異色の婚活本 - スパルタ婚活塾の感想

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スパルタ婚活塾

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異色の婚活本

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目次

愛のあるスパルタ塾

本書は本文中にもあるように、女性の手に取りやすいように、女性が読みやすいように書かれたものではありません。

男性の目線から「なぜ結婚できる女性はできて、結婚できない女性はできないのか」を分かりやすく説明し、「こうすれば婚活は成功する!」と後押しする内容です。

男性が恋愛のマニュアル本を、それも30代以降の女性という、ナイーブな層に向けて書くという事は、なかなか無いと思います。

それもスパルタの名の通り、「お前らに伝授する!」という熱い文体です。

しかし、この男性目線というのが本当に信憑性があるし、既婚者が読んでも納得がいく内容だと思いました。

個人的には、結婚している人とそうでない人を隔てている差は、少しの男心を分かっているかどうか、だと思うんですよね。

実際既婚者には容姿が悪い人もたくさんいるし、きれいかどうかは二の次なのかな、と思います。

しかし、それを同性の友人にアドバイスする勇気はありません。そんなこと、他人に言われたくないですよね。でも、「ここさえ改善すれば、もっといいんじゃないの!?」と思う事も、言わないだけで実際には結構あります。

このもどかしい、もったいな、という気持ちを本書は代弁してくれているようです。

そもそも結婚をすべきなのか

少子高齢化、晩婚化と世相が嘆かれて久しい昨今ですが、そもそも結婚をした方が幸せなのか、という疑問も浮かびます。

私は30代で既婚者ですが、親世代は20代前半に結婚し、子供を生んでいます。20代前半といえば、私はまだ学生でしたし、結婚なんて考えられませんでした。

周りも当たり前のように学校を卒業し、就職していました。

しかし、今振り返ってみれば、この近辺で結婚を意識しておけばよかったと思います。社会に出て働いて、それからの時間はあっという間で、とても真剣に結婚の事なんて考えられませんでした。というか彼氏もまともに出来ませんでした。

しかし、26歳頃から体力の衰えを感じ、急に自分一人で生きていくことが怖くなりました。アラサーの婚活が真剣味を帯びていくのも、恐らくこうした経緯を辿った結果なのでしょう。

しかしやっと結婚を意識したと思ったら、男性側のニーズより歳を取ってしまっていて、婚活市場では遅れを取っていたのです。

女性は今、男性と同じように働く権利があります。でも、社会に出る前に、こうした現実が待っていることも、先に教えて欲しかった。

著者の前作「LOVE理論」であるように、「義務教育に恋愛を導入すべき」と思います。

色々な意見があると思いますが、女性が結婚を考えることは、意義のあることだと私は思います。

そうした問題提起をもされているように、読んでいて感じました。

なぜ結婚できない女性が増えたのか

まず、本書の帯にこのような一文があります。

理想の男性と結婚するために必要なのは「容姿」や「若さ」ではない。真実と向き合う「勇気」である。

婚活で悩んでいる人には容姿が悪い人、年齢に難がある人ばかりではありません。

普通に美人もいるし、若い人もいます。しかし、それでも結婚に結び付かない現実があります。

ところが、「真実と向き合う勇気」、これを持つ事は難しい時代なのかもしれません。

女性は社会進出をし、キャリアや財産を手にしました。その結果、恋愛ごときで躓いても、反省する必要がなくなったのです。

そしてSNSの普及。これは大きな弊害です。SNSは自己肯定が簡単にできてしまう道具です。すぐに他人から「いいね」のコメントを集めてしまいます。

こうしたツールで簡単に自己肯定感が上がってしまった人が、リアルの人の評価を受けるとどうなるか。

「私悪くないもん」と相手に問題を求め始めます。

本文中にも、婚活本の著者としてファッション誌の編集者から「今男性にモテるブランドは何ですか?」と聞かれ、「ジルスチュアート」と答えた際、手のひら返しでバッシングをされたエピソードが乗っています。

ここで著者が書いている通り、「なぜジルスチュアートがいいのか」、「類似のブランドでオススメはあるか」など、学ぶ姿勢があれば、婚活も上手くのでしょう。

問題は「ジルはないわ~」と、わざわざ教えてくれた相手に悪態をつく女性です。

彼女達には、ファッション誌で働いている自負に加え、「自分達の感覚が全て」という、譲れない万能感があります。

ジルスチュアートが著者やその周囲の男性に一番受けている事実があったとしても、それを改めることは出来ません。

「結婚ができない」という女性の背景には、そうした「自己肯定から抜け出せない」という問題も大きく影響しているように思えます。

本書で著者が「自分を変える覚悟を持ってほしい」と最初に明言しますが、本当に婚活が上手くいっていない人は、ただ男性にモテる事以上の努力が必要なのかもしれません。

しかし、それを乗り越えた女性は、本書で著者が書いているように、きっと「現実世界の見方が変わっている」ように思うのです。

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