最強の剣士がたどり着く未来は何か
目次
悲しい過去のインパクトは薄めだが最強は嬉しい
時は戦乱の世。小国サンクワールでは王様の頭が悪く、騎士に「死にに行くのですか」とたしなめられる始末。もはやザーマインの属国になるのは間近か…という時、王様に立てついた騎士レインは謹慎処分をくらい、王は進軍を開始する…
いかにも洋風な始まり。主人公レインはすでに「最強の剣士」として認められた存在であり、隣国にもその噂は広まっている人物です。いいねーもちろん主人公はいろいろな苦労の上に強くなっていくものなんですが、すでにほとんど出来上がっていて、徐々に明かされていく感じ。これだけ漫画が出ているのにいまだその力の全容は確実にはつかみきれていない。なのにじれったく待たされている感も少ない。それだけストーリー展開がいいこと、その他の登場人物のキャラクター設定が濃くなっていることによって、おもしろくなっていますね。
レインには大切な人を殺されたという過去があるんですけど…それで強くなると決めるのには十分な理由だと言われれば確かにそうですが、ちょっとインパクトが薄い。あらゆるギルドや傭兵団に闘いを挑み、そして抹殺する。そして魔族にも闘いを挑み勝利をおさめ、18歳のときにはドラゴンとの壮絶な闘いに勝利するという…ずいぶんとすごいな…気力だけで強くなったにしては度が過ぎている気がしてしまいますね。父親もすごい強かったんじゃないかと思うし、まだ過去については全体的に言ってないことがありそうじゃないですか。頭も良すぎ。なんでこんな策士なんだろう。過去にレインに敗れた者たちが、人間・魔人問わずにレインに従い、ともに闘うことを決める。なぜそうも周囲を惹きつけてしまうのか?レインの謎はまだまだ深まるばかりです。
それにしても女に愛されすぎる
レインはドラゴンを倒したことにより年を取らない体になる。ただ、完全なる不死の体ってわけではないのかな…?傷もつくし、治療も必要みたいです。ドラゴンスレイヤーがどこまですごいのかって思っちゃったよ。結局魔人には同等の力を持つ者がいるみたいだしね。そういう人たちからの攻撃は直撃しちゃうってことなんでしょう。
見た目は18歳のまま、もう25歳くらいにはなっているとのこと。そんなレインはとにかく女に愛されますね…これも一種のドラゴンの恩恵かなんかなのでしょうか…?気さくで、イケメンで、優しいですからね…当のレインはシェルファを選ぶってわけでもなさそうだし…完全なる天然たらし状態…?しかしレインからはいやらしい感じはまったくしなくて、むしろ何が目的でこいつはこの国にいるんだろうとすら考えてしまうほどですね。女でもなく、地位や名誉でもなく、家族や友でもない気がする。もちろん、みんなを大事にはしているけれど、深くもない。レイグルが言っているみたいに、力を欲し誰よりも強くありたいと願う存在ってやつなんでしょうか。もちろん、シェルファに忠義を尽くすためと言っているのですが…シェルファと同化しているミシェールといい、シルヴィアといい、ノエル、セルフィーなどなど…サンクワールのキレイどころはみんなレインに恋してます。そりゃそうよね、それだけ大事にされて、声かけられてさ、守ってもらってさ、もう…恋するしかないよね。もはやギュンターだって十分怪しいもの。むしろそこを期待してしまうほどだよギュンター。
それでも、ユーリとかが恋してないのがよかったというか。手あたり次第誰でもそうなるわけじゃないみたいです。
小説らしい細かな設定と美しい画が最高
国同士の関係や、背景情報の詳しさはさすが原作が小説だなーと言えるでしょう。そして、登場人物の多さも抜群。一人一人のキャラクターが凝っているし、なんか顔つき似てるなーってことも少ない。世界観的には、ファンタジーでRPGゲームの雰囲気が漂っています。国名、登場人物の名前、戦いの対立構造、そしてキャラクター達の画がまさにそうですね。アニメっぽさもあり、二次元を愛する人が大好物なんじゃないでしょうか。最初はシェルファ(ミシェール)だけでしたけど、隣国と協定を結んだりしながら仲間は増えていき、かわいい子だらけのお花畑になってきています。
逆に、少し残念だったなーと思う場面もあります。一度ザーマインのレイグルにシェルファがさらわれたとき、マジックアイテムを使うことでレインのもとに舞い戻ってきたことがありました。あれはさすがに「…そんなあっさりした展開あり…?」って思ってしまいましたね。レイグルもアホだし、レインもアホやなと…シェルファの中のミシェールに気づいていながら、易々としてやられてどうするんだ!レイグルがラスボスなんだろう!!レインが一瞬やられちゃったときの周囲の反応も、せっかく漫画なのに冷ややかな気がしました。レインは最強だからこそ慕われていただけなの…?いやいや、そうじゃないでしょう、なんかアクション起こそうよ…ただ、味方の捨て身戦法なんて始まってしまったら、それこそもう終わりが近い気がしてくる。まだまだ続いてくれるということでよかったのかもしれません。
ザーマインとサンクワールだけにとどまらない関係の複雑さがいい
話が進んでいく中で、どうやらレイグルだけがものすごい敵だというわけではないとわかってきました。魔人は恐れられるけど、確かに存在している者である様子。レインに協力的な魔人も多いですし、レイグル自体もレインのことを認めている。だけど、立場的に相容れないらしく、これから戦いは避けられないのでしょうね…非常に残念。どちらかが死なねばならないという終わりじゃなければいいのに…と期待しています。
隣国のシャングリアとも、争いこそしたものの、シェルファやレイン、みんなのおかげで協力関係を結ぶことができました。どうやら世界に在ってはならないのがミシェール(シェルファ)であるようで…その理由の全容はまだ明らかにされていませんし、それをどこで出してくるかが気になりますね。隣国との戦い、レインの強さが証明されていくシーンは毎回見ものですが、そろそろ核心に迫ってもらいたいものです。シェルファを守るために必要なことっていうのが何なのか、レインだからできることがおそらくあるのでしょうが、どうか命は落とさないでほしいなーとか…小説ってバッドエンド平気で演出しちゃいますから、心配でなりませんよ。それこそ英雄として語り継がれていく…完 なんて終わりをされたくない。レインあってこその物語じゃないですか!
登場人物が多すぎてそろそろ酔ってきた…
もうそろそろまずいと思うんです。登場人物、勢力図がいよいよ複雑さを極めてきました。これだけ人間が増えてきたら、裏切りも怖いんですよ…一番怪しいと思っているのが、リエラですね…一番シェルファに近い存在であり、見守りながら監視もできるポジション。先代の王が首をはねられ、シェルファも城を追われることになった時、あれだけタイミングよく出てきたリエラをどうも信用できない…。私だけでしょうか。逃げだすのが遅れたのではなく、むしろ姫様が出てくるのを待っていたのです…っていつか言いそうな気がしてなりませんよ。あなたのお付きになるためにわざとそうしたのです…的な。副将軍とか、親友とかは絶対親友のままだと思うんですよね。この物語において、一番怪しいのは「女」のように思えてなりません。
瀕死を乗り越えながら、最後までレインは最強なのか。誰を討つべきで、誰を守るべきなのか。複雑に絡み合う運命がどこに着地するのかを見届けたいと思います。
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