浮気男を好きになるってこういうこと
速人の浮気っぷり
だいたいの少女漫画の王道は、好きな女の子へのいじわるなんて大したことないじゃないですか。スカートめくるとか、ついついいじってしまうとか、彼女の気を引きたくて目立つことをしてしまうとか。この漫画では普通に浮気しますからね。堂々と。かなりぶっ飛んでる設定です。でもそれは速人が芙美にベタ惚れ過ぎて、芙美の困ってる姿が見たいという屈折した愛情からなのだそう。そんな男となんて別れちまえ!って思うけれど、芙美は速人がかっこよすぎて離れられない…おかげさまで、芙美の浮気察知レーダーはかなりの精度を誇っています。ピーンときて速人の後をこっそり追いかけていくと、予想通り女の姿が。速人は彼女のことも、浮気のことも、隠そうとはしません。それは俺がカッコいいからで、寄ってくるから仕方ない。確かに、自分から積極的に浮気しよーって感じではないんですよ。セフレでもいいから、私を見て下さいっていう女の子がわらわらとくる。そしていただきますとなる。そういう最低最悪な行為をしているのに、彼女のポジションだけは絶対に芙美から動かさない。それが芙美をいつまでもつなぎとめているわけです。
芙美以外の女は5回までが限度なんだよね
って聞いちゃったら、もう嬉しくなっちゃって、許してしまうの。ダメ男にダメ女が吸い寄せられたんだろうって気もしますけど、体のつながりじゃなくてもっと根本的な部分で、速人が芙美を大事にしている…らしい。うーん生理的に受け付けない人がほとんどかな。カッコいいなら全部許されるんかいって言いたくなることでしょう。そして芙美はバカな女だと。ただ、読んでいると、確かに速人の芙美への愛情はたくさん感じるんですよ。速人が他の女にあげてるのは体だけ。優しさもいじわるも、全部芙美のためだけ。そこをどうとらえるかだよね。
群がる女ども
速人って、カッコいい。部活に打ち込んでいる姿が、やっぱりいいですよね。勝負事にはかなり熱く、サッカーを本気でやっているし、練習だってがんばっている。しかも勉強だってそんなにできないわけじゃない。真面目な奴なんですよね。人を気遣えるのも魅力的。そしたらもう女たちは速人が欲しくてたまらないわけですよ。そこを中学校ではうまくやってきた速人。自分の魅力をフルに利用して、遊びまくって、本気には決してならない。それが芙美と出会ったらもうぞっこんだった…っていうなら、普通は他のもの切るじゃないですか。確かに、付き合うために何人か付き合いを切ったみたいだけど…付き合ってからなんで浮気することを楽しむようになってしまったのやら…考えてみると、おそらく、速人は今まで軽い付き合いだけをしてきたから、相手からも軽く扱われていたのかもしれないですね。そうすると、自分でいっぱいになってくれている芙美は、もう愛しくてたまらない。だから、いつでも俺のこと、考えてて?って芙美を喜ばせたり落としてみたり…子どもみたいに甘えてるのかなーって想像できました。芙美もどこかで、振り回されることも含めて全部を好きになっちゃってるって言ってたし。恋って盲目だな~…好きで一緒に居られるなら、他に何もいらないって思わせてしまう、病気みたいなものだよ。
サッカー部マネージャーの望月さんは危なかったですけどね。彼女ポジションを確実に狙って動いていましたし。私のほうがかわいいのに…!って自分で言ってちゃだめよね。
芙美の心境
芙美はもう母なる大地のような心境ですよね。速人がなんか危ないことするんじゃないか、また浮気するんじゃないかっていつも心配して、速人のせいで傷つけられて落ち込んで、速人のおかげで喜んで。大好きな速人を目の前にすると、全部どうでもよくなっちゃう。確かにこの気持ちはわからなくはないです。どれだけケンカしても、ちょっと時間が経ったらまた普通に大切にしたいなーって思うし、好きだなーって思う。本当に好きで、大切にしたいと思っていたら、やっぱり離れられないよね。浮気者でも、必ずそれを芙美に見せびらかすあたり、芙美がどれだけ大事なのかがわかるしね。
芙美がちょっといじわるのつもりで兄を元彼だと言ったときは、速人の拗ね具合がひどかった…自分はよくて、芙美は絶対ダメ。芙美は絶対に俺のもの。独占欲がすごいですよね…それを芙美は嬉しくなっちゃうんだよね…騙されてるって言えばそれまで。でも速人と離れることより悲しい事なんてないんじゃないだろうか。それくらい人を愛してみたいものです。パートナーとの生き方って、いろいろな形があるってことを感じます。他人からどういわれようが、揺らぎようがないというところが、難しいところです。
芙美が違う男にやられちゃったときは、さすがに速人も相当かわいかった。芙美がどこにも行かないように、ずっと閉じ込めて、守ってるつもりになって…エゴが満載。芙美にとってみれば、願ってもないことなのかもしれないけど、自由じゃない速人は速人じゃない気もしてくる…ないものねだりだね。
本当に大切なもの
本当に大切なものは何か、芙美と速人はお互いに大好きだってことだよね。どこかでわかってくれるだろう・わかってほしいと思って付き合っていくんじゃなくて、どんどんしゃべって、お互いの違うところを認め合ったり、足りないところを助け合ったりしながら、生きていくことが大切なんだと思います。それに気づくために、ここまでの紆余曲折のトラブルがあったんじゃないですかね。
そして、芙美の親友と速人の友達である岳との話も、芙美と速人の関係性を強くするのに役立ってくれていました。何となく子どもができてしまって、怖くなって、世間体があって、誰にも言えなくて。支えてくれる人がいないと、こんなにも人間弱いのかなって思いました。でも逆に、支えてくれる人がいるってことだけで、人はどこまでも強くなれる。なんだってできるような気がしてくる。そうやってこれからも、いろいろな人たちとの関係に悩みながら、でも根本的に大切な人は絶対に失わないようにしながら、生きていってほしいなーと願うばかりです。人間どんどん変わっていくからね。それは止めようがないものだし、その中で何を譲らずに大切にして、どこを可変的に考えていくのかは、人生の選択だなーって感じます。どんな道を選ぼうが、芙美はやっぱり速人にとって最高の女であってほしいですね。すでに速人と芙美の立場はだいぶ逆転しましたが、俺のすべてを理解してくれる人は芙美だけ。この気持ちはどうかなくさずにいてくれますように。
これから
後にも先にもキミ以外には愛した人はいないよ。っていう人と結ばれるのって、憧れですよね~…芙美にとっても速人にとっても、最愛の人。そりゃースタートは浮気者の男でどうなるかと思ったけど、芙美は速人をしっかりとつかみ、運命の男に成長させていきました。女が男を強くする。いつの時代もそうやなーと感じます。8巻まで続いてきて、長いような気もしたけど気づけばあっという間でした。別に浮気を容認するわけじゃないですよ?もしかして、速人みたいに芙美にベタ惚れなのではなくて、単に浮気性で彼女や妻は飾りでおいているだけ、みたいな男だっていると思うしね。そこは見極めが難しいから、やはり浮気者とは上手にやっていける気がしない…
最初から最後まで、結局はラブラブな二人を見せてもらい、ごちそうさまでした!
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