スキップ・ビート!は面白い!
スキップ・ビート!とは
『スキップ・ビート!』とは、仲村佳樹・作、白泉社の『花とゆめ』で連載中の少女向け漫画であり、アニメ、そして、台湾ではドラマにもなった、主人公・最上キョーコを中心とした、幼なじみ2人との恋愛と、復讐のために入った芸能界で立身していくお話です。
最上キョーコは幼い頃から複雑な家庭環境、養育環境に置かれ、キョーコにとっては唯一の肉親である母親・冴菜に愛されたい、必要とされたいと願い、日々、色々な努力しつづけて生きてきました。
自分の存在が母親にどう思われているのか、預けられた先である、京都の老舗旅館を経営する不破家の人たちにどう思われているのか、わかっているからこそ、キョーコは幼いながら周囲の空気を読み、それでも、キズつかないために鈍感にならざる得なかったのでしょう。
自尊心というものは、他人に愛されて、肯定されて、初めて生まれるのかもしれないとキョーコを見ていると考えさせられます。
キョーコにとって、『嫌われている』と言うことが前提で、好かれることは奇跡に近く、愛されるなどとは別次元の空想の世界なのでしょう。
だから、あの運命の日が訪れるその時までキョーコは『ショーちゃんの奴隷』を喜んでやっていたのだと思うと憐れでなりません。
幼なじみの不破松太郎こと、いずれ、日本を代表するアーティストとなる不破尚にのめり込み、利用され、馬鹿にされていることに目をつぶり、全力で貢ぐのが当たり前になってしまったのだと思います。
そして、キョーコが目覚めたあの運命の日。
ショーちゃんと決別しながらも、復讐のために自身も芸能界へと思い至ったあの日こそが、キョーコの運命と才能が開かれた瞬間でもあり、もう一人の幼なじみとの再会のプロローグでもあったのです。
これだけ読めば、ストーリー的にはよくある話と思われがちですが、何しろ、仲村作品に登場する人物像がことごとくユニークなのです。
特に主人公の最上キョーコは秀逸です。
生命力の塊と言っても過言ではありません。
ぜひ、一度は読んでみて欲しい作品です。
2人の幼なじみ
主人公には2人の幼なじみがいます。
一人は不破尚。
キョーコの預け先であり、家主の子息であった不破松太郎こと、不破尚です。
性格は我儘、傲慢としか表現しようがなく、実に幼稚な性格をしている少年です。
正直、キョーコは彼のどこに惹かれていたのか分からないほど魅力がわからないヒーローの一人です。
もう一人は敦賀蓮。
本名は久遠・ヒズリ。
日本を代表する俳優で、所謂パーフェクトマンのような人です。
この彼とは幼いころ一週間だけ一緒に過ごし、別れ際に、『青い石』をプレゼントされると言う過去がありますが、キョーコ本人は敦賀蓮をその時の少年と同一人物だとはわかっていません。
当時の彼は素のままの、金髪碧眼でキョーコと過ごしていたため、キョーコはなぜか、『妖精の王子様』と勘違いし続け、今なお、そう信じきっているからです。
何より、敦賀蓮は、髪を染め、カラーコンタクトをして素顔を隠していることも大きく、思い出の『妖精の王子様』と同一人物とは思えないのだと思います。
そんな2人を中心にした恋愛模様も少女コミックならではの楽しさの醍醐味だと思います。
実に対照的な2人のイケメンを無意識に振り回し、バイタリティーあふれるキョーコが女優という夢と誇りを持ち芸能界を突っ走っていく姿に驚きと笑いが止まりません。
愛と努力
この作品は基本、『愛』と『努力』について考えさせられます。
『演じる』と言うことは、過去の経験、自分の内面をさらけ出すことになるのでしょう。
キョーコも、蓮も、行き詰まり、とても悩んでいる姿は本当にリアルを感じさせ、次の展開に期待がふくれます。
誰かのためにしか努力できなかったキョーコは、自分を作るために。
過去に縛られて、自分を晒せなかった蓮はその皮を破るために。
登場するキャラたちのユニークな性格と言動、そして、ストーリーの構成はどちらかと言えばコメディー色が強いにも関わらず、色々な人間模様があちらこちらにあって、芸能界と言う夢を商売の特殊性はあれど、とても人間臭い部分も描かれていると漫画だと思います。
特に主人公のキョーコのどんな崖っぷちな状況へと追い詰められても、諦めないで、ただ、まっすぐにひたむきに突き進む姿は、危なっかしさで心配にもなりますが勇気をくれるそんな彼女だからこそ、好きになり、応援したくなるのでしょう。
どんなにへこむことがあっても、キョーコのバイタリティーと言うべきか、あの力強さはどんなヒロインにも真似ができない部分ではないでしょうか。
彼女の歪んだ価値観、思考回路が原因とは言え、真摯に取り組む姿は見習わなければならないと思うこともしばしばです。
新しい何かに挑戦する度に積み重ねて築いたものの強さというもは簡単に崩れることはないとキョーコは教えてくれました。
是非、一度、読んでみることをおすすめします。
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