めちゃくちゃな奴が恋してよりめちゃくちゃになる - CRASH!の感想

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CRASH!

4.004.00
画力
4.00
ストーリー
3.75
キャラクター
4.50
設定
4.00
演出
3.75
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めちゃくちゃな奴が恋してよりめちゃくちゃになる

4.04.0
画力
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.5
設定
4.0
演出
4.0

目次

アイドルユニット誕生

アイドル事務所の娘である花。彼女はアイドルの原石を見つけると鼻血を出すという特徴を持ち、その力で数々のアイドル達を発掘してきた。事務所の10周年を飾るべく、わざわざ外に出向いてスカウトに出かけたある日。花は5人のイケメンたちを発見し、盛大な鼻血のしぶきをあげた。

とにかく、登場人物たちの性格がいい。花はあざとくないし、5人組のメンツもみんなそれぞれの特技と夢を持つ少年たちで、真面目な子ばかり。「アイドルになると決めたからには…」と自分で決意して、活動に臨む姿がカッコいい。「CRASH」というグループ名もなかなかハマっていて、桐、怜、順平、一彦、侑吾の5人でアイドル街道をひた走る。それぞれの持つ個性と特技を生かした素敵なグループだ。アイドルグループとして活躍していく裏には数々のたゆまぬ努力がある。花のプロデューサーとしての努力、メンバーそれぞれの努力、そしてどのようにレッスンして、どのようにツアーが決まっていくのかがわかる。実際、アイドルはオーディションだけじゃなく、スカウトで生まれている。俳優も同じ。新宿の竹下通りとか、有名なスポットがあるらしい。光る人材を見つけるプロは、顔だけじゃなく、オーラを見るらしいが…結局顔だよね。

光る人材を見つけても、どう光るかはやらせてみないとわからない。得意なことだけで仕事ができるわけでもなく、ボイトレも、ダンスレッスンも、芸能界のマナーも…本当にたくさんのことを学んで、売れるまで頑張る…芸能界は汚れていると言われることが多いが、そこにはものすごい努力があるんだと思う。漫画だから、すぐに開花しちゃうけれど、実際にうまくいくかどうかを考えたら、すごいことだよね。

もちろん、少女漫画だから、花とメンバーたちとの恋もちゃんと描くわけだけど…全員が花のほうを向くわけじゃないのは好印象。ただの取り合いとか、おもしろくなさすぎるからね。

まさかの主人公追加

アイドルユニット「CRASH」が誕生し、軌道に乗り、花が恋心に気づいたところでまさかの主人公追加が発生。なんで…?!花は…?!ヒロインを追加するなんて、どんなこと?!と驚きを隠せなかった。しかし第2部が始まっても、ちゃんと漫画は連載され続けてきた。やはり人気があったのだろうと思う。「これからも彼らの挑戦は続くのだ」とか言って終わられたらどうしようかと思ったけれど、ちゃんとCRASHがてっぺんにたどり着くまでも描いてくれたし、恋の成就がどうなったのかも描いてくれていた。序盤で音沙汰なかった一彦とユイの恋。なかなかときめく話だった。

ユイと一彦の恋は本当にかわいらしく、静かに、でも確実に進んでいった印象がある。お互い似ているからね。一彦は日本舞踊の家の出身。扇子を持てば色気のある目つきに変身できるため、ユイの前では強気になることがあるのだろうかと思っていたが…ドSになることはなかった。はじめから終わりまでかわいい恋だったため、まさかスキャンダルになって途中で別れることになろうとは思いもしなかったね。桐と花のようにはちゃめちゃなことはせず、一彦とユイはお互いに絶対想いが変わることはないという自信があるからこそ、離れる選択をする。桐だったらこんな選択できなかったね。両方取る!とか言って押しとおした気がするよ…。

花なんて、桐を好きになっていることに全然気づいてないからね。桐も怜も哀れ…見ている側からすれば、花の一挙手一投足にドキドキしまくりで、動揺しまくっている桐と怜を見るのは楽しすぎたよ。顔がニヤけまくり。順平とまりかに関しては、お互いの仕事をちゃんと考えてあげる大人な度量が感じられて、これまた他のメンツとは全然違うなーって思った。ほんと、それぞれに違う恋の仕方があるなーと改めて思ったね。一般人同士ならどうでもいいことも、みんなのアイドルとして活動しなければならない芸能人の恋は、常に前途多難なのである。

