明かされる謎と、いつまでも謎のままの謎が混在する
ありがちな孤児という設定なのに、オリジナリティにあふれる
キャンディキャンディは、赤ん坊のころに捨てられた孤児だ。寂しい境遇ながら誰よりも、誰よりも明るく元気なためみんなに愛される。
このような孤児の設定は、もう定型といっていいほど使い古された設定だ。孤児なのに明るく愛されるとい設定も、「アニー」や「赤毛のアン」などの少女向けのお話でよく登場する。
しかし、そんなありがちな設定なのに、ありふれた感じはない。また、新しい話として感じられるのは、周りを固める登場人物が個性豊かで、現実味のあるキャラクターであることも大きいだろう。
また、ストーリーがこれでもかというほどの、たくさんの謎を秘めているせいだろう。
キャンディキャンディは、実は大人なドラマかもしれない
キャンディキャンディは、少女の好きなものがたくさんつまったアニメだ。例えば、キャンディキャンディとい名前。ありそうでなかった、かわいい名前だ。
アンソニーという王子様風の男の子も出てくる。アンソニーは、まさしく少女が憧れる白馬に乗った王子様像そのものだ。イケメンでありながら優しく、お金持ちでさえある。
咲き乱れるバラや、広大なお屋敷、すそが長い綺麗なドレスやリボンなど、少女が一度は憧れそうなものが、たくさんつまっている。
そのため、少女達はキャンディキャンディというアニメに夢中になるが、本当にキャンディキャンディは少女向けのアニメなのだろうか。
キャンディキャンディには、いくつもの謎といくつもの複線がある。その謎は、最後に明らかになる謎もあれば、明らかにならない謎もある。
キャンディがポニーの丘の上で出会った王子様は、最後に誰であるかが明らかになり、ひとつの謎は明かされた。しかし、謎の答えを暗示するエピソードがありながら、最後まで明らかにならない謎もある。
その明らかにされない謎とは、キャンディの出生の秘密だ。
キャンディは緑の目をしているが、「緑の目をした貴婦人」の存在が何度か暗示される。目が似ているというだけなので、はっきりとは明きらかにされない。
しかし、違う人物ならば何故暗示されるのかという疑問がわく。この暗示される貴婦人がキャンディの母親である可能性は高いのではないだろか。
しかしながら、もし貴婦人らしき人がキャンディの生みの母であるならば、なぜキャンディを孤児院にあずける必要があったのか、という疑問が出てくる。
養育費に困らない人物が、自分の娘を孤児院に預けなければならない状況とは、どのような状況が考えられるだろうか。
道ならぬ恋なども、そのひとつの可能性として考えられるし、命の危険から守るためというケースも考えられるかもしれない。
どちらにしても、キャンディキャンディの出生の秘密には、大人の事情が絡んでいそうで、実は大人なアニメである可能性もあるのだ。
キャンディと丘の上の王子様とは、どのような関係なのか
キャンディが子どもの頃に出会い、憧れていた王子様はアンソニーではなかった。実は身近にいて何度も手を差し伸べてくれたアルバートだった。
では、このアルバートとキャンディは、どのような関係なのだろうか。
「あしながおじさん」というお話では、孤児の主人公は援助をしてくれた「あしながおじさん」と結ばれる。
キャンディキャンディの場合も、アルバートはキャンディが長い間憧れていた王子様だということが、明らかになった。王子様という設定上や、またキャンディの境遇を大きく助けてくれた人物であることを考えると、キャンディとアルバートは結ばれるのが自然な流れかもしれない。
しかし、アルバートとキャンディは以前から知り合いだが、アルバートが身分を隠している間は、恋愛感情がうまれるような関係性には見えなかった。どちらかといえば、あまり緊張感がない親しみを感じあうような関係のように見えていた。
しかし、王子様であると明らかになった後では、関係性は変わってくるのだろうか。
アルバートへの恩義が愛情に変わる可能性はあるが、変わらない可能性もある。キャンディとアルバートは結婚するのか?
ここにも、ひとつの謎が答えがないまま残っている。
そして、アルバートの生涯も謎が残る。いかにも放浪に出そうな人物にも見えるが、アルバートがこれほど人目を嫌い、身を隠すように暮らしているのには、まだなにか明かされない秘密があるようにも感じられる。
ストーリーが進むにつれて、どんどん謎は明らかになるが、よくよく考えるとまだまだ謎が多く残されていることにも気が付く。
キャンディキャンディが、いつまでも心に引っかかるように残り忘れられないのは、その謎が無意識に気になるためかもしれない。
一見、どこまでも少女趣味なアニメに見えながら、実は謎を秘めた大人なストーリーかもしれないアニメ。
キャンディキャンディは、昔見たことがある人が大人になってから再び見返してみても、楽しめるアニメなのかもしれない。
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