探偵と可愛くて下衆な悪魔達が繰り広げる、何でもありのRー20コメディ
個性的なキャラクター達
漫画界の無法地帯と言っても過言では無いこの漫画の最大の魅力は、最低だけど憎めない魅力的な登場人物達だろう。主要な登場人物4人。まずはこの漫画の主人公である最下級悪魔アザゼル。「淫奔」の能力を司るれっきとした悪魔だが、使える技と言えば男性機能を不能にするTHE END OF SONくらいしかなく、力の行使に必要な生贄は、スーパーで肉を買ったらタダでもらえる牛脂か、シャー○クの足を洗って使いまわせば良いのだから、実に低コストである。
一方、アザゼルの同僚である上級悪魔ベルゼブブは、悪魔としてもキャラクターとしても非常に優秀である。人間界での姿はフワフワの綿毛に包まれた愛らしいペンギンで、魔界での姿はどこからどう見ても王子様。そして「暴露」の能力の一端である「強制排便」は、迷い犬から変人48面相まで数々の事件を解決へと導いてきた。唯一欠点があるとすれば、正体がス●トロを嗜む蠅であることくらいである。
芥辺探偵事務所の所長、芥辺は、食事中、トイレ中、情事中、間の悪さなどお構い無しに悪魔をこき使う、悪魔よりも悪魔らしい悪魔使いである。その正体は謎に包まれており、なぜ圧倒的に強いのか、なぜグリモアを集めているのか、なぜ定期的に機嫌が悪くなるのか、なぜ助手の佐隈には甘いのか、
まだまだ分からないことだらけである。諭吉大好き助手の佐隈りん子も、その身体にかけられた呪いについては、両親とアザゼルに関係するらしい事以外分かっていない。それに託けた最近の佐隈の奔放な振る舞いは、芥辺や悪魔であるベルゼブブ、一読者である私も気にかかるところである。
セクハラ、ス●トロ、男尊女卑、スプラッタ、何でもありなのに女性受けする理由
先に述べた通り、この漫画に出てくるキャラクターは全員一癖も二癖もあり、内容もまともな人なら顔をしかめるような代物である。しかし不思議な事に、この漫画は女性受けも良い。
何故か。独断と偏見で仮説を立てた。まず一つは、ソロモンリングの力で悪魔達がプリティな姿になっている点だ。雨の日のかっぱ姿や、佐隈の手を握る悪魔達の手を見ると、まるでようやく歩けるようになった幼子のようだ。アザゼルのコロコロと変わる表情や関西弁も、キャラクターに良く似合っている。そんなところに母性本能をくすぐられてしまうのではないだろうか。
次に考えたのは、恋愛要素である。芥辺の公式プロフィールには「何故か佐隈には甘い」とある。何故甘いのか。悪魔が生贄を受け取らず佐隈が罰としてパンダに変身した時の、あのごっつヒューヒューな登場。佐隈が変人48面相に誘拐されセクハラを受けそうになった時の、あの拳。いちごの戦士に変身した時の、あの焦り。芥辺って、もしかして佐隈に片思いしてるの?と、妄想を膨らませた淑女も多いのではないだろうか。
そしてもう一つは、ウィットに富んだ作者のブラックユーモアだ。他人の不幸は蜜の味、ではないが、私たちは元来下世話な話が大好きだ。この漫画を読む層は、酸いも甘いも噛み分けた大人の方が圧倒的に多いでしょうから、綺麗ごと抜き、ギリギリの時事ネタも容赦なく弄って笑いに変えようとするその姿勢に、共感を覚えるのではないだろうか。
今後のよんでますよ、アザゼルさん。
最初の人気の勢いが落ち着き、いよいよストーリーも本題に入っていくのではないでしょうか。芥辺の正体、佐隈の生い立ちと呪いについて、など、
今後の展開がますます期待大の作品である。
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