散々好きにさせておいて落とす椿くんにドン引き
要所をおさえてコンパクトに
漫画が原作のこの物語。真面目で勉強しかしてこなかった(正確には親の期待に応えようと必死だっただけの)女子高生つばき。おさげ髪にメガネ・長いスカートを着用した武井咲扮するつばきは、割とイメージに合っていたように思う。彼女が同じ名前をもつ椿京汰と出会い、最悪の第一印象だったのがいつの間にか恋になり、告白したり、フラれたり、うまくいったり、横からとられるんじゃないかって怖くなったり…という要所のイベントをしっかりと通過していった物語だった。2時間によくまとめたなーと思う。
この映画のいいところって、漫画だとヤるヤらないとかがかなり回りくどくて大変だったんだけど、そこがわかりやすく、自然とまとまったことかな。まぁー唯一の敵が迫ったことによってぎくしゃくしたことが功を奏した形ではある。そして、変に着色もしていないし、大嫌いだった人を大好きになる、気持ちの移り変わりが受け入れやすかった。個人的には、最初に同じクラスで出会ったときの、京汰の髪の毛をハサミで切っちゃうっていうシーン好きだったんだけどな…それがなくなって、口では「あんたのそのロン毛切ってやる」って言いながら、きっちりハサミの先端を京汰に向けて立ちすくしているっていう、若干犯罪・もめごとになりそうなシチュエーションに変更されていた。そこは本当にもったいなかったね。あれがあるからこそ、印象深い漫画だったんだけどなー。京汰の髪の毛を通して、ハサミを通して、最悪の出来事が実はつばきの夢に繋がっていたっていう流れ。好きだったんだけどなー(2回目)。
椿くんドン引き
教室でつばきを公開処刑状態にする京汰にマジで引いた。実写にするとこんなにもイタイことだったとはわからなかったよ。そして、京汰のロン毛が本当にキモいと思った。切ってあげてよかったなと思いつつ、いやもっと切ってくれと思った。まだトップのほうがもさっとしているよ。
そして何より、実写にしたときの、つばきに告白されたときのリアクションね。おーい本当に…実写にすると余計にぞっとするね。
お前もあの女と同じなんだな
いや、好きだって言うことのどこがあの女と同じやねん。誰かを好きになることがそんなに悪い事?母親が悪かったのは、自分の愛する家族以外に愛する人をつくってしまったこと、かつ、すべて捨てて出ていってしまったことだろうが。別につばきが他に違う好きな人がいたわけじゃないのに、初恋だったのに…母親のトラウマ、違う女に押し付けんじゃねーよ!とこれだけは言っておきたい。女なんて…って言ってるわりに楽しんでいるじゃない。そんなに嫌いなら男方面にでも走れ。
そして、実際に嫌いになろうとして相手を突き放す映像って、辛いもんだ。京汰とつばきがここからリア充への階段を上がっていくってわかっているのに、実際に見せられると目をそむけたくなる。つばきからすれば、妹を振ったってことは…って思ってたのにね…上げて落とす。京汰の得意とするテクニックである。
そしてつばきの再告白のときの行動も、ドン引きだわー…白くまの着ぐるみでがんばってるつばきもだいぶ謎だった…
付き合ってるときの楽しい思い出を軽くスルー
付き合い始めて、深まっていくところをだいぶスルーされちゃったよなーって思う。その1年、2年を過ごすのに、いろいろあったのにさー。好きだ嫌いだ、大切にしてるしてない、いろいろ考えこんじゃって動けなくなって、それでもわかりあっていくのが少女漫画の醍醐味。そこんところはもう少しあってほしかった。
つばきが2回目の告白に踏み切るまでをずいぶんと丁寧に描いていたし、フォーカスを当てたいところが全然違ったんだろう。十分イチャコラしていたと言えばしてたが、ちょっと足りないんだよなーもっとベッタベタの時があったっていいじゃない。遊園地と動物園に甘んじている場合じゃない。どんどん相手のことを知っていく。ますます好きになる。つばきがどんどんかわいくなって、京汰がどんどん優しくなって。順風満帆の時が一気に1年流れた。思い切ってぎゅっと凝縮してまとめているのに、違和感なく展開されていたのはいいことだけどね。
地味女のつばきがコンタクトレンズに変えて、おさげをやめて、スカートを短くしてみたり、服を買っておしゃれをがんばる。そこで本当は勉強しろっていう親との確執があったはずなんだけど、最後の美容師になりたいと告げるタイミングまで、ずれこんでいた。それに母親がそんなに怖くなくて。話せばわかる親設定だったことにほっと胸をなでおろしたね。だってそこでも母親問題出てくるの?ってなったらくどい。
きました共通項を持つ相手への嫉妬
きたよ宇宙ネタ!天体観測・プラネタリウム大好きネタ!男の子が目を輝かせる普通っぽくない趣味の代表格。そして、必ず彼女の敵である横恋慕が起きるポイントでもある宇宙ネタ。話が合うことは嬉しいことだけれど、分からないものなら分かち合えばいいだけの話なのにね。一度手に入ったものを奪われるんじゃないかって怯えるのは、それだけ惚れているということであるし、自信がなくて余裕がないということでもある。共通項がないならつくりやがれ、迷ってへばってるよりぶつかりやがれ!
何度もこういうパターンには出会ってきたけれど、このイメージだけは払拭したらどうだろう。頭がよくなきゃ星は見れない…そんなわけあるか!そして頭のいい人同士でなければわかりあえないとか、アホかい。わからないところがあったっていいのに、横恋慕女が抱く好意にも気づかず仲良くやっちゃってるのを、彼女は許せないものなんだよ。そして男からすれば彼女はお前なのになんでムカつくんだよってよくわからない。ここばっかりは、彼女にいかに余裕があるかどうかにかかっているよね。
また来ようねと約束した場所が必ずキーになる
来年のクリスマスイブに必ず君と星がみたい。そんな京汰とつばきの約束は、絶対使われると思ってたわー。わかりやすすぎて助かるわー。離れててもその場所に戻ってくればもう一度始まれる気がする。そんな場所が必ず少女漫画の映画の中にはあるんだよね。そして案の定その場所まではどっちかが走っていくの。…なんか流れが見えてると若干せつないけどね。今回は“星”がポイントであり、女の子のめげない“告白”がポイントである。そのせいか、京汰と母親のシーンの軽い事と言ったらなかった。
母さん…
って呼べたら終わりか?それは…足りないだろう!お父さんのお母さんへの言葉のほうがホロリときちゃったよ?直接会ってる描写がなかったのにだよ?京汰が許せなかった人と会う。そんなビッグイベントとつばきとのケンカをかぶせてくるなんて、なんてひどい。そりゃー母親との感動の再会が削られるに決まっているじゃないか!母親と逃げた男はすでに他界しており、母親は一人で入院しちゃってる…自業自得だけれど、お父さんも京汰も、お母さんのこと愛していたんだね。それはしっかりと伝わってきた映画だったよ。
全体としてとっつきやすく、最終的に体の関係でもスタートを切れた、という終わり方をした。そんな寒くて硬い場所で果たして大丈夫だったのか…そんな心配もしてしまうのだが、星の明るさだけで楽しむのも、ロマンチックかもね。難しい思考はほとんど必要なし。ゆるーく見るのにちょうどいい映画なのではないだろうか。
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