原作好きでも楽しめた - 赤川次郎ミステリー4姉妹探偵団の感想

この作品の原作は、かの有名な赤川次郎の『三姉妹探偵団』である。

赤川次郎の作品を読んだことのない人も、「赤川次郎」という名前を聞いたことがあるのではないだろうか？このドラマの『四姉妹探偵団』の原作こそ、その「赤川次郎」が書いた『三姉妹探偵団』である。正直、ドラマ化の話とオリジナルキャラクターとして姉を増やし、三姉妹の中で主人公ポジションに当たる夕里子を一番末っ子という設定を知った時、「どうせ、ストーリーも原作を無視するんだろう」と期待していなかった。それでも見たのは、やはり好きな作家のドラマ化だったからだ。しかしドラマは、私の期待を良い意味で裏切った。

原作小説をベースにしつつ、ドラマオリジナル脚本ストーリーを違和感なく入れてきた。

確かにドラマでの夕里子のキャラクター設定は原作小説とは明らかに異なっており、私自身、「これじゃない感」が拭えなかった。長女だった綾子が次女に、末っ子で中学生だった珠美は夕里子の姉になり、オリジナルキャラクター・長女の真理がいる。複雑だった。でも、初回(つまりドラマの第一話)の話を見た時、「ちゃんと小説の第一巻の話がドラマの一話になっている」と素直に感動した。思わず、原作を一巻から読み直してしまったくらいだ。それ以降も「今日のドラマの話はこの原作だ」と、照らし合わせながらドラマを見るのが毎週の楽しみになっていった。随所随所にドラマオリジナルの設定・脚本を入れつつ、ドラマ原作である作品をきちんと基礎として置いている。そこまで大きくかけ離れている訳でもないので、原作とドラマは全くの別物と思うことも、「全然違う」と失望することもなかった。少なくとも、私自身は「これはこれでありかな」と思ったのである。特に原作ファンであった私が納得出来た物があった。主題歌である。ドラマの主題歌を好きでやまなかったYUIが手掛けていた。彼女が歌う主題歌の歌詞が原作の夕里子の気持ちのように思えて(ドラマではなく原作というところは譲れない部分である)、感動したのだ。最終回に関してはドラマオリジナル脚本がメインの話に思えたが、ドラマ全体で、一度足りともオリジナル脚本だけで話が一話完結したことはなかったので、ドラマを見終わる頃にはすっかりドラマの『四姉妹探偵団』にはまっていた。

原作を忠実に再現することが良いとは限らない。

作品によっては、小説をドラマ化する際、忠実に再現するのが望まれることもある。私だって、大好きな赤川次郎の作品が連ドラ化と聞いた時は原作をとにかく重視した。原作から話がずれるなら、ドラマなんて見たくないと思っていた。けど、とやかく言うのは見た後からでも良いのではないだろうか？私が「意外とよかった」と思うように。忠実に再現しなくたって、十分に楽しめるなら、それが一番だ。全てにそれが当てはまる訳ではないから要注意ではあるけど！！