CRASHメンバーの魅力

メインの桐に関しては、とにかくうるさいなという印象。戦隊もののレッド的なポジションから、常に熱血。見た目はクールな印象も受ける分、そのバカさが目立ってギャップの嬉しいキャラクターだ。妹のためにお金を稼ぐと決めた彼が、どんどん花の魅力にときめいて、怜にやきもちを焼いて…退屈しない奴だ。バカだけど、正直で、一本筋が通っている彼は、とても頼りになる人だ。

怜は、クール担当・そして三角関係担当としてよく活躍してくれた。ツンデレというよりも、普段口数が少ないだけで、優しさに満ちた男の子であったと思う。ヒロインの幸せをいつも考えていて、だからこそ身を引くこともするし、花の意志を尊重して行動する彼が、かわいそうなようで、愛しいようで…。時々見せてくれるその笑顔が大好きだった。こういうキャラクターは絶対当て馬なのに、ついつい桐よりも怜を…と期待してしまった。

メンバーの中で一番真面目な順平。彼のおかげでCRASHはまとまったと言っても過言ではない。花のカバーできない部分を、リーダーとしてまとめあげてくれていた。うまくいかないときに、人のせいにしないで自分のやり方を見つめ直すことから始める順平は、もう本当にイケメン!まりかとどうぞお幸せに!

2部主人公の一彦は、とにかく萌える男子。優しさ、一生懸命さ、何よりそのフォルムのかわいさ。できれば扇子でユイに攻めてほしかったけれど、奥手な彼には難しすぎたね…。

侑吾みたいに、チャラ男で年上キャラの場合は、影の立役者になりやすい。冷静に状況判断ができるし、熱血でまっすぐすぎる順平のフォローや、頭のいい切り替えができるのは、やっぱり年上だからかなーって思う。こういう癖のある人にはあまりヒロインと結ばれるエンドがないんだよね…それがとても残念。侑吾が誰よりも情に熱いということ、ちゃんとわかっているよ!

何度考えても怜

桐と花の組み合わせになってしまうことは、2人きりになる回数とか、雰囲気で序盤からわかっていた。だけど、怜の花に対する優しさ、気配りの良さがうますぎて、怜と花がうまくいってほしいな…とぎりぎりまで期待していた。どこかで桐じゃなくなる理由が生まれないかと思っていたが、うまくいかないね…。花に対しては極アマで、デレる怜でいてほしかったし、それにときめく花でいてほしかった。花が困ったときに、必ず俺がいるから。そんなキープみたいなこと、許しちゃっていいの?利用されたいほどに、花への想いが深い。それは、桐のこともCRASHのメンバーとして認めているからこそできること。桐なら怜を蹴落としてでも花を手に入れようとしただろうけれど、怜は大事にしたいものを彼なりに大事にするからね。そこがせつなくて、救ってやりたいって思ってしまったよ。

ラブコメを楽しもう

デビューから安定の活躍まで、これだけ丁寧に芸能活動を描いてくれている漫画も多くないと思う。もちろん、漫画だから一足飛びの展開もあるし、メンバーの性格が良すぎたりとか、つっこみどころはある。それでも、CRASHのメンバーは応援したくなるカリスマ性があるね。

基本的には王道の少女漫画。CRASH一人一人と鈍感な花が、芸能活動を通してどのように成長していったかをシンプルに楽しむことができる。途中ユイの追加もあって萎えたけれど、ちゃんと描き切ってくれたなーと思える内容に満足できるはず。怜には幸せになってもらいたかったけれど、総じてハッピーな終わりを迎えることができたのではないだろうか。

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主人公を途中で増やすという荒業が見事に成功した少女漫画

第一部は男性アイドルの成長を描く「CRASH」というのは5人組男性ユニットの名前。すべてぶち壊しにするくらいの衝撃を与えてくれるアイドルを目指しているわけですね。いい意味のほうで。桐、怜、順平、一彦、侑吾の5人は、ホワイトスター事務所のスカウトマンを務める花にスカウトされ、アイドルとしての活動を始めます。スカウトの方法が鼻血によって決まるというのは何ともあほくさいですが…どの子も本当にかわいいし、それぞれに魅力がある子でした。桐にはギター、怜にはマジシャン、順平にはダンス、一彦には日本舞踊、侑吾にはピアノやバイオリンなどなど。性格の面で、桐はオラオライケイケ系、怜は冷静沈着系、順平は熱血純情系、一彦はかわいい子犬系、侑吾はフェロモン垂れ流し系と、キャラクターの色を分けているのは順当な感じ。イケメンで才能ある人って…いるのかなーって思うけど、特技あり、オーラありで日夜いろいろな人がスカウトされる...この感想を読む

4.04.0
  • betrayerbetrayer
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