ニュータイプについて考えさせられる作品
起動新世紀ガンダムXとは
90年代のガンダムシリーズ第4作品目、今までのガンダムは戦争に焦点を当てた作品が殆どだがこの作品はニュータイプを中心とした主に人間ドラマをメインにした物語になっています。
そのため、歴代のガンダムと違ってボーイ・ミーツ・ガールの展開をしています。
通常のガンダムなら、「戦闘に巻き込まれる→ガンダムに乗る」ですが、「少女に会う→戦闘に巻き込まれる→ガンダムに乗る」といった流れになっています。こうしてニュータイプの少女、ティファと出会ったガロードが様々な人と繋がりながらニュータイプについて考えさせられる物語となっています。
また、次回タイトルが登場キャラクターのセリフになっているので印象深く残るのも特徴です。
例:何も喋るな
ガンダムXは打ち切りではない
未だに打ち切りだと思っている人が居るとは思っていませんが大事なことなので。
打ち切り作品は初代ガンダムです、初代ガンダムです、大事なことは2回言うのがお約束ですね。
個性豊かな登場人物
ガンダムXと言ったら何といっても様々な苦悩を抱えた登場人物たちです。
家族を失った人、自分が犯した罪に苦しむ人、自分という存在を認められなかった人、様々な人間が物語に絡んでいき最後には各々の答えを出していくのも見どころのある作品となっています。
ニュータイプとは
宇宙世紀シリーズでは、ジオン・ズム・ダイクンが「お互いに判り合い、理解し合い、戦争や争いから解放される新しい人類の姿」としてニュータイプを提唱しています。
残念ながら、本来の意味とは別に「兵器としての側面でしか評価されない」というのが宇宙世紀の物語になっています。
本作品でもニュータイプは、兵器利用の側面が強く描写されていてフラッシュシステムに対応していないという理由で「カテゴリーF」と分類されるほどです。
また、ニュータイプは兵器利用が高いだけではなく各々が「未来を見通せる」といった人知を超えた力が備わっています。そのため敵味方問わず自分自身が見た未来を信じて戦い続けていました。しかし、最初のニュータイプであるD.O.M.Eからそれは幻想だと突き付けられます。「人を超えた力」と「人の革新」は別物。ニュータイプとは、道を失った人の新たな価値観であり、ニュータイプ自身が未来を創るわけではない。だから未来を見たとしてもそれを手に入れようとしなければ手に入らないと。
ニュータイプという力に縛られていた人、ニュータイプという神を崇めていた人、ニュータイプに未来を見続けていた人、三者にそれぞれ現実が突き付けられました。
そしてガロードがティファが見た予言を次々に打ち破ってきた事をD.O.M.Eが指摘し、心の強さこそが未来を変え、創っていく力だと伝えられました。
本作で「ニュータイプ」とは「人知を超えた力」の有無ではなく未来を創っていく「心の強さ」を持っているかどうかと私は考えています。
ですからゲーム等ではガロード達はニュータイプではありませんが物語の趣旨としては次世代を引っ張っていくニュータイプだと考えています。
そして、これこそがジオンが提唱してきたニュータイプそのものです。残念ながら提唱した本人の世界では、幻想で終わってしまいましたが別作品の中でその設定が繋がっているのはファンとしてうれしい限りです。
最近だと00でイノベイター、AGEでXラウンダーと名前を変えて登場しています。
イノベイターは、ジオンが提唱したニュータイプの理想的な形を成しているが「人と人が分け隔てなく相互理解する事」を趣旨にしているわけではなく、「外宇宙から来る未知の知的生命体と人が分け隔てなく相互理解する事」を、Xラウンダーは「人間が理性を持たない野獣へと還っていく過程」を趣旨にしているので私としては既存のニュータイプ設定とは少しズレていると考えています。
このあたりはゲームや書籍の情報の在り方で日々変わっていくので様々な意見を持っている方がいると思いますが、私はXのニュータイプの考え方が一番好きです。
最後に
この作品は私の好きなガンダムシリーズの中でTOP5に入るものですが、ファンの中ではそうでもないのが残念です。(最近は見直されているような気がしないでもないですが・・・)
好きな理由の1つとして、ニュータイプというテーマに焦点があることです。私が見た時にはニュータイプは主人公属性の一つみたいなもので圧倒的な力という認識が強かったのですが、この作品でニュータイプというものを考えさせられるきっかけになりました。最近ではUCなのでジオンの本来の意味のニュータイプが取り上げられて、設定を知る機会が増えましたがこの作品が放送されていた時にはネットもまだ復旧していなく、またマニアックな設定を知らない時でしたので色々衝撃を受けました。単純に個性的な武器が好きっていうのもありますが、サテライトキャノン、ハモニカ砲、Gビットetc
この記事を通して少しでも共感できる人がいたら幸いです。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)