強い女の物語ってときめく - それでも世界は美しいの感想

ニケとリビのかわいい恋

太陽国は雨の降らない国。いつも晴天に恵まれ、水は管理が行き届いているからいつでも手に入る。そんな素敵な国を治めているのがリヴィウス１世。10代でありながら、わずか即位３年で反対勢力をぶっ潰し、国を統一することに成功した人物である。背が低いことがコンプレックスだが、抜群の知能と威厳の強さ、腹黒く目利きのできる人物。確かにぶっ潰された側の勢力は彼を恨んでいたが、国の者はみなリヴィウスを王として尊敬していた。そんなリヴィウス１世は雨というものが見たくなり、アメフラシの国から妃をめとることを決める。

ということで、ニケとリビが出会うわけだけど、ニケがとにかく…カッコいい女の子なんだよ。他にもアメフラシの姫はいたのだけれど、姉妹からじゃんけんで決まってしまって…なんだか災難。それでも、ニケがリビに惹かれ、リビがニケに惹かれ、お互いに心通わせていく姿が微笑ましく、どちらもいい人だからこそ、嬉しくなってしまう。形式が最初で気持ちが後からっていうパターンもアリだなーって思う。

リビは暗殺された大切な母親との思い出をずっと大事にしていて、だからこそアメフラシの国から妃を決めたわけだけど、まさか自分がニケにハマるなんて思ってもいなかったご様子。そういう意地っ張りな彼もまたかわいくて、つい愛でたくなるね。母親の残存を探して、年上の女の人を選んでしまった…と後から考えればわかるけれど、よく考えたらリビの年齢だとたいてい年上を選ぶことになるから、本当に偶然の産物。頭が良くても、感情についてよくわからないリビに、ニケが美しいもの・嬉しいもの・温かいものを教えてくれる。愛情というものを覚えてどんどんかわいくなっていく、リビとニケがたまらない。

真面目なシーンほどイケメンに

普通の時のリビとニケは幼い感じ。怒っているときのほうがリビはカッコいいし、ニケもシリアスなときほど美人になる。ニケに至っては堂々としている雰囲気からいくと、イケメンって言ったほうが似合っている。やはり一番は歌を歌っているとき・呪文を使うときだよね～あの細めた目と大きく開けた口がまた素敵で。誠実な感情がすっと伝わってきてくれるのがまたいいなと思う。物珍しいからだけではなくて、ニケ自身を好きになってくれる国民もどんどん増えて。嬉しい限りである。

リビはいつまでたってもニケより身長が低いまま。というか、18巻を超えてきたところなのに、全然物語が進まなくなっているせいだよね…そりゃーずっとリビは小さいままいくんだろうなって思うんだが、少しは大きくなってくれたっていいじゃない…って思うのは私だけ…？年下・ミニマム男子にときめく人が多いことも知っているが、どこかのタイミングでまさかの成長期がくるんじゃないだろうかと期待もしている。今のところ気配はまったくなし…。

どちらかというと、リビではなくニケが危険な状態になることがほとんどであるため、リビは全く休む暇がなくてかわいそう。やはり読者はドキドキの展開を求めているのだろうし、カッコいいリビが見たいのだろう。しかし個人的にはリビとニケがラブラブしまくってるところを長く眺めていたいので、あまりシリアス展開が多くても困るんだよね。確かにカッコいいからいいんだけど、疲れるんだよね。ほわほわーっと見ていたいときもあるじゃない。何事も順風満帆とはいかないのが人生であるけれど、そんなに何度も攫われるほどガードがゆるいのも問題なんじゃないの？と思ってしまう。

脇役の厚みがもう少し欲しい

一番言いたいのはニール。彼は最初からずっと共に歩んでくれている人であり、数々の試練を乗り越えられたのは彼のおかげでもあるわけで。登場人物がどんどんと増えていく中、どちらかと言えば敵キャラ、ライバルキャラが増えていき、信頼のおける重要なポジションのキャラは充実していない。だからこそ、ニールがもう少し目立ってほしいなって思う。

リビが幼いときからニールはいたわけだし、そこでリビを選び、側近として支え、がんばってきた彼の話をもっと聞きたいわけよ。ニールの苦労の日々でもいいし、過去のリビとの思い出でもいいし、まだまだ新米だったころのエピソードでもいいし…深さがほしいよね、結構な詳しさで。

妄想では、初期段階でツンツンキャラを徹底しており、手が付けられないほどキャラだったとかがぴったりだなーと思っている。変わるきっかけをくれたのはリビの母親かもしれないし、もしかしたら恋しちゃってたかもしれないとか、楽しい話題がほしいね。完璧キャラっぽいのに、そうは扱われていない悲しさもあるから、完璧な部分を前面に押し出した番外編なんかも楽しそう。どこかのタイミングで、ニールがイケメンに引きあがって輝く話があるんじゃないだろうかと期待しまくっている。まさかニールが里に帰らせていただきますとか言ったらドン引きする。

だんだん話が長くなってきている

一番好きだったのは３巻くらいまでだった。ニケとリビがぶっきらぼうながらも心を通わせて、日々の生活が楽しくなっていくまでがやっぱりワクワクするものらしい。両想いになって、妃と夫になって、ニケはあらゆるイベントで命の危機にさらされることに。それもまたスパイスとして楽しめる程度の頻度ならいいのだが、もはや何度攫われ苦しめられたかわからないレベルになってきた。そして１つ１つの話題が長期化し、ダラダラしてきたのも事実…。

ニケが攫われればほとんどリビとその他のメンツががんばる話になってしまい、ニケのカッコいいところは全然拝めなくなる。ニケの能力を高く見せてほしいと思うのに、リビばっかりがんばっているのは何とも不服である。攫われては助けられ、殺されかけては救われ、そういうのは回数多いともはや違う漫画なのよ。魔女の力を借りるしかないとか、おっとずいぶん違う漫画になってきましたね…？って印象になったし、長かった…魔女とメモリあっても困るんだよ、ニケとメモリあってほしいんだよ。

そりゃー家族になれば、お互いに助け合っていくのが当たり前なのかもしれない。それでも、いい加減、学習したほうが良くない？ってレベルの回数になってきた。王様って大変だろうけど、あの手この手で対策立ててよ！ニケのカッコよさと強さが目立たなくなって悲しい。もちろん、ニケの能力は力のためにある能力じゃないから、強さに直結するわけじゃないんだけど。愛しているから頑張るリビと、そこにつけこんで攻め入る悪者たち。つけ入る隙を与えない感じになってくれないかなー。

大丈夫だろうとは思う

歴史ファンタジー系の物語において、まさかのバッドエンドで仕上げてくるのはほとんどないと思う。だからこそ、ハッピーエンド以外の終わりはないと安心しきっているが…いい加減に血を見なくてはならない展開が多すぎて嫌になってきた。国と国が争うので、もちろん当たり前の事ではあるが、めんどくさい。ニケとリビのあまーい生活を早く長めに見たいのである。リビのがっつり攻めを見たいのだ。

数々の困難のエピソードをよくこんなに思いつくなーキャラクターが増えすぎて困らないのかなーって心配になるが、作者さん大丈夫だろうか？どこで終わらせるか、こういうずっと続いていきそうな物語では難しいところ。どこでケリをつけるのか、見ものである。ニケの歌声を響かせて解決される、温かなエピソードが増えて締めくくられることを、願っている。