難事件や凶悪犯罪の犯人に間違われる厄介とは - 掟上今日子の備忘録の感想

理解が深まる小説レビューサイト

小説レビュー数 3,125件

掟上今日子の備忘録

5.005.00
文章力
5.00
ストーリー
5.00
キャラクター
5.00
設定
5.00
演出
5.00
感想数
1
読んだ人
1

難事件や凶悪犯罪の犯人に間違われる厄介とは

5.05.0
文章力
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
5.0

目次

難事件や凶悪犯罪の犯人に間違われるとは思えない厄介

あくまで自分は脇役だと語り、語り部として登場する厄介は、凶運の持ち主といってもいいほど、疑われる。しかし、そんなに厄介を悪い人に思えない読者は多いのではないだろうか。確かに、挙動不審だし、気が弱いし、無職だし、怪しい人に思われる要素はあるけれど、難事件や凶悪犯罪をしそうにはとても思えないなあ。しかし、難事件や凶悪犯罪に巻き込まれないと、探偵とホットラインを持っているという設定が生きないのである。

「自分が見ている自分と、他人が見ている自分は違う」という言葉がある。厄介が語っているのだから、厄介が悪い人物に見えないのは当然だ。他人から見た厄介を考えることで、難事件や凶悪犯罪の犯人に間違えられる厄介が見えてくるのではないだろうか。そこで、他人(他の登場人物)に見えているであろう厄介とは、どんな人物なのかを考えてみることにした。

感情が表に出にくく、身だしなみに気を遣っていないのかも

ウィキペディアによると、西尾維新は「見た目の描写より喋りの内容を重視」した書き方をする、とある。確かに、厄介の見た目でわかることは身長190cmということだけ。どんな髪型をして、どんな顔立ちで、どんな服装をしているのか全くわからない。ということは、自由に想像していい、ということだ。なるべく怪しい感じの人を想像してみた。

『「職務質問されやすい人」の特徴&回避法』というサイトによると、20代後半~30代の気が弱そうな男性が、リュックサックを背負って一人で歩いていれば、高い確率で職務質問を受ける、という。他にも、ちぐはぐな服装をしている、体格に合わない自転車に乗っている、猫背でうつむき加減に歩く、といった特徴が挙げられていた。

これらを厄介に当てはめることはできるだろうか。年齢は25歳で、気が弱いのは本人も認めているから、ひとまず職務質問はされやすそうだ。職を転々としていて、探偵を呼ぶお金を常に確保してないといけないのなら貯蓄もあまりなく、そんなに身なりに気を遣ってはいないだろう。一目で怪しいと分かる服装をしてはいないかもしれないが、あまりセンスのない服装をしている可能性は十分にある。

自転車に乗っているかはわからないけれど、交通費をあまりかけたくないだろうし、車も維持費がかかるから持っていないだろう。もし自転車を持っていても、身長190cmに合う自転車はそんなに安くないだろうから、手頃な価格のママチャリに乗っているかもしれない。

人の目を気にしてオドオドしてしまうと本人も認めているから、あまり目立ちたくないだろう。しかし、190cmの人は日本では目立ちやすい。したがって、人目を避けるために猫背でうつむき加減に歩く癖を持っている可能性はある。

あら不思議。全部の特徴に当てはまってしまった。でも、難事件や凶悪犯罪の犯人に間違われるには弱いんだよなあ。これだけの特徴なら、呼ぶのは探偵ではなくて弁護士だよね。ただの犯人ではなく、難事件や凶悪犯罪の犯人なのだから、探偵もやる気になるのだ。

辞書を開くと、解決が困難な事件を難事件と言い、残忍な犯罪を凶悪犯罪と定義していた。犯人が常識では考えられない行動をするから、難事件は解決しにくいのではないだろうか。また、凶悪犯に間違われるということは、凶悪犯罪を犯す(だろう)と思われるくらい、何を考えているのかわからないと思われているのかもしれない。

『有能秘書が見抜く「信用できない人」』というサイトには、笑う時に目が笑っていない人が信用できない人として挙げられていた。厄介も、感情を表に出すのが苦手かもしれない。親にさえ疑われて生きてきたくらいだし。もしくは、人の目を避けるために、前髪で目を隠しているかも。オシャレでない長髪は、かなり怪しく見えると思う。

したがって、他人からは「怪しげな身なりをして、何を考えているかわからない顔をしている」人だと見られているのではないだろうか。もし、そうなら探偵を呼ぶような事件の犯人に間違われるのも頷ける。

頭の切れる嘘つきだと思われている可能性が

西尾維新の作風だということは百も承知だが、言い回しが堅苦しいと思われる方も少なくないのではないか。とても25歳の口調には思えない、というか。選ぶ言葉も難しい。烏有に帰す、なんて、この本で初めて見た。オドオドして、しどろもどろなくせして、小難しい言葉を使っていたら、警戒されるのも無理はないかもしれない。

「信用できない人、胡散臭い人の特徴は?」というアンケート方式のサイトでは、頭の良い人にたくさんの票が入っていた。厄介サイドから見ると、「自分は凡人で頭の回転が遅い」かもしれないが、他人から見ると底の知れない力を秘めている感じがするかもしれない。

加えて、このサイトは虚言癖がある人もよく投票されていた。「なぜあなたは出世できないのか?」というサイトの「怪しい人の見分け方」というコラムには、話を大げさにする人が挙げられていた。

確かに、厄介には虚言癖と言えなくもない面がある。「10万回」疑われた、は盛り過ぎではないか。25歳で10万回と言ったら、1年で4,000回、1日にして10回以上疑われる計算になる。この「掟上今日子の備忘録」に収められている話を見ても、事件の犯人として扱われたのは5話中1話だけだ。

ただの嘘つきなら危険性は低いけど、頭の良い嘘つきなら難事件や凶悪犯罪を起こしそうだ。したがって、厄介は難事件や凶悪犯罪に巻き込まれ、かつ犯人に間違われるのだろう。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

掟上今日子の備忘録を読んだ人はこんな小説も読んでいます

掟上今日子の備忘録が好きな人におすすめの小説

ページの先頭へ