忘れられない空気感。もう一度観たい、大人のドラマです。
オープニングの存在感が秀逸です。
バネッサ・ウィリアムズのAlfienが流れるオープニング。この曲、このドラマで聴くまで知らなかったんですが、なんという空気感。しっとり感を纏いながらも透明感あふれるこの感じ、他にはなかなかないんじゃないでしょうか。後になって、手嶌葵がカバーしているのを聴いて、真っ先にこのドラマを思い出しました。映像もいいんです。ドラマのオープニングをじっくり観ることはないんですが、これは見入ってしまう魅力がありました。いつまでも観ていたいような。早く本編を観たい欲求を超えるオープニングって、ちょっとすごいですね。
宮沢りえのファッションがいい。
宮沢りえが演じる花が、田村正和扮する海老沢の妻になって、何不自由なくセレブ生活を送るシーンがあります。そこで宮沢りえが纏うのは、繊細でゴージャスでふわふわなお洋服たち。当時の彼女の華奢さ、華やかさがなければ成立しないが美しさがそこにあるんです。言うなれば、砂糖菓子の女。憧れましたね。でも、彼女の表面に見えている華やかさと内面に隠れている空虚さの間にある、埋まらない何かがなかったとしたら、ちょっと嫌味に映っていたかもしれません。心に穴の開いた状態の彼女だからこそ、この美しさはせつなく、素晴らしい。
このバランスは、この3人でしかありえない。
このドラマ、奇をてらうような展開はなく、淡々と素直に流れていくんです。それも好きなところ。だからこそ、演技がこなれ始めた木村拓哉の若さ、成功の先にちらつく老いを漂わせる田村正和の威圧的でもあり脆くもある大人の対比が脈々と描かれます。ふたりとも好きな役者さんではないけど、宮沢りえも含めてこの3人でなければ実現しない骨太な説得力があったように思います。そういう意味では豪華ですね。田村正和が見せる大人のいやらしさ。ちょっと目をそむけたくなるような醜さなんですが、失いたくないもののために狡くなれるのも大人なら、醜くなるのも大人。せつないです。対して、キムタク扮する翔ちゃんは、自分の可能性を試す若さゆえの勢いがある。そばにいて、自分の存在意義を信じられるのはやっぱり翔ちゃんでしょうかね。海老沢さんも、間違いなく花の存在を必要としてますが。リアルタイムで観た時から年月経っているせいもあるけど、今は海老沢さん寄り。でも、それは凡人の考え。男2人は仕事の上でも一緒に歩くことを選択するんですね。そして、仕事に輝く男のそばに私あり。花ちゃん、すごいです。
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