こういうSFよくあります
映像美がウリの映画
西暦2077年の地球。エイリアンの侵略によって月が破壊され、環境が崩壊し人間が住むことができなくなったという。地球人たちは土星の衛星タイタンへと移住し、地球に残されたジャックは孤独にエイリアン抹殺と地球の状況把握を行う任務に就いていた。
この映画のいいところは、監督もイチオシの映像美だろう。もちろんCGだが、アメリカの有名な建築物の崩壊具合、それでも地球は回っているという景観がすごい。そしてバトルシーンにおけるバブルシップや折り畳みバイクなど、実際につくって用意しているだけあって、リアル感がハンパない。エンパイアステートビルや自由の女神、スタジアムなど…完全に崩壊しているのに美しい。静寂と、太陽と、冷たい氷、そして廃墟の中にある、昔ながらの空間…ストーリーを置いといて、その美しい世界についついひたってしまう。
アイスランドでわざわざ長期のロケを行い、撮影したという山々。…単純にきれいだったなー…そんなところにたった一人残されて、宇宙人と戦っていると思ってたら地球人と戦っていたという残念なジャック。しかもジャックオリジナルのクローン。タイトルが「オブリビオンoblivion」と言うだけあって、「忘却」が主軸にあり、それはジャック(クローン)が忘れてしまっている記憶、ビクトリアが忘れてしまった記憶、人々からジャックという本来の人間が忘れ去られようとしていることなど…忘れてしまったモノの中にある真実に出会ったとき、クローンはどうするか?も含めて考えられている。
どっかで見たよね
なーんか見たことあるよなー…って考えてみたら、地球にたった一人残されて…というくだりが、ウィル・スミスの「アイ・アム・レジェンド」にそっくり!と気づいた。「アイ・アム・レジェンド」では別に世界中にたった一人ってわけではなかったんだけど、ゾンビの恐怖におびえながら、たった一人隔離されてニューヨークで闘っているシチュエーションが、わずかに生き残り地球侵略を図るエイリアンと闘いながらパトロールを続けている…という状況と同じだ。
他にも、地球滅亡の日を描いたような映画は山ほどあって、たとえ過酷な状況下におかれたとしても、わずかに生き残る人類の希望にかける…というような終わり方をする。完全に希望のない終わり方は絶対にしないんだよね。だからこのSF映画も同じようなもんだろうという予測はついていた。それがまさか、ジャックのほうがエイリアンによってクローンにさせられ、地球をぶっ壊した張本人だったという設定は驚きだったけどね。守っているつもりでまさか地球人を殺していたとか…残酷すぎて立ち直れないレベル。クローンだけど、頭に蘇ってくる映像と女性がいったい何なのかを悟ることができるなんて、いったいどんなクローンの作られ方をしたんだろう…?地球じゃないところでの技術なんだし、一瞬で何千ものクローンを生産できちゃうんだろうなー…男女のつがいでジャックとビクトリアを選んだのは、何か意味があるんだろうか?クローンだからって、わざわざ生身の人間選んで兵器にするって…なんか弱そうだよね?エイリアン側の損失・費用は絶対に少なく済むだろうけどね。壊れても地球人だし。
どう考えても時間軸おかしいことに気づけジャック
西暦2077年の地球。なのに、ジャックは2017年くらいのスーパーボールの記憶を淡々と説明できて…っておい。おかしいだろう。ジャックはもうそのあたりで記憶止まっているだろう?60年経って自分が老いていないことのほうがおかしいと気づかなかったのか?記憶がない…ってだけじゃ済まされないわけよ。平和にのんべんくらりで、たまに出てくるドローン壊したりしている毎日に疑問を持てなくなっている時点で、怪しいんだわ。個人的には、なぜか落ち着く小屋での時間。その意味を考えることができなくて、もどかしいジャック。そこが好きだった。
クローンのジャックを1対捕まえて、記憶が改ざんされていること、クローンであることを直接告げることを選んだビーチたち地球人は本当に勇敢だね。わずかにレジスタンスとして生き残る地球人のグループ…もうちょっと人間映してくれてもいいのにね。ビーチばっかり映っているじゃないか。また、もっと早い段階で捕まえることができなかったのかな?って考えるけど、序盤ではどこを見ても兵器と化したジャックがわんさかいたわけで…一人を狙った確実に仕留めるために、地球人たちは必死に我慢したんだろうなと思う。エージェントとして優秀なジャックをどうやって捕まえるかも、綿密すぎるほどに計画をたてたんだろうね。簡単にレジスタンスたちの説明を理解できてしまうのは、さすがにテットのガードが低すぎると思う…。
ビーチのどや顔光る突撃
ジュリアとジャックが一緒に核弾頭を持ってテットに行こうってことになっていたが、ふたを開けたらそこにはビーチがいた。ジュリアを死なせるわけにはいかない。そう決めた男たちの、自爆作戦が決行されるのである。このときのカプセルから出てくるビーチがね…いい顔。「へへーん、びっくりしただろう?」って顔にクスッと笑える。年老いた自分の死に際は、地球が救われるその時を見届けること。そしてジャックという人間を、クローンであったとしても救うこと…。ビーチは本当にいい奴だったと思うんだ。ジャックの気持ちも地球も全部救ってくれたから…
アメリカ映画で、何かデカい爆発を起こそうとしたらすぐ核を持ち出すよね。日本人としては怖すぎるんですけど、どうだろう。こういうヒーロー系の映画で、爆発を起こすなら核弾頭だ!って言うのは…なんだかなー…こんなこと言うのは古臭いのかもしれない…。
何かしら進歩した技術を持っているのなら、別にビーチとジャックが捨て身で侵入しなくても、テット内部へ遠隔操作でぶち込んでやればいいのにね。そりゃー若干面白さは減るかもしれないけど、一番安全な手法なのにね。
クローンでいいんですか
土星の衛星タイタンへと調査のために飛び立った宇宙飛行士ご一行。その中にジャック、ビクトリア、ジュリア、その他の仲間たちがいた。ジャックとビクトリアが残り、他のメンバーは瞬間冷凍で凍らせて逃がされた…ということで、ジュリアは60年の宇宙漂流の後、地球へ無事降り立ったことになる。そんな運命の出会い、最高よね。ちゃんと地球に戻ってこれて、なぜか目の前にジャックがいて…なかなか感動的な再会だった。まさに時を越えて会いに来てくれた気がする。いつの間にかジュリアとクローンジャック49号は甘い関係になっていて、(そりゃ夫婦だったから当然の衝動なのだが)子作りもしてしまったらしい。あの忙しさの中でいったいいつそんなことに…
ただ、クローンジャック49号が死んで、別のクローンジャック52号がジュリアの前に現れて…って怖くない?産んだ子供はジャック49号の子ども。遺伝子は全く同じだろうけれど、経験したものが全く違うジャック52号が現れて、なぜかジュリアの記憶を取り戻していて、一緒に生きていきたいと言う…は?そんな簡単な問題?この地球上にあとジャック・ハーパーは何人いるんだよ。全員この家にたどり着いちゃったらどうすんの?全員と一緒に暮らしていくわけ?後から来た人は捨てるわけ?殺すの?…と考えてしまった。ジャックを見たら、ジャックを知っている人は絶対殺せないじゃん…。
3年間で、クローンたちはどうなっちゃったんだろうね…そのあたり、詳しく説明してほしかった。ビクトリアのクローンとかはどうすんだろう。
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