スポ根×萌え!新たな視点に目覚めるかも!?
ただの萌アニメではない!以外に本格スポーツもの
このアニメが放送された当時はいわゆる萌アニメが広く世間にも知られてはじめ2017年にはもうステレオタイプになったカバンを背負いチェックの上着とバンダナを身に着けたいわゆるオタクが世の中に多くいると思われていた時代だったと思う。「らき☆すた」などの日常系萌アニメが全盛期を迎え多くがその後追いのように美少女たちをいかに魅力的に描くのかという現在にも続く普遍的な要素が一番強かった時代だった。その中で原作の漫画とは違ういかにもその時代を表している柔らかいディフォルメされたキャラクターたちとしてアレンジされ作られた本作は多くのアニメの中に隠れそれほど期待もされていなくひっそりと放送された。僕自身さほど期待せず当時人気の声優さんたちが多数出演しているという軽い気持ちでなんとなく見始めたが以外にスポーツものの基本を押さえた王道アニメだった。きっかけは自分のことを見下す発言をした男子を見返したいというものだったが一度目に試合をするあいてにはかなわず圧倒的な大差をつけられ敗北するが、仲間たちを一人ずつ集めそれぞれの特性を生かした戦略を立て皆で合宿などを行いレベルアップ。かつて大敗を決した相手と再戦し試合の中で相手に自分たちの真剣な気持ちを認めてもらい結果的に試合には負けたが勝負に勝つというオチ。これらは少年漫画の王道的展開でありだからこそ誰もが好きなテンションが上がらざるが得ないものだった。野球漫画の基本である「二遊間は経験者であり鉄壁のコンビネーションを誇る」とか「持久力はないが塁間の短い距離ならば息の続く俊足のキャラクター」とか「明らかにミスターをモデルにした天才型の三塁手」などベタではあるけどわかりやすくて入りやすい要素など見た目に反してしっかりしたスポーツ描写があり一概に萌アニメといえるものではなかった。
男女逆転!あるジャンルに向けてのアンチテーゼ
この時代にもう一つ台頭してきたものがいわゆる腐女子文化だったと思う。萌アニメが普及するのと比例するようにその手のジャンルの作品のみならず少年漫画、とりわけスポーツものに目を向けている人が多くなり「大きく振りかぶって」などでその流れが決定的なものになったと思う。僕自身は当時そのようなものは正直理解できず男同士の友情を変な目線で見る人が増えているんだなと冷めた目線で見ていた。しかしこの作品を見てその考えは大きく変わることになった。バッテリーの見せる信頼関係や内野、特に二遊間の無駄のない連携、一つのことに皆で一丸となって取り組む姿などを見るているうちに自分の中でこの子たちの頑張る姿をもっと見ていたい、応援したいなどと思うようになっていた。その時ハッと気づいたのはスポーツ漫画でいろいろな妄想をしてしまう女の人はこのような考えをもとにして様々な考えになっていたのでわないか?ということだ。だとすればその感情は決して理解できないものではないなと僕の中でスッと納得がいった。僕はその後過剰に百合作品を好きになることもなければやおい作品に興味を持つこともなかったがそのような作品が多く生み出され今も需要があることは特に不思議なことでもないんだと本作を見ることでわかることができた。そういう意味では僕の価値観を変えた作品といえるかもしれない。
あの時代だからこそ作ることができた!奇跡の作品!?
やや大げさかもしれないが本当にそうだと思う。当時野球人気が回復しつつあったといってもまだどうなるかわからない瀬戸際だった国内に誰もが知っているスターも不在でサッカーに国民的スポーツの座を明け渡そうとしていたときだ。アニメの世間に与える影響力も今ほど大きくなかった時代だから野球を純粋に好きな人たちが少しのアイデアで1クールにコンパクトにまとめることができたのだろう。今もう一度作るとしてもおそらく大手のスポーツメーカーや球団などとのコラボでより力の入ったものは作れるがこれほどまとまった作品にはならないだろう。(最近では野球アニメは必ずと言っていいほど球団とコラボするようになった)今でも女の子のスポーツアニメはそれほど作られておらずここ最近でも「熱血卓球娘」ぐらいだろうか。あの作品も王道のスポコン要素を入れつつ百合要素もありという同じような展開ではあったが最終的にはやや超能力バトル物のような要素が入っていた。それが悪いわけではないが個人的には一つのスポーツの枠の中でしっかりとしたもの描いてほしいので今の時代にはやはり無理なのかもしれない。(テニスの王子様や咲の影響がいまだに大きいのかもしれない)スポコン要素、萌要素、そしてわずかな百合要素がバランスよく入っていたから僕はこの作品をここまで好きになれたのだから。僕の思っているほど世間では評価されておらず誰にも評価されることなくひっそりと消えていく作品になるだろう。
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