ほっこりする作品 - しあわせの隠れ場所の感想

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映画レビュー数 5,784件

ほっこりする作品

4.54.5
映像
4.0
脚本
5.0
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.5

目次

実話を基にしたストーリー

今作はホームレスを経験し悲しい境遇で育った孤独な黒人青年がアメフトでアメリカンドリームを掴むまでの実話を基にした映画です。
そのようなストリートは今までも映画やドラマに数多くあります。
フィクションよりもノンフィクションの方が観る側からするとより一層感情移入しますし満足度が高いです。
ですが最近の実話を基にした映画は何か着色しているようで好きになりませんでした。
作品を鑑賞していると「本当に?そんな事あるの?」といった疑問が生まれてしまって作品に入り込めない自分がいました。
元々フィクションとされていると割り切って観れるのにノンフィクションと聞くと何か納得いかない自分がいるんです。
私のように感じる方は少なからずいると思います。
その為実話を基にした作品はほとんど見なくなってしまったんです。
この作品を観るのも最初は乗り気ではありませんでしたがレビュー評価がとても良かった、ただそれだけで鑑賞したのです。
ですが冒頭30分で何故だか引き込まれていきます。
実話をただ映画にしただけと言われればその通りなのですがシンプルにアメリカンドリームを掴んでいく話を観るのもたまには良いものです。
恩着せがましい涙ちょうだいシーンもなく、めちゃくちゃ感動するシーンがあるわけでもないのですがワンシーンワンシーンにほっこりする部分が隠れているんです。
この作品を男性が観るのと女性が観るのとでは少し感想は変わってくるかもしれません。
私はアメフトで成功した主人公の生い立ちや成功するまでの葛藤などがとても大切だと思うんです。
男性はアメフトで成功している主人公とその後に興味を持ちがちです。
もし後者ならばこの作品を観て満足出来ないかもしれませんが私にはクスッと笑えてほっこり出来るこの作品が好きです。

サンドラブロックが最高

もちろん主役のマイケルオアー( クィントンアーロン)の演技も最高に良かったです。
私はクィントンアーロンという俳優をこの作品で初めて知る事になったのですが、とても初々しい演技をしています。
役にのめり込みすぎていないというか、肩の力を抜いた自然な演技がとても良かったです。
特に時より見せる寂しげな表情や誰かに訴えかけようとしている眼差しがもしかして本人じゃないの?と感じてしまう程。
特に口数が多いわけでもなくセリフは少ないのですが表情で伝えているというか、後半にかけて表情が豊かになっていく姿はジーンときてしまいます。
そしてこの作品の立役者はサンドラブロックかなという印象でした。
サンドラブロックにヒューマンドラマって大丈夫なの?と思う程サンドラブロックにヒューマンドラマのイメージが持てなかった私。
何か冷たいというのかクールというのか演技派女優ではあるのだけれど似合わない作品じゃないのかなと思っていました。
最後にサンドラブロックが出演する作品を観たのがゼログラビティという事もあったと思いますが。
ですが、リーアン(サンドラブロック)の発する一言一言、それに声はとても暖かいもので愛おしい者を大切に思う気持ちがしっかりと表現されていました。
普段クールで夫をも尻に敷いてしまう気の強いリーアンが時折見せるマイケルオアーへの切なく愛のある演技は必見です。

家族のかたちとは

家族の形とはどのようなものが理想なのか正解は私にも分かりません。
大富豪のリーアンテューイに招かれる事でトゥーヒー家で居候の身となったマイケルオアーの生活が大きく変わっていきます。
一方でリーアンの心も大きく変わっていくのです。
優しい夫に素直な娘、明るい息子と何不自由なく生活しているリーアンでさえも心に何か埋まらないものがあります。
それは格差社会や人種差別など様々な問題があるのだろうと感じるのですが、成功者の家庭だからこそ起こり得る孤独感でもあるでしょう。
成功者というものは周りが一歩下がった状態で接っするので本当のコミュニケーションに飢えていたのかもしれません。
だからといって見ず知らずの黒人少年を招き入れる家庭はアメリカ社会にどのぐらいいるのでしょうか?
アメリカでは黒人差別がどの国よりも強く今でも根深い問題とされています。
それだけに関わりを持とうとする人はゼロに等しいと思うのですが招き入れて、しかもマイケルオアーをテューイ家の一員にするという事は互いに信頼関係を築けたからこそ。
テューイ家の誰か1人でもかけていたら、特にテューイ家の長男であるSJテューイとの絆がなければ家族にはなれなかったかもしれません。
家族というものはお互いを理解し尊重し合える気持ちがあるかどうかがとても大事で信頼関係を築くまでに長い時間がかかります。
それでも家族の一員に迎えたのはマイケルオアーの純粋な優しさや素直さ、トゥーヒー家の愛情に尽きます。
マイケルオアーに出会えたからこそリーアンが、リーアンに出会えたからこそマイケルオアーの人生が豊かになった必然の出会いだったのだと感じました。

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サクセスストーリー

この映画は実話を基にしたサクセスストーリーであり、観ているこちらもいつの間にか応援してしまうような魅力的な映画である。裕福な家庭に引き取られる黒人青年マイケルは、ただ引き取られたから人生が成功したのではない。彼の人生を変えたいという思い、そして努力、また、リー・アンの家族全員に対する感謝の気持ちが彼を成功に導いたのだと思った。彼の素晴らしい人格なくしてこのサクセスストーリーは完成しなかったと強く感じた。また、リー・アンの家族もなんと素晴らしい家族なのだろうと感動してしまった。サンドラブロック演じる裕福な家庭のリー・アンはお金持ちなのに全然いやらしさを感じないのだ。それはサンドラブロックが彼女の私利私欲のない爽やかな性格をうまく表現しているからだと思った。夫のショーンは穏やかな性格で、彼の言葉の中に「タマネギを向くようにだぞ」と言うのがあったのだが、焦らずゆっくり歩んでいこう、ということ...この感想を読む

3.53.5
  • hearlohearlo
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