ドラマ「CHENGE」を見て感じること - CHANGEの感想

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CHANGE

4.504.50
映像
4.50
脚本
4.50
キャスト
4.50
音楽
4.50
演出
5.00
感想数
1
観た人
4

ドラマ「CHENGE」を見て感じること

4.54.5
映像
4.5
脚本
4.5
キャスト
4.5
音楽
4.5
演出
5.0

目次

ありえない!とも言い切れない

地方の小学校の先生である木村拓哉演じる朝倉が代議士である父親とその後継者であった兄を事故で亡くし、 代理の代理として不本意ながら代議士に立候補するというところから物語はスタートします。 何も知識もなく、意欲もない人が国を動かしていく政治家になるなんて「ありえない」と思いながらも、 代理を立てなくてはならない政党の意図や思惑の描写から実際に起こっても不思議ではないなと思いました。

また、選挙戦中に父親のスキャンダルが発覚し、朝倉は窮地に追いやられてしまいました。 現実問題として、代議士のスキャンダルが日々ニュースなどを賑わせている中、 相手を蹴落としてでも目的を達成しようとする政治家の姿勢が今の政治とリンクする点を感じ、ありえない!とも言い切れないリアリティで 物語にのめり込んで行きました。

正直さ・誠実さの重要性を考えさせられる

最初の選挙期間中に父親のスキャンダルを暴かれた朝倉ですが、選挙最終日の演説では、父親のスキャンダルに対して正直に、 そして誠実に応え、その言葉一つ一つに重みがありました。これは代議士への執着やメリット・デメリットを考えていない人間だからこそ出た言葉であり、 朝倉を選挙に推薦した深津絵里演じる美山が演説の中止を促す中、自身の気持ちを伝えきった姿勢を見て、 こんな人が政治家になって欲しいと心から思えました。

重いテーマながらコミカルさも満載

地方選挙に当選し、勢いに乗って総裁選まで出馬、見事に内閣総理大臣となる朝倉ですが、 その先に待っていたのは総理大臣付きの官僚の面々。 西村雅彦演じる百坂や平泉成演じる郡司など一筋縄でいかない面々も朝倉の奇想天外ながら芯を持った行動に 次第に心を惹かれていくのですが、その如何にもお堅いメンツが時より見せるお惚け発言や行動が重いテーマに向き合いながらも 良い箸休めとなり、ドラマ全体のバランスを整えています。

また、官僚だけでなく、選挙プランナーとして朝倉を支える阿部寛演じる韮澤と朝倉のやり取りも見逃せません。ぶっきらぼうな発言や行動を取る韮澤に対して冷静にツッコむ朝倉、それに畳み掛けるようにツッコミを入れる美山。それでも気にせず我が道をいく韮澤というそれぞれのキャラクターの個性が全面に出たやりとりもこのドラマの見所です。

当たり前の必要性を考えさせられる

総理大臣となった朝倉ですが、本来総理大臣は首相官邸に居住することが 当たり前となっている中、朝倉は特別扱いを嫌い、自宅に住むことになる。 この状況自体がありえないのだが、自宅でもSPが付き、仕事も当たり前にこなしていくところを見て 首相官邸という当たり前の特別扱いに疑問が出てきます。 政治家になる人の多くは特別扱いを当たり前として育ってきた印象もあります。 だからこそ高い視座で物事を捉え、判断する事ができるのだとは思いますが、 今回の朝倉ように、一般の人を同じ生活・感覚を持ちながら政治をおこなっていく人が政治をおこなう事で 世の中が変わる気もしてきます。

大物政治家の存在感と意地悪さが際立つ名演技

様々なドラマがある中、悪役の存在感や演技はドラマの成否に左右されると思いますが、 その点でCHENGEの悪役、寺尾聡演じる神林のは圧倒的に輝いてます。 冷静かつ優しい印象。また、時に志の高さをアピールしながらも胸のうちに秘めた自我を 表情や振りまいから醸し出してます。 朝倉が思い通りに動かないことに対しての苛立ちを全面に出すシーンは震えます。 また、朝倉を失脚させようと目論む作戦も実際に政治家間でも行われているのではないかと疑いたくなるほどです。 気づくと神林の一挙手一投足で物語が進んでいっているというくらい重要なポジションとしての演技力は見事と言う他ありません。

ノーカットでのラストシーンは必見

物語の終盤、神林の策略によって政治家生命の危機を迎える事になる朝倉ですが、 政治家に興味を持たず、嫌っていた朝倉が政治を通して日本が抱える様々な課題を知り その上で世の中を良くしていく為に政治家を続ける決意をし、国民全員に今の世の中に対しての疑問を投げかけるシーンには非常に心を打たれます。 30分にも渡る国民放送という演説はノーカットで流されており、台詞の長さ、内容、話す内容の重みとどれをとっても「素晴らしい!」の一言です。 世の中で起きている事を当事者として捉え、個人単位でできることは何か?今、何をすべきかを総理大臣朝倉は国民全員に問いかけます。これはドラマの中とは言え、現実世界にも通じる事であり、今まで深く考えていなかった政治という物に興味を持つきっかけとなると思います。また、これまでの木村拓哉主演のドラマの中でも、木村拓哉という俳優の演技力と影響力を圧倒的に表現しているシーンだとも思いました。 本当にこんな人が政治家、総理大臣になったら世の中を変えてくれるのではないか。と希望が持てる素晴らしいドラマです。

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