史実では、善戦したイタリア軍部隊もいます - ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!の感想

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ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!

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史実では、善戦したイタリア軍部隊もいます

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映像
4.5
ストーリー
4.0
キャラクター
3.5
声優
4.0
音楽
4.5

目次

対イタリア戦の物語

「戦車道」の話。主人公の西住みほ率いる県立大洗女子学園が、一応、日本帝国陸軍風です。西住姓も、実在した戦車第5大隊小隊長、西住小次郎大尉から由来しています。

ただし、知波単学園があるので、純日本とは言えません。(ちなみに、知波単学園にはなんと、かつて戦車隊の小隊長を務めた作家の司馬遼太郎をモデルにした、福田戦車兵がいます。司馬遼太郎の本名が福田定一なので間違いないでしょう。これはあまりに露骨なので笑うしかありません。)

しかし、対戦相手の高校は、あからさまに第2次世界大戦中の欧米国をモデルにしてます。
アンツィオ高校は、名前からイタリアそのものです。

しかも、TV版では放映せずに、OVA(番外編)として、わざわざ残したのは製作者のイタリア好きからくるものと考えて間違いありません。

かつて、イタリアの戦車は、プラモデルもなかった

子供の頃に戦車のプラモデルが好きで、よく作ったことを思い出します。中でも、タミヤ(田宮模型)のプラモデルが最高にディテールが精巧でした。

けれど、さすがの田宮模型も、当時(30年前)イタリアの戦車は製造していませんでした。マニアック過ぎたのです。
P40重戦車とか、セモヴェンテM41自走砲などは、かろうじて写真で見たことがあるくらいで、アニメを見て詳しく知りました。カルロ・ヴェローチェCV33に到っては、見たことも聞いたこともありませんでした。

現在調べてみると、アンツィオ高校の戦車は、すべて販売しています。
『ガールズ&パンツァー』の影響力は、大したものです。

イタリア軍への風評

日本では「ヘタリア」呼ばわりされるイタリア軍への噂には、笑えるものが沢山あります。

エチオピアと戦争した時に、槍と弓、旧式の小銃しか持っていない、エチオピア軍に負けそうになり、毒ガスを使用した。
戦場でパスタを茹でていた。
捕虜にフルコースの食事を出したことがある。
等などです。

史実を調べると、まったく正しいわけではありませんが、あながち間違いでもないようです。

第1次世界大戦、第2次世界大戦の両大戦に、初めはドイツと同盟を組んでいたにもかかわらず、戦況が悪化すると、勝手に単独降伏し、同盟を破棄して 連合国側に寝返った事がありました。

良く言えば、政治的手腕に長けていると評価されるのでしょう。
しかし、日本やドイツの観点からすれば、卑怯で惰弱な奴ともされるのです。

今でもジョークとして、ドイツ人が日本人に「今度はイタ公抜きでやろう」などと言うのは、それなりの理由があるのです。

『コレリ大尉のマンドリン』の悲劇

また、国家が勝手に単独降伏すると、末端にいる現場の兵士たちは酷い目に遭います。
イタリア軍の将校を主人公にした映画『コレリ大尉のマンドリン』では、史実を元にした悲劇が描かれています。

第2次大戦中、ギリシャのケファロニア島は、ドイツとイタリアの両軍によって占領されていました。ところが、イタリアが単独降伏したことから、ドイツ軍によって敵とみなされて117名のイタリア将兵が殺されました。戦争中、勝手に降伏することは、敵になったことと同じなのです。ある意味ドイツの行動が正しい。

映画では、ニコラス・ケイジがイタリア軍将校、コレリ大尉を演じています。やはりイタリア人として、ステレオタイプに描かれていました。
女好きで、戦争するより毎日を楽しく生きるほうが得意であるように。

以外にも、東部戦線では健闘していた

ただし、ある一部の戦線では、イタリア軍であっても、善戦しています。とりわけ、東部戦線で対ロシア戦に参加したイタリア軍は凄まじい戦闘をしています。

ドイツとロシア(ソビエト連邦)との戦争で、必ず取り上げられる戦闘にスターリングラードの激戦があります。現在のボルゴグラードです。

実は、イタリア軍の戦闘を詳しく調べるまでは、ドイツがスターリングラードで敗北したのは、弱いイタリア軍が攻撃されたからと思い込んでいました。弱い部隊を攻撃するのが戦争のセオリーなので、イタリア軍が敗走したためにドイツ軍が背後を突かれたと。

事実は、ルーマニア軍が総崩れになったことが原因でした。東部戦線のイタリア軍は、ほとんど全滅寸前になりながらも陣地を死守していました。

オタクも極めるとここまでの作品になる

話をアニメに戻します。
『ガールズ&パンツァー』を初めて観た時には、その強引な設定に、正直言って呆れました。
「戦車道」って何?、いくら何でもオタクな作品を作りすぎると感じたのです。

ところが、単に戦車戦を美少女で描きたいだけのオタク作品かと思っていると、予想以上に裏切られます。

CGによる戦車の動きがリアル過ぎます。そして戦史と各国の歴史に詳しい人間ならば、思わず笑える細かさがあります。

そう、タミヤの戦車を作った世代ならば、ある意味感動的なのです。
プラモデルで作った戦車が動いて戦闘していることに驚き、そして戦史に詳しい過ぎることで更に感嘆させられます。

多分、このシリーズは男性のファンが大部分でしょう。単純かつ細部に熱中する男の心理を掴んでいる、理屈抜きの面白さがあります。
女性から見ると「男って馬鹿ね」と思われるかもしれませんが。

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