ゆるゆり なちゅやちゅみ+ 「+1」 を見て感じたこと
舞台から感じられる魅力
物語の舞台が富山県ということもあり、背景の美しさと自然の豊かさが感じられます。
作者のなもりさんが富山出身ということもあり、思い入れの強さが伺えました。
キャラのほとんどが非常語を喋っていますが、実は富山や石川などの北陸弁は「〜やろ」「〜やし」と言った関西弁に近いイントネーションなので、全員話し方が千歳ちゃんっぽくても不思議ではないかなと思ったりしました。
他のキャラの関西寄りイントネーションも聞いてみたいような気もしますが、そこは、なもりさんが全国区に伝わるように標準語に統一したんだと思います。
方言はともかく、「実際にこういう場所があるんだろうな」と思うほど、背景のリアルさというものが感じられました。
キャラクターの変化
絵のタッチ
見てわかるように、1期と2期に比べ、絵のタッチがガラリと変わっています。かなり立体的になっていて、2期からなちゅやちゅみまでの数期間でこんなにも技術が発達するんだなと驚きました。しかし、立体的になったことで、顔の表情が分かりにくくなっていると思いました。個人的には1期、2期のような喜怒哀楽がはっきりした絵のタッチが好きです。
”ハイテクになればなるほど良い''という訳ではないのかなと感じました。
キャラクターの性格
こちらも1期、2期に比べて、変化が見られました。
全体的に見て、キャラの性格がやさしくなっていたと思います。
特に、ちなつちゃんがあかりちゃんに対し、「2ショット撮ろう」と言ったシーンは印象に残りました。
強引にファーストキスを奪ったり、「影薄いのが移る」と暴言をはいたり、むちゃくちゃな指圧をしたりと、あかりちゃんの扱いがあんなに雑だったあのちなつちゃんが、あんなにやさしい言葉をかけたのは驚きました。
しかし、あの後、頭のお団子を掴んで突き飛ばすシーンを見て「やっぱり本来のちなつだな」と思いました。
あかりちゃんも天使キャラが完全に板についていて、以前ほどの激しいイジリを受けることもなく、芸達者な感じも薄れているように感じました。
生徒会側もキャラがブレていないのは櫻子ちゃんくらいで、その他は以前よりも大人びているように思えました。
みんな丸くなりすぎていたので、もうすこし1期、2期のような毒突いた感じがもあっても良いかなと思いました。
松本会長
最後の方にちょこっと登場しただけですが、私の中で最も印象に残ったキャラクターは松本会長です。以前はテレビの音量を100にしてやっと聞き取れる声でしたが、今回は大音量にしなくても割と聞き取ることができました。
今回は登場しなくて残念でしたが、私が一番好きなキャラクターは西垣先生であり、1期、2期での松本会長とのやりとりには毎回笑わされました。
また、これまでのにしりせは他のコンビに比べてシュールさが強よかったため、百合要素といったものはあまり強調されていませんでした。
しかし、今回会長が2ショット写真を眺めながら「ありがとう」と言ったシーンを見て、初めて百合的なものを感じ、『こんな一面もあるんだ』と非常に新鮮に思えました。
松本会長は地味ですが、「ゆるゆり」にとって欠かせないキャラクターだと思います。
音楽と演出
ゆるゆりの醍醐味といえば、あのアイキャッチだと思います。それぞれのキャラソンの間奏をアイキャッチに使用するなんて、稀なセンスだと思います。今回はそのアイキャッチが見られませんでしたが、エンディングの紙人形劇を見て、「演出のセンスはやっぱりすごいなぁ」と感銘を受けました。ああいった工夫は最近のアニメでは中々見ることができません。
音楽と演出がゆるゆりの良さを引き立てているんだなとつくづく思いました。
なちゅやちゅみ+1の「+1」
これは前作のなちゅやちゅみの続きというだけでなく、振り返りや回想といった意も込められていると思います。作中でカメラと写真がキーワードになっていることからも、思い出を形にすることによってじっくりと鮮明に回想することができるというのが伝わってきました。自分の欲しい写真に名前を書くシーンを見て、修学旅行後の写真購入を連想しました。
また、エンディングは、前作のなちゅやちゅみの出来事を紙人形劇で表現していることがわかります。
+1を意識して鑑賞すると、思い出の良さというのが伝わってくるかと思います。
まとめ
タイトルにもある「なちゅやちゅみ」に見合った、夏を題材にした作品でした。水風船やおばけ騒動など、夏の風物詩をしっかりと取り入れていることがわかります。立体的となった絵のタッチからは、夏の景色や水しぶきなどが鮮明に感じられます。
また、全体的に見て、ギャグ要素や暴力的な描写が薄れ、百合要素が強調されているように感じました。
これは、キャラクターの心情の変化が作品そのものの変化と大きく関係していると思います。
以前のように大笑いできる描写は少ないですが、思い出の大切さといったメッセージ性のようなものを多く感じました。
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