今、また観たくなるロシュフォールの恋人たち
色とりどりの衣装での明るい世界観
ロシュフォールの恋人たちと言ったらミュージカル映画の代表作中の代表作。
観たことはなくても聞いたことならある、そんな題名に音楽。
特に車のCMにも使われた音楽「キャラバンの到着」は誰もが耳にしたことのある、少し胸に引っかかる切ない旋律の音楽。
内容はといえば恋人たちがうまく行かずに苦しんだり、うまくいって喜んだら。
にもかかわらず、作品には暗さというものはほぼなし。常に何か明るいものがあり、ほんの少しの暗さはスピード感で誤魔化されてしまう。そう感じたのは私だけではないはず。
そんな映画全体の明るさを保つのに、一役買っているのが「衣装」
真っ青な晴天というわけでもない天気に見える画質にもかかわらず、明るさが常にそこにあるのは、主人公たちの華やかな色あいの衣装。
けして豪華絢爛な派手な衣装ではないものの、今見てもかわいいと感じずにはいられないレトロでありながらも新鮮なデザイン。
これが、どんな画面でも登場人物がいるだけで、画面に明るさをもたらす効果が!
その証拠に本当に暗い場面では場面全体や衣装までも暗くなっているんです。気がつきましたか?
気付いていましたか?もう1つの衣装の秘密
実は衣装は、明るい色を単に使っているというだけではないんです。
実はよくよく見て見ると、いずれ結ばれる2人の衣装の色はペア!
映画を見て行くうちに、結ばれる2人がわかってしまう仕掛け。それでもあまりにさりげないから何度か見返して初めて気付く憎い仕掛け。
このさりげない伏線を、自ら回収できた時の嬉しさと言ったらありません。
あえての反対色の利用や、恋人たちを象徴するペアルックのような色の使い方。
この映画を支配するものの1つに、そんな衣装での仕掛けがあるんです。
カトリーヌドヌーヴの存在感
そして、当然忘れてはならないのはカトリーヌドヌーヴの存在感。
あまりにも美しすぎるその容姿にもかかわらず、劇中で印象に残るのは、その天真爛漫さ。
美しさをツンと鼻にかけることもなく、ただそこにいるだけで、恋する乙女の可愛らしさや切なさを前面に押し出すような、そんな演技をしてくれています。
シェルブールの雨傘(こちらもカトリーヌドヌーヴの映画)での影をたたえた彼女が嘘のように、ひたすら楽しそうに輝いています。
この彼女の役者としての良さは、あまりにもナチュラルな演技なので、他の出演作を見るまで気づかなかったほど。
不朽の名作となった所以
要するに、監督の画面構成のうまさはもちろんのこと、衣装での遊びや、画面を華やかにする効果、そして役者の演技の全てがうまく作用した、星5つとしからいいようがない映画が、ロシュフォールの恋人たち。
あぁ、書いているうちにまた観たくなってきました。
それでは、わたくしは映画鑑賞があるのでこの辺りで失礼します。
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