転換期の秀作
時代のムーブメント
米国の歴史を勉強したことのある方はご存知でしょうが、アメリカの歴史は現在に至まで、北軍と南軍の対立の歴史といっても過言ではありません。
そんなアメリカで、アフリカ系の公民権運動が起こりその余波で、アフリカ系の男優シドニー・ポワチエがスクリーンで活躍し、奴隷を解放したリンカーンや北軍はヒーローという認識の時代、それが60年代という時代です。
ネイティブ・アメリカンという言葉はまだなく、青い軍服を纏う北軍(ソルジャー・ブルー)がアメリカン・インディアンを虐殺するシーンは、とてもショッキングで生々しいことだったとが記憶にある映画です。(映画ポスターもそうでした)
この残虐シーンはサム・ペキンパー監督の影響がなかったとは考えにくいです。何しろ前年69年にはバイオレンス西部劇「ワイルドバンチ」が観客に衝撃をあたえたのですから。とはいえ同年には「イージー・ライダー」「明日に向かって撃て」と反社会的なアウトローが主人公の映画が高い人気と評価を受けた時ですから、さらなる楔(くさび)を打たんとしたのは明らかでしょう。ともあれ、69年・70年はアメリカ映画の大きな変換期だといえるでしょう。
奇しくもシャイアン族を題材としたダスティン・ホフマン主演の「小さな巨人」も
同じ年1970年の作品です。
また学生運動を描いた「いちご白書」も同年日本で公開されています。
主演はキャンディス・バーゲン
主演は当時アメリカで一番美人で知的な女優といわれた、キャンディス・バーゲンで現在でいったならばナタリー・ポートマンという感じでしょうか。そのキャンディス・バーゲンをピックアップし、黒人俳優のシドニー・ポワチエにアカデミー主演男優賞を取らせたラルフ・ネルソンがこの作品を監督したのですから、次のブーブメントを狙ったと思われても仕方ありません。
唄声は「いちご白書」
あと付け加えるのなら独自の唄い回しのある主題歌、どこかで聴いた覚えがある唄声だと思いきや、映画「いちご白書」の主題歌を歌ったバフィー・セントメリーでありました。アメリカインディアンの血も引く彼女の、奮い立たせるような唄声には、やはり当時の時代のうねりを感じずにはいられません。「いちご白書」の歌詞同様に「ソルジャーブルー」この歌詞の邦訳を知るのも、この映画を理解する大きなヒントだと思われます。
「ソルジャーブルー」は、アメリカの変化を如実に反映した時代の西部劇映画といえるでしょう。
ウン、良い映画です。
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