イグアナのお姫様のお話 - イグアナの娘 The Daughter of IGUANAの感想

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イグアナの娘 The Daughter of IGUANA

5.005.00
映像
4.00
脚本
4.75
キャスト
4.75
音楽
4.75
演出
4.50
感想数
2
観た人
5

イグアナのお姫様のお話

5.05.0
映像
3.5
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
4.5
演出
4.0

目次

見るたびに深まるヒューマンドラマ、聖母のようなリカに自分の心が洗われていく

今回でイグアナの娘三回目観ました。子供のころ母と一緒に観たイグアナの娘。一番最初に観たのが10歳ぐらいの頃だったのでリカ(菅野美穂)の暗い性格のためにのぼる君を好きなかおりに嫌がらせをうけたり、母、妹にまでひどい仕打ちをうけてリカがただただ可哀そうという感情が大きかったが、ドラマだったが大人になってから二回ほど観たらなんて深い話なのだろうと感動した。この物語はなんといってもリカの聖母のような純粋さ、美しい性格が描き出されている。自分のことをイグアナにしかみえない為に自分に自信をなくし、わたしなんて、わたしなんて、といつも卑下してしまうリカ。母親からの愛をもらわずに妹にも辛く当たられるリカが母や妹、社会を憎んでしまっても仕方がないと思うのだが、リカの素晴らしいところはそれでも皆に平等に優しくする。母が大好きなパッションフルーツを妹に無理やり頼まれたアルバイトのお給料で買い母を喜ばせようとしたり、(私ならこう思えないだろうな~と思う) 妹の家庭教師をし たり、かおりから階段から突き落とされても、彼女は絶対にそんなことしない、かおりさんはそんな人じゃないわ、と誰も憎んだりしないのだ。リカが思い切って誘った映画のデートをのぼるくんにすっぽかされおまけにかおると川辺で笑顔で一緒に走っているところを見てしまってもリカはのぼるくんに決して失望したりしない。気づかされたのはこのドラマを一話一話観るたびに自分の心が洗われるようだった。人のあるべき理想の姿をリカは持っているのだ。リカのパパが言っていたようにりかは聖母のようにいい子なんだよ、そう、リカはまさに聖母のような心を持った持ち主なのだ。このリカの人間性が実はこのドラマをとても美しいものにしていると強く感じた。なぜならここでリカが妹に憎しみの心をもったり、母に対してネガティブな感情を持ってしまうと物語 が一転してしまうからだ。わたしはこのリカの聖母のような性格に惹かれ毎回楽しみにしていた。そしていつもイグアナの娘を観た後はみんなに優しくしよう、ポジティブでいようと思えるのだ。このドラマは愛と勇気を与えてくれる素晴らしい人生のメッセージが込められているドラマ!

母、ゆり子の過去。

よくよく考えてみると、リカの母、ゆり子は壮絶な人生を送っている。自分が人間の男性を愛してしまったために魔法使いに人間にしてもらうが、全ての過去を失ってしまう。ゆり子には誕生日もなく、友人、家族もいない。つまり完全に記憶喪失と同じなのだ。パパ(いつもゆり子はあなたと呼ぶので草刈正雄の役名は分からない)にこんな見ず知らずの女と結婚して後悔していないのかと聞くゆり子。リカの母ゆり子の人生を考えるとどれだけ苦しいものだったかがわかる。ゆり子はどれだけ孤独の中で戦ってきたのだろう。私が感じたのはゆり子は醜いイグアナにしかみえないリカをただ嫌っていたのではなく、リカのイグアナの顔を見る度にどこかで自分の過去を掘り出してしまう感情にかられ、リカに冷たく当たってしまったのだろうではないか。草刈正雄と幸せになるために消した過去。そう考えると、天涯孤独のゆり子が唯一繋がっていた存在とは草刈正雄ではなく、マミではなくリカだったのだ。同じイグアナの宿命をもった二人。ゆり子がリカへのある意味異常な執着心 、リカをほうっておけない言動などからみていくとそれは草刈正雄が言っていたようにある意味リカへの異なった形の愛だったのではないかと受け取られる。リカはそれをどこかで感じていて母を決して悪く言わなかったように思える。そう解釈すると、ゆり子と次女まみとの関係はそんなに強くはなかったのではないだろうかと思う。ゆり子が本当にただリカを嫌っているのなら彼女の一人暮らしのアパートに夜行ったりしないだろうから。

かおりの存在。

私は初めからかおりはいい子だと思っていた。彼女は素直なのだ。リカに嫌がらせをしてもやったのは自分だとのぼるに率直に言ってしまう。かおりは眩しいくらいのぼるに対して真っすぐで彼を一途に想っている存在なのだ。正直リカはかおりがいたから強くなれたのもある。かおりはリカと同じぐらい登場回数が多かったので結構わたしはかおりに対する思いも強かった。人って弱いから辛いことがあると人に言いたくなる。愚痴をこぼしたくなる。でもかおりは自分の事情を誰にも言わない。正直リカと香りの人生どちらが辛いかと比べてみると実はかおりの人生かもしれない。彼女には頼れる両親、弟もいないのだから。かおりは本当は心の優しい持ち主なのだ。ただ弟の死、家族の離婚のせいで心を閉ざして突っ張ってる。驚くかもしれないが、私はエンディングはのぼる君とかおりが一緒になってもいいと思っていた。のぼる君のボストン行きが決まった時、リカはこう言った。私はのぼる君をとめることなんてできない、と。かおりはそんなの絶対にイヤ!とリカに言う。かおりにとってのぼる君は全てだったからだ。最終話でかおりがのぼる君を諦めてのぼる君の友達と腕を組んでハッピーエンドみたいなところがあったけれどそこはドラマだな~と感じた。あんなに好きだったのぼる君をそんなにすぐ忘れられるのみたいなところがあった。ただ、そのシーン以外は私にとってこの物語は完璧だった!音響、テーマ曲、ストーリー、すべて最高だった!もう一回観てみたい。

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菅野美穂の原点となった作品

菅野美穂の女優人生のスタートがこの作品だといっても過言ではありません。私はこの作品を考えた作者を尊敬しています。なぜなら素晴らしい発想を描写して人の心の中にあるごちゃごちゃしたものを一緒に考えさせてくれたからです。私はこの作品が大好きです。初めて見たのは私が小学生の頃でした。当時マイナス思考だった私を支えてくれたのもこの作品でした。主演を務めた菅野美穂は、当時はまだ無名の女優でした。この作品で彼女の人生は開けたのではないかと私は思っています。それくらい良い作品でした。この作品を見て私は菅野美穂を初めて知りました。彼女の透明感のある瞳と、落ち着いた可愛らしい口調が何よりも魅力的に感じました。おしとやかで上品な印象をしっかりと演技の中に取り入れて完璧に演じ切りました。”イグアナの娘”というタイトルを見た時は正直ここまで自分が夢中になるなんて想像もしていませんでした。イグアナ自体好きではない...この感想を読む

5.05.0
  • りかりか
  • 151view
  • 2013文字
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