相棒復活が嬉しい続編 - メン・イン・ブラック2の感想

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相棒復活が嬉しい続編

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.5
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.0

目次

君じゃないとダメだ

ウィル・スミスが出演している映画は基本的におもしろいって期待してしまう。今作でもそのキャラクターと皮肉たっぷりのおもしろいセリフが観客を笑わせてくれる。トミー・リー・ジョーンズは、日本でBOSSCMをするようになったこともあって、メンインブラックシリーズを見たらびっくりするかもしれない。全然雰囲気が違うからね。片言の日本語で夜を憂いているのが彼の本来の姿じゃないってこと、よく覚えていてほしい。れっきとした売れっ子俳優のジョーンズさんなのだ。メンインブラック2の公開はもう15年以上も前になるので…時代を感じつつ、ウィル・スミスが全然歳をとっていないことに衝撃を受ける。

第1作に続き、Jは宇宙人対策のエージェントとして活動中。しかし、Kは引退してしまったため、なんだか物足りない日々。本当に自分が信頼できるパートナーに恵まれずに過ごしていた。しまいには上司のZからパグ犬を相棒に任命されてしまう羽目に。こっちとしては十分彼とも楽しくやっていけそうだったが、やはりJにはKが必要だ。寂しそうなJよりもふてぶてしく自由な彼が見たいのだから。

郵便局でのシーンはもはや名シーンだよね。久しぶりにKの姿を見ることができたJの顔がすごい微笑ましかったなー。演技なの?ってくらい、嬉しそうで。記憶を失った彼がなぜ心地よく働くことができていたのか。それはその郵便局で働く者たちが、みなエイリアンだったからなんだ。知らないところで、エイリアンは地球人に溶け込んで生きている。ボイパが言語になっているのは驚きだったが、まったく別の言語を表現するのに有用な演出だなーと思った。

第1作の衝撃よりは落ち着いた

第1作で、良きエイリアンたちを支え、地球を脅かそうとするエイリアンは駆逐する、そのインパクトがすごかった。使っている武器のおもしろさや、隠されている場所が普通の民家であったこともおもしろいし、記憶はすぐに消すことができ、捨て台詞が秀逸で…それらすべてがメンインブラック2にも受け継がれている。その分、何か新しい要素が加わったかというと、それがなかった。だからいまいちウケが悪かったのかな?第2作はむしろその面白さよりも、人間関係や人間とエイリアンたちの関係性、磨きのかかったシュールな笑いがあるのがいいところだ。

MIBの本拠地をサーリーンによって占拠されてしまったJは、何とか基地から脱出してKのもとへ。民間の機器を使ってKの記憶を取り戻すことに成功する。取り戻したときのお約束は好きだね。エイリアンの頭をがっつりぶち抜く。シリーズ化するとお約束がどこかで必ず出てくれるようになるからいい。特に、こういうふうにアクションコメディーの映画では、面白いしほっこりするから気持ちが落ち着くよね。BOSSCMでジョーンズさんに慣れ親しんでしまった人は、彼をどうしても残念なおっさんとして見てしまいそうになるだろうが、真面目で渋いキャラづくりがウリの素敵な俳優さん。

物足りなかったとすれば、Kと別の惑星の王女のエピソードだろうね。恋に落ちていたっていうなら、もう少し深々と描いてくれてもいいのにね。そこは過去として片付けられているのが残念だった。あと、ローラが…大根役者に見えるのは気のせい…?

マイケル・ジャクソン!

マイケルがどうしても出たかったというこの映画。エージェント役で出たかったみたいだけど…彼がエージェントで出たら間違いなく変人扱いになるからね…無理だわ。見た目としゃべり方もおっとりしすぎてるから、敏腕なエージェントの役としては出してあげられないだろう。そう考えると、彼はカメオ出演でちょうどよかったんだと思う。著名人が映画に短時間だけ登場することをカメオ出演って言うらしいけど、有名な人ならカメオみたいに遠目からでも絶対にわかるってことでそう呼ぶとのこと。確かにマイケルだったらどうやったって気づくし、インパクトがすごくなる。…ちょい役なのに画面いっぱいに登場したから目立たないわけないけどね、マイケル。さすが取り扱いがビッグだな。大物が出たのにメインの俳優たちとはほとんど絡みがなかったなー…絶対マイケル大根役者だし、絡むとか無理そう。映像出現で精一杯だろう。1回だけじゃなくて2回くらい要所で出てきてくれたらシュールでよりウケたのになーと思うわ。マイケルがエイリアン出演じゃなかったことは素直に安心している。敵キャラなんてマイケルじゃない…!ってファンが騒いでしまいそうだもの。

サーリーナって風刺?

サーリーナはカイロシアン星人。カイ…ロシアン…?アメリカがロシアを敵対するあまりに軽くジャブを与えたかのようなネーミングにざわっとした。一人で盛り上がっちゃったのだが、英語にしたらKylothian

から、カイロス星の生物ってことで全然関係ないっていうオチだった。日本語にするからロシアっぽくなってしまっただけだったのである。風刺でもなんでもないから、日本人観客は誤解のないようにしたほうがいい。

サーリーナを演じたララ・フリン・ボイルは妖艶だね~…手足とウエストが細すぎて、顔が大きく見えちゃうっていうララさんだった。神話のメデューサみたいに、男を誘惑する女の人って絡みつくような技を使うよね。べたべたとまとわりつく技は、キモいけど女らしくもある。サーリーナはあの巨大イモムシに食べられても逆に乗っ取って復活するというさすがの執着心を見せ、実に気持ちが悪かった。

最終決戦で、Kがサーリーナとバトル、Jがローラ救出へと二手にわかれるが、予想では、サーリーナと戦うのがJで、ローラを救うのはKかなーと思っていたので驚いた。自分の愛した人の娘であるローラを救いたいと思うのがKかなと考えていたのだけれど、ローラ自体を想っているJが向かうことのほうが確かに綺麗なエンディングにはなりそうだ。Kもロラーナのことを想えばこそ、敢えて元凶を叩こうとしたのだろう。彼女と相対するとき、KJに俺を助けようとしなくていい、みたいなことをエレベータの中で言っていた。それはJにとって悲しいことだったけれど、最後にはちゃんと協力してくれて、2人だからこそ勝てて、いい終わり方をしたと思う。

彼らの活動はまだまだ続く

ローラはもとの惑星へと旅立ち、Kは一安心。Jは恋してたローラがいなくなってしまってがっかり。でもこれからKが記憶を消されて引退することはない…よね?もう死ぬ時まで一緒に働いてほしい!足手まといにはならないだけの経験が彼の中に詰まっているのだから。

宇宙人が当たり前のように地球の生物の中に溶け込んで生きているのだとすれば、こんなおもしろいことはないよね。未知の生物は自分たちの惑星を壊してしまうもののような気がしてしまうけれど、実は「郷に入っては郷に従え」で普通に生きているのかも。地球のどこかにまだまだ知らない何かが眠っている。ロマンがあるよね。

メンインブラック3ではジョーンズさんはもはや引退状態のちょい役。ばっちり動くのはこの2までだ。今でも人気のある作品だし、CGに頼りすぎない、少しぎこちない感じの動きもまた好きだね。アクションに力を入れている作品ではなく、登場人物たちは血の一滴も出ないような無敵感があって、エイリアンと対話しつつ分かり合おうとしながら戦っていく。日本で言えば「相棒」シリーズに近いものがあって、そこに感動よりはコメディーをフルで詰め込んだ感じが「メンインブラック」だと思うね。

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