シリーズ異色の熱血バトル?装甲騎兵ボトムズ ビッグバトル - 装甲騎兵ボトムズ ビッグバトルの感想

理解が深まるアニメレビューサイト

アニメレビュー数 2,474件

装甲騎兵ボトムズ ビッグバトル

4.004.00
映像
4.50
ストーリー
3.50
キャラクター
4.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
1

シリーズ異色の熱血バトル?装甲騎兵ボトムズ ビッグバトル

4.04.0
映像
4.5
ストーリー
3.5
キャラクター
4.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

キリコ、「レッドショルダー」としての最後の戦いへ

本作「ビッグバトル」は、TVシリーズの最終回、クエント星の爆発~キリコとフィアナの旅立ちの1年間の間に起きた出来事を描くものである。クエント星の爆発以来、戦いを避けるように各地をさすらっていたキリコたちは、流れ着いたア・コバの町で、ゴウトの古い知人であるチェロキーより、ファイトマネーが5億ギルダンにもなるという「ビッグバトル」を持ちかけられる。そこで、「レッドショルダー」に異常なまでの憎しみを抱くバララント軍の試作パーフェクトソルジャー、ラダァ・ニーバとの熾烈な戦いを繰り広げる。キリコは元「レッドショルダー」としての力を存分に発揮し、戦いに挑む。

いろんな意味で「らしくない」作品

本作の脚本は、ボトムズ外伝小説「青の騎士 ベルゼルガ物語」を手がけたはままさのり氏が担当している。はま氏の作風に影響されてか、本作のキリコおよびその一行たちはやたらと行動的かつヒロイックに描写されていて、良くも悪くも「いかにもロボットアニメの登場人物」的な台詞、アクションが多い。さらにニーバの駆るAT「エクルビス」に至っては崖に爪一本でぶら下がる、宙返りをするなど、鈍重でありながら軽快、というATのアクションに一石を投じるものとなり、なんともATらしくない動きが目立っている。
当時から賛否両論の声が激しい作品ではあるが、戦闘シーンの出来は生身、ATによるバトルシーン共に完成度が高く、活劇が好きな人間にはたまらない作品といえる。数多いシリーズのうち、息抜きがてらこんな作品もありかも?

シリーズの主役!登場ATたち

まずは主人公キリコが駆る「ライトスコープドッグ」から紹介する。ボトムズシリーズの顔とも言えるスコープドッグを、対ニーバ用に徹底的に足回りの強化および軽量化を行った機体で、左腕に至ってはほぼ「骨」だけ状態に等しい。無論、一発でも被弾したら命取りになりかねないが、本編ではローラーダッシュ、ターンピックをフルに活用した高機動戦闘を披露してくれる。「当たらなければどうということはない!」のだ。続いてキリコの相棒シャッコの駆る「ベルゼルガ・イミテイト」。こちらも
スコープドッグをベースとするが、キリコと逆に装甲、武装を追加した重装タイプの機体で、本作ではもっぱら地味ポジション。最後にラダァ・ニーバの駆る「エクルビス」だ。ストライクドッグを元にしたカスタム機で、先に紹介したように宙返りなどの立体的な機動が可能な機体。アイアンクローやパイルバンカーを備え、なおかつ人型からやや外れた姿は、「エイリアン」を彷彿とさせる。ニーバのキャラとあいまって強烈なインパクトを持った機体だ。

意外と重要位置にある「バトリング」

ボトムズのアニメシリーズではメインにならなかったが、外伝、ゲームなどでは度々メインとして扱われるのが「バトリング」である。各レギュレーションごとに分かれたAT同士の戦いは、戦争終結により職にあぶれたAT乗りにとっての大切な食い扶持であり、戦争で荒れ果てた生活を送る市民にとっても数少ない娯楽として機能している。本作ではアニメシリーズには珍しく、このバトリングがメインを張っている。ロボットアニメ的にも、違和感無くロボット同士の戦いが描ける美味しい設定なので、本作のみならずバトリングをもっとメインにした作品が他にあってもいいのではないだろうか。
本作脚本のはま氏が手がけた「青の騎士 ベルゼルガ物語」もまた、バトリングが物語の大きなウエイトを占めている。バトリング好きには必見の作品といえるだろう。

ラダァ・ニーバとレッドショルダーの因縁、その結末

ラダァ・ニーバはかつてバララント軍の一兵士であった。しかし「レッドショルダー」との戦いで瀕死の重傷を負ってしまう。その後バララント軍の試作パーフェクトソルジャー(体に制御装置やメカを組み込まれた、いわゆるサイボーグ)となるも、レッドショルダーへの復讐心は残したまま、極めて情緒不安定な存在となってしまう・・・

何かとシリーズの異色作とされる本作ではあるが、ここでも、シリーズ中様々な悪行を見せてきた「レッドショルダー」の影が垣間見える。
そんな影を持った本作もまた、れっきとしたシリーズの一作として胸を張って語れるだろう。

AT同士の戦いのさなか、ライトスコープドッグの赤く塗られた左肩(レッドショルダー部隊のトレードマークである)を見た彼は、かつてのトラウマがフラッシュバックする。怪物的な強さを見せるエクルビスに、ギリギリ対抗してみせるキリコを見て、ニーバは叫ぶ。
「お前は確かにレッドショルダーだ、それもとびきり上等のな。」
なおも戦い続けるキリコは、最後の手としてライトスコープドッグおよびシャッコのベルゼルガ・イミテイトでエクルビスの動きを封じ、地上戦艦の爆発に巻き込んでしまう。
「くそう、レッドショルダーめ、殺してやる!殺してやる!!」
「レッドショルダーめぇぇぇっ!!」
レッドショルダーへの憎しみは晴らされること無く、ニーバは地上戦艦と共に四散する。
戦い終わって、キリコはレッドショルダーの認識証を引きちぎって、投げ捨てる。
「俺は確かにレッドショルダーだった・・・だが、それが何だというのだ。」

憎しみに燃えるニーバの中に、レッドショルダーであった頃の業を見たのだろうか。彼はそれ以上、何も語らなかったのだった・・・

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

関連するタグ

装甲騎兵ボトムズ ビッグバトルが好きな人におすすめのアニメ

ページの先頭へ