持ちが高ぶるかもしれない。
コンクールの意義
この話ではつねに疑問をもつひともいるだろう。それは「音楽に順位はあるのか」ということだ。コンクールは悲惨にも金、銀、銅に分けられて、そのなかでも評価が分かれる。もともと、音楽は楽しむものとしてうけいれられて競いあうものではなかった。しかし、最近では競い合うことで高めることが大事だという風潮になっている。ピアノのショパンコンクール、ヴァイオリンのチャイコフスキーコンクールなど。たくさんのコンクールが世界各地で行われている。コンクールという機会を通してデビューする人もおおい。そのような競争が激しい中で高校生が競い合う吹奏楽甲子園には感動と涙を与えてくれるだろう。
